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【ライブレポート】defspiral 15th Anniversary Live『MOONLIGHT SYMPHONIA』2025.5.26 -SHIBUYA PLEASURE PLEASURE-

結成15周年Yearと称し、今年は特に精力的に活動を行っているdefspiral。
結成の節目となる特別な日。普段はライブバンドとしての熱く滾る音楽を奏でる彼らだが、この日はいつもより少し背筋が伸びるような緊張感が漂う、新たな扉へと導いてくれた。
およそ9年ぶりとなったオーケストラアレンジでのライブとなった今宵は、ゲストミュージシャンに横山和俊(Keyboard/Noise)、斎藤孝太郎(Cello)、Rookie Fiddler(Violin)、Jumpei (Violin /Nostalgic Cinema)を迎えた“defspiralオーケストラ”として開幕。
物語の鍵となるのは昨年末のツアー「NxyNiteFall」から生まれた新曲『NiteFall』。この1曲から広がった夜の舞台で、星を散らし柔らかな光と共に音を奏でる。
一夜限りの舞台、星を辿るようにして紡がれた軌跡を余すこと無くお伝えする。

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雄大なオーケストラに誘われ、分厚い本の表紙を開くようにして、物語は幕を開ける。
始まりを彩ったのは、『Arcoromancer』のアコースティックアレンジ。猛々しく引き込む普段のライブサウンドとは裏腹に、ムーディな雰囲気に染め上げられ、心地よく酔いが回るように火照る会場。

軽やかなキーボード、雄大なチェロと合わさり繊細に揺れるバイオリンの音色。MASATO(Gt.)の操るアコースティックギターの織りなす調べに乗って、TAKA(Vo.)の伸びやかな高音が今までにない新たな表情を引き出す。舞台は少しずつ夜の訪れを告げる星のように輝きを増してゆく。
続く曲は『SERENADE』。青からピンクへとくるくると色を変えるステージ。会場はその揺らめきとは対を成すように息を呑み、まるで映画のワンシーンを思わせる緊張感と迫力の演出に聴き惚れる。
1音1音がこの日のために再構築された楽曲は、新たな表情を見せながらじわりと胸に響き渡る。

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TAKA(Vo.)

TAKA「特別な夜、全身で感じて楽しんで帰ってください!」

RYO(Ba.)と和樹(Dr.)のアンサンブルが美しく鳴り響く、『HYSTERIA』へと続く。
ベースの重低音が印象的にずしんと響く、ホール全体を飲み込む音が胸を震わせると、ひりついた空気のまま『ARCANA』へと続いていく。
チェロとヴァイオリンの描くイントロの荘厳さは、夜の闇に影を落とす重低音をより引き立てる。そんな中、ドラムサウンドが弾けるように、ハッと目を奪う一瞬の瞬きで光を放つ。
緩急によって生み出される突き刺さる鋭い音、静と動を従えた音は彼らの持つ力を遺憾なく発揮する。
ビリビリと痺れるような空気から『夢見る蜉蝣』へ。先程までとはがらりと印象を変える、大人の色気漂う一曲は、切なくも温かな光を纏い会場を彩ると、続く曲はTAKAの独唱から始まった『光の世界』。会場は星が瞬くような淡い光に包まれる。歌声は優しく、包み込むようにして響き渡り、流れ星のようにきらめいた尾を残しながら静かに消えていった。

ここで会場にはTAKAと横山和俊の2人だけが残り、キーボードの旋律が会場を包む。互いに向き合い奏でる曲は『STARDUST』。ピアノの伴奏に合わせてTAKAの美声が一層美しく光る。
更には曲調にも変化を織り交ぜ、デジタルサウンドが電子の星屑を生み出し、バンドサウンドとは一味違う楽しみを与えてくれた。
圧巻のパフォーマンスを見せつけるのはもちろんTAKAだけではない。入れ替わるようにしてMASATO、RYO、和樹の3人が登場すると、赤い照明が色濃く影を落とす。歪むようなバンドサウンドで奏でる『PULSE』のインストゥルメンタル。アレンジ自体はリミックスアルバム『recycled』で公開されていたが、オフボーカルで披露するのはこの日が初。RYOのベースもこれまでにない重低音を響かせ会場を沸かすと、呼応するようにしてドラムは力強さを増していく。RYO、MASATO2人のステップも軽やかに、引力が強まるようにして音が重なる。この2曲にある音の奥深さを再認識させてくれる圧倒的充足感が胸に残った。

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MASATO(Gt.)

