2026.04.02
【MAKE独占ライブレポート】KISAKI 生誕半世紀記念祭「BEYOND THE KINGDOM -Fest of Excellence-」2026.3.15 大阪BIGCAT

KISAKIの生誕半世紀を記念したメモリアルライブ「BEYOND THE KINGDOM -Fest of Excellence-」。ヴィジュアル系シーンで数々の伝説を築き上げたKISAKIの集大成ともいえるこのライブには「王国」の名にふさわしいそうそうたるメンバーが集結した。今回はヴィジュアル系の枠にとらわれない様々なバンド・アイドルまで集結するという事もあり、会場に集うファンも多種多様だ。これだけの規模でこのようなイベントを開催できるというのも、KISAKIの活動の幅広さを感じさせてくれる。ここで初めて混ざり合うであろう音楽も存在する今回のイベント、何が起こるか予測不能な祭典が幕を開けた。
まずはKISAKIの呼びかけに応えてくれた各バンドのライブの様子からお届けする。
Little Lilith
幕開けと同時に目を引いたのは「BEYOND THE KINGDOM -Fest of Excellence-」のロゴが映し出されたスクリーン。そのタイトルを背負い、先陣を切ったLittle Lilith。その見た目は可憐な花のような美しさを纏いながら、放つサウンドはナイフのように鋭く光る。燃えるような激しいシャウトに、その見た目とのギャップに驚く観客もいたのかもしれない。しかし、次第に彼女たちの熱に飲まれ拳を掲げ、誰もが体温を上げてゆく。衝動は大きく、さらに連鎖し輪を広げる。トップバッターという大役にふさわしいこの日の空気を形作る圧巻のパフォーマンスだ。『Double Suicide』、『Retribution』とここまでたった2曲、それだけで彼女たちの魅力を語るには十分すぎるほどの美しさを放っていた。
MCではKISAKIへ祝福の言葉を送り、共演のきっかけとなったKISAKIの活動30周年完結MVにLILLYが出演した縁を語ると会場からは大きな拍手が送られた。今度は“音楽”という互いの誇る唯一無二の武器で同じステージに立つ、その覚悟が感じられた。
そして後半戦。和やかな空気を飲み込むようにどくどくと脈打つ重低音で魅了する。ハイトーンとシャウトの急降下も変幻自在に操り、刺激的に響く爆音。その様はまるで牙をむく獣のごとく。LILLYは真っ白なコートを投げ捨て、黒い衣装を靡かせる。まだまだ物足りないと楽器が叫び出し、すべてを解放するように感情が、音が爆発する。メンバーのステップも軽やかに、さらにボルテージを上げていく。止められない衝動に自然と拳を掲げ、会場は一体感を増してゆく。
「私たちと一緒にこの会場盛り上げていけるか!BIGCAT一つにしていこうぜ!」
ラスト1曲『ZERO』が鳴り響く頃には会場全体が彼女たちに夢中だ。ここで終わってしまうのがもったいないほど、皆が4人の音楽を欲している。メンバーも観客に笑顔を向け、時にヘヴィに、時に軽やかに、最後まで彼女たちの色を見せつけてくれた。

椎名ひかり
ヘヴィなサウンドを導くキュートな甘い歌声。しかし、それだけではなく見た目と大きなギャップのある力強いシャウトが会場を切り裂く。『魔界女子☆恋モード』、『餞タ夢ケ』と続き、アップテンポなサウンドが観客を魅了し、可愛らしくも力強い迫力のあるステージが広がる。激しいモッシュが巻き上がると、初めて見るであろう観客もヴィジュアル系との親和性を感じ取るように、合わせて体を揺らし始める。彼女もまた、ジャンルの壁というものを簡単に取り払ってしまった。
バンドメンバーも彼女の歌声を、パフォーマンスを一層輝かせるように、重厚な音をガツンと前にぶつけてくる。鋭い爪でえぐるように、痛々しいほどのシャウトが胸を裂く。中盤で披露するのは、KISAKI作曲の『ダイキライ』だ。怨嗟、痛み、悲痛な叫びが歌詞の枠を飛び越え、ダイレクトに響く。2人の表現者が描く世界が交差し、その言葉とは裏腹に今日という特別な日を祝うように美しく鳴り響いた。
そしてそこから、一転して燃えるように激しいサウンドと大きな手拍子が会場を埋め尽くす。この緩急も刺激的な“椎名ひかりワールド”が展開される。喜怒哀楽様々な感情を描き分け、多様な物語で観客を魅了していく。火花のように飛び散る言葉が音の中に溶けてゆく。更にはKISAKIを祝うため本来予定に無かったMCを急遽始め、「KISAKIさんお誕生日オメデタキ!」と祝いの言葉をしっかりと贈り届けた。
最後はギラギラとド派手な照明に包まれ一気にアップテンポで甘いサウンドの『バババーバウムクーヘン』。しかし、合間にはしっかりヘドバン、シャウトとその世界観は健在。会場後方のファンの胸にまでしっかり響く重厚かつポップなサウンドが会を包み込む。本人曰く「アウェイ」のステージと思われていたが、そんな心配も必要ない程に誰もがすっかり魅了されていた。

FEST VANQUEUR
怪しく揺れる光に包まれたステージが浮かび上がる。激しいヘドバンが巻き起こるダークでヘヴィな楽曲『Nightmare』が、会場を闇に飲み込むように深く深く沈んでゆく。3番手にして初めてのヴィジュアル系バンドという、ここまで見ると逆にアウェイにも見える登場だが、確かに彼らの音楽を刻みつけ、会場の色を塗り替えていく。
しかし、「この瞬間を愛し合っていこうぜー!」と高らかな宣言と共に『ヴァレンシアとヴァージニア』、『現代的疑惑都市’DOUBT!’』を休むまもなく披露する。一変して、夜明けのような眩しさを持って会場後方まで一気に包み込む。4人はステージ前方に進み出て音を重ね合う。自由にステージ上を闊歩し、HAL、HIROも時にドラム台に登りいつもより高い視線で広いステージを楽しんでいた。
他のバンドのファンも巻き込んだヘドバン、さらにはジャンプとフロアはお祭り状態。赤い照明に照らされ、温度はさらに増していく。その熱を逃すまいと、広いステージでのびのびとド派手なパフォーマンスで会場を沸かし続ける。最後は『宴~utage~』の名に違わない賑やかなステージへ。眩しいほどの歌声と共に、KISAKIコールを巻き起こす。彼らの音は夜と朝を巧みに使い分けるように色を変え、華々しく暖かな光で包み込んでくれ。
最後までMCも無くノンストップで続いたライブだったが、随所で「皆大好きKISAKIさん 心の底から愛してる!」「目指せ一世紀ー!」とKISAKIへの熱い愛を送っていた。その思いは曲の合間だけでなく、会場全体を一つにした白熱のパフォーマンスからもしっかり伝わっていた。

NoGoD
「拍手があるって事は・・・やらなきゃいけないって事ですね?NoGoDが神を祝福する日が来るとはね」と幕開け前からの宣言通り、始まりは『神風』から。
暖まった会場の熱気をさらに上げるように、ファンもその思いに答え最初から全力で拳を掲げヘドバンで盛り上げる。メンバー5人をイメージしたカラーが色とりどりに輝くフロア。まばゆい景色の中全員で“神風”を巻き起こす。圧巻の生音の重圧、その深みに思わず息を飲む。団長のカリスマ的な誘導、導くようなサウンドに、誰もが自然と拳を掲げライブに参加する。メンバーそれぞれのソロパートは広い会場の視線を独り占めできるなんとも贅沢な瞬間を生み出す。サウンドもさらに伸びやかに、まばゆい光りの中、彼らもまた神々しく存在を示し続けていた。
鳴り止まない拍手とメンバーコールを受けながらも、MCでは「今日は敵が多いんだろうね」と“神・KISAKI”の生誕を祝いに来た人を探してまずは1ボケ。大阪のバンドでも事務所所属もしていないNoGoDが呼ばれたことヘの喜びと複雑な心境を吐露し笑いを誘った。さらにはPsycho le Cémuのコンセプトも“神”なので神が6人もいると“NoGoD”ならではの視点で会場を盛り上げた。
MC開けからはさらに激しくモッシュからスタート、トークでさらにエンジンのかかった会場は一層激しく、賑やかに揺れる。バンドサウンドにも負けないほどの手拍子がメンバーを歓迎していることをしっかり物語っている。あっという間にラストは『ジョンドゥに捧ぐ』で締めくくる。皆は手を伸ばし、今日という日を祝福するように体を委ねる。激しくも、切なさを感じるナンバー。「今日を選んだことは間違いじゃない」と、喜びを分かち合うようにして送られた言葉に胸を打たれ、静かな暖かさが残っていった。