物語は過去から未来へ。今年の春に開催されたツアー「CHRONO TRAVELER」にて重なった「TO THE GALAXY」〜「ULYSSES」の2つのアルバムの世界を駆け抜けるSEから続く曲は『ULYSSES』。
しかし、その演出はこれまでのライブを遥かに凌駕するもの。蝶が舞うように、アレンジされた音の揺らぎは次の次元へと導いてゆき、『HALO』へと繋がる。降り注ぐ光の輪をTAKA声がくぐり抜けると、ドラムサウンドも軽やかに揺れ、ギターが風のように優しく吹き抜ける。
心を優しく撫でるような優しさ、しかし失われることのない荘厳さ。魔法をかけるようにそっと寄り添う音色から、これからもファンと共にあり続けるという彼らなりのメッセージを感じられた。
「何度でも、何度でも巡り合うよ」
その言葉を噛みしめるようにして、4人のサウンドを響き渡らせた。

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RYO(Ba.)

「そろそろ踊りたくなってきたよね」とTAKAの一言で、皆は立ち上がると、MASATOがギターソロを響かせ始まる『IGNITE THE NITE』。
ライブでも定番のダンスナンバーに、待ってましたと言わんばかりに会場は揺れ、賑やかな空気に包まれる。ステージの4人もこれぞdefspiralといった空気を全開に、軽やかなステップでステージを舞う。
ド派手なステージングはまるで花を散らしたように鮮やかに、そのまま『ALEGRiA』へと物語は続く。コバルトの海からバニラの空へ、歌詞に合わせて色を変えるステージは色鮮やかに、世界観をより強固なものにしていく。

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和樹(Dr.)

そして続くのは『明日への階段』。オーケストラアレンジを加え、より荘厳な、威風堂々としたサウンドに会場は息を呑む。心の奥底から引き出される輝きは熱を帯び、熱が会場を覆い尽くす。
15年分の全てを引き出す、感じたことのない衝動に会場からは割れんばかりの拍手と歓声が送られた。月明かり思わせるサーチライトが会場を舞う『月の荒野』へ。孤独な魂を独り奮い立たせるように、歌う言葉は力強い。
荒野を駆け抜けた先に出会う、一筋の温かな光。最後はこの日の表題曲『Nitefall』だ。
ストリングス隊の織りなす雄大なサウンドは、夜空に光る星のように優しくステージを見守る。この瞬間を慈しみ、永遠に続くように願いを込めた歌声は甘く優しい。
誰もが、全ての音を噛みしめるようにして静かに耳を傾ける。15周年という短くはない時の中で出会えた奇跡、そして、これからも共に生き続けることを誓い合うようにして厚い拍手の中で舞台は幕を下ろした。

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斎藤孝太郎(Cello)、Rookie Fiddler(Violin)、Jumpei (Violin /Nostalgic Cinema)
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横山和俊(Keyboard/Noise)

アンコールでは「やりたいこと全部やる」と意気込んだ15周年Yearの上半期を「やりたい放題」と称し、活動を振り返りながら幸せを噛みしめるメンバー。
ここで、和樹は普段使用している真っ赤なアクリルとは違う、シンプルにまとめたドラムセットの話へ。事前に仕掛けがあると言われていたセットだが、シンバル位置が上から見ると三日月状に並んでいる(後に上からではなく正面からだということが判明)と解説すると粋な演出に会場からは驚きまじりの歓声が上がる。舞台の構成にも気を抜かない流石のこだわりを見せつけた。

初めての雰囲気で行われたステージ、曲のアレンジをRYOは改めて実践して良かった、気持ちよかったと振り返る。そして、15年の歴史を思い出しながら、「これからも精進します」と一言。
今回のステージは全員が均等に見えるようにメンバー間の位置関係を調整していたことについて、MASATOは普段よりもTAKAと距離が近かったとはにかみながら、「すごく儚い時間を過ごしていた、これからも楽しみながら生きていきたい」とライブを振り返った。
最後にTAKAから「一緒に重ねた時間は永遠なので、これからも素敵な時間を重ねていきましょう」とFreaksへの想いを綴った。