GOTCHAROCKA
荘厳なSEと共に大歓迎の手拍子で迎え入れられる。始まりは『Gotcha6ka』から、ずしんと重低音を響かせる。観客も大きくジャンプし始まりを彩ると、花を咲かせたように会場はカラフルに色づく。
メンバーも巧みにステージを駆け回り導くように、時に惑わすようにして会場を沸かしていく。JUNのギターソロも伸びやかに、もっともっととファンを求めるように煽る。春風が吹き抜けるような爽快感、時にヘヴィなサウンドは真夏のような熱を帯びて会場を照らす。ファンの声も一層大きくなり、一心に彼らの音を求める。『MONARDA』『撃愛』と続き、さらにアップテンポに賑やかに手拍子で沸かせる。曲に合わせて手を伸ばしファンも全力で楽しんでいるが、誰よりもここに立つ3人がライブを楽しんでいるように見えた。ツインギターの高音を美しく鳴り響かせ、暖かな祝福ムードを爆発させる彼らのステージはワクワクの詰まったおもちゃ箱だ。
樹威(ex.ヴィドール)とJUN(ex.Phantasmagoria)は過去にKISAKIの事務所に所属していた縁もあり、当時の情景を思い出しながら、イベント、そして集まってくれた観客に感謝を送った。
続く『The Ruler’s Play』では観客の声も一層大きく響く。その歌声に導かれるように、さらに激しく大きく会場は揺れる。バチバチと点滅する照明に合わせ、音が雷のように会場を駆け巡る。互いに声を求め、全員の存在でライブを作り上げる。それでもまだ足りないようで、割れんばかりの声が会場を埋め尽くす。最後の曲『Ash』を噛み締めるように、樹威もファンと目線を合わせ言葉を旋律に乗せていく。彼らの音から目が離せないでいた。
伸びやかなギターサウンドで送り出す祝福の音色。樹威は深々と頭を下げ、大きく感謝を告げてステージを後にした。

摩天楼オペラ
赤いペンライト輝く中、漆黒を靡かせた5人を前に会場が震える。ギターソロも鮮やかに、体の内側から本能を呼び覚ますように、音が会場を突き刺す。誰もが彼らの『BLOOD』に、音に染められていく。
最新ナンバーで魅せる輝きは激しく強くギラギラと音を輝かす。幻想と硬質、2つの要素がぶつかり合い生まれる唯一無二のサウンドが会場を包み込む。どこまでも遠く伸びる5人の音は摩天楼のようにそびえ立ち、重厚なサウンドが生み出す快楽に包まれる。
MCでは、KISAKIと出会って18年、摩天楼オペラの曲を愛してくれる事への喜びそして、ずっと見守ってくれていたことへの感謝を告げた。そんなKISAKIの愛した彼らの音楽はただ激しいだけではない。
続く『もう一人の花嫁』では苑の圧巻のアカペラを彩雨のピアノサウンドが優しく包む。厳かな始まりからもサウンドはヘヴィに悲しみを携えて、会場を包み込む。まばゆい光に包まれながらも、その音から感じる涙のこぼれる音。ボーカルだけじゃない、楽器隊4人の繊細なメロディが情景を浮かばせる。その美しさに誰もが息をのみ聞き惚れていった。
しかし、一変して一気にライブは後半戦。『EVIL』から『Psychic Paradise』と攻撃的で刺激的なナンバーが続く。誰もが手を伸ばし、髪を振り乱し暴れる。アップテンポに鮮やかに、まばゆい光が会場を飲み込む。心の扉を開いて一斉に外に飛び出すような疾走感と、心を引きつけるパフォーマンスに、誰もがオペラの虜になっていく。メンバーも前に進み、大きな手拍子に呼応するようにサウンドも強さを増す中、苑のハイトーンが会場を切り裂いた。彼らの音に、世界に溺れていく。そして最後は『GLORIA』。会場は鮮やかなペンライトの水面に包まれ、暖かく幻想的な世界が広がっていく。様々な色を魅せてくれる彼らの楽曲。KISAKI生誕はもちろんのこと、今日この場所に集った人々へ送る祝福を、最後まで響かせていった。