アンコールは4人でのシンプルな構成で披露されるアコースティックライブ。この瞬間が永遠に続いてほしいという思いを込めた『SATELLITE』が始まると、軽快な拍子を誘いながら和やかな空気の中に星が輝く。4人の織りなす温かなサウンド、流れ星が駆け抜けていくように鮮やかなサウンドに胸が高鳴る。

TAKA「一緒に時間を重ねてくれてありがとう」

Freaksへの感謝を形にした『千の花束』。
胸いっぱいに花が咲くように温かな喜びが広がる。TAKAも和樹のシンバルを軽快に鳴らし、2人で笑顔を交わしながら音を奏でる。
コーラスの優しい歌声も伸びやかに、15年分の感謝を込めた祭典も終わりが近い。しかし、もちろんそれだけでは終わらせない。

最後にゲストメンバーを迎え入れ、今日までの感謝とこれからも共に音楽を創り続けることを誓い合うと、会場から歓声が上がる。
みんなのはしゃぐ姿がもっと見たいという呼びかけに会場は興奮とともに色めき立つと、響き渡るのは『CARNAVAL』。

TAKA「俺達の未来は、カルナバルはまだ続いていくんだぜ!!」

まばゆい光に包まれ会場は揺れる。
メンバーもこの時間を愛おしむようにオーケストラ隊、ファンと交互に視線を交わす。その表情は喜びと同時に終わってほしくないという願いが込められているようだ。そんなほんの少しの切なさを残しながらも、眼前には夜が明け、輝かしい未来へ飛び出していくような景色が広がっていた。この瞬間が続かなくても、訪れた人々はこの景色を永遠に忘れることはないだろう。

これからも共に生き続けることを信じながら、夢のような時間は夜の闇に消えていった。
15周年を迎えたdefspiralだが、アニバーサリーイヤーとして活動を続ける今年は、まだまだやりたいことがあるに違いない。
すでに次の舞台に向けて進み始めている彼らはなら、必ずこの日以上の景色をみせてくれるだろう。

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Writer:藤村栞里 / Photographer:intetsu、山中裕介(FlickBox)

<セットリスト>

  1. Arcoromancer
  2. SERENADE
  3. HYSTERIA
  4. ARCANA
  5. 夢見る蜉蝣
  6. STARDUST
  7. PULSE
  8. ULYSSES
  9. HALO
  10. IGNITE THE NITE
  11. ALEGRiA
  12. 明日への階段
  13. 月の荒野
  14. Nitefall

 En

  1. SATELLITE
  2. 千の花束
  3. CARNAVAL

ライブ情報

●defspiral FC ONLY LIVE「STARLY NIGHT LOUNGE」

 7月7日(月)渋谷Star lounge

●defspiral presents RYO Birthday Party 2025「LOVELY LOTUS NIGHT」

 7月25日(金)新宿 Zirco TOKYO

●defspiral tour 2025 “Nyx Nitefall: Eclipse”

 8月10日(日)新横浜NEW SIDE BEACH!!

 8月16日(土)名古屋Heart Land

 8月17日(日)静岡Sunash

 8月23日(土)郡山CLUB #9

 8月24日(日)仙台ROCKATERIA

 8月30日(土)長野CLUB JUNK BOX

 8月31日(日)金沢vanvanV4

 9月11日(木)川崎SerbianNight

 9月12日(金)目黒THE LIVE STATION

 9月20日(土)高松DIME

 9月21日(日)岡山PEPPERLAND

 9月27日(土)大阪yogibo HOLY MOUNTAIN

 9月28日(日)京都MOJO

 10月10日(金)Veats Shibuya

●姫路Beta30周年記念イベント「Novastalgia」

 11月2日(日)アクリエ姫路 大ホール
出演:MASCHERA(michi./HIRO/TOMO)
illumina、defspiral、Psycho le Cému、Neu:NOIZ、ΛrlequiΩ、PIKO

●「hide Birthday Party 2025」
 
12月13日(土)CLUB CITTA’
出演:hide、Chirolyn、defspiral、DIE、DJ-INA、JOE、PATA、木村世治、桃知みなみ(Opening DJ) and more…

<関連リンク>
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