SEX MACHINEGUNS
開幕からこれまでに無い重厚感が会場を包み込むと、4人の勇ましいシルエットから繰り出される爆裂の轟音に一瞬で引き込まれる。激しい煽りと3人横並びで響かせる弦楽器の厚み。激しいドラムに殴られるような衝撃。何度も爆発するような音撃、しかし激しいだけじゃない一体感の見せつける美しいハーモニーに聞き惚れる。楽器の掲げ方一つとっても、計算されたパフォーマンスが見る人の目を奪っていく。ひりつくようなサウンド、会場にいる全員を捕まえて離さないような圧倒的な存在感とパワーを放つ。
「ノーメイクでごめんやでー!」と叫びながらもさらに疾走感のあるナンバーと、ノンストップでたたき込まれるメタルサウンド。異種格闘技といっても過言ではないほどの攻撃力とインパクト。脳を直接揺さぶられるような、これまでない新たな刺激で会場は巻き上がる。ここまで怒濤のライブが続いていたが、ここに来て一気にアドレナリンが解放されるような爽快感とパワーに飲まれていく。コールアンドレスポンスも激しく会場を揺らす。
MCでは「おっさんでごめんね~」と朗らかなテンションで笑いを誘い「何でこのイベントに呼んだんだKISAKIー!」と叫びながらも、会場を自分たちのものにして大盛り上がり。
「早よやって早よ帰ろう」と爆笑をさらいながらも激しいメタルサウンドで会場の空気を塗り替えていく。息の合ったパフォーマンスは灼熱の太陽のように明るく、ギラギラと会場を焼き尽くしていく。その異質な空気感をいつの間にか皆は楽しんでいく。初めてのフリにも少しずつ参加する人が増え始め、共に会場を揺らしていく。
激しく、難色にも輝くステージでジャンプやステップと、圧巻の唯一無二のステージが続く。
硬派なメタルサウンドが心のドアを激しく叩き、解放していくような突き刺す爽快感。このままどこまでも連れて行ってくれそうな頼もしさ、ヴィジュアル系だけで終わらなかったこのイベントの真骨頂がここにはある。こんなに異質ながらもホーム感のある、彼らのステージパフォーマンスの強さを見せつけてくれた。

Psycho le Cému
これまで様々なコンセプトでファンを驚かせてきた彼らだが、今回のコンセプトはまさかの“神”。神・KISAKIの登場を直前に控えながら、5柱の神が降臨する。
開幕から軽快なサウンドに激しいシャウトで会場を沸かし、その神々しさに圧倒されながらも徐々にその世界観に会場は飲み込まれていく。
ここでYURAサマ、AYAは楽器を持たずダンスナンバー『シャクティ シャクティ アスティ』へ。「命鳴らせよ」と込められた思いがダンスと共に舞う。破壊と創造の物語と銘打つように、鮮やかなサウンドに会場は飲まれ、5人の世界を新たに構築していく。ヴィジュアル系の中でも特別異彩を放つ彼らだが、誰一人取り残すことなく共にこの空間を楽しもうと手を伸ばし導いてくれる。送るサウンドは誰よりも優しく特別な日を祝い、まるで会場に虹が架かったかのようにきらめく。
seekの力強いシャウトに観客は応え、声を上げ手拍子を打ち鳴らす。色鮮やかなリングが光を飛ばす中、メンバーはまだまだこれからと言わんばかりに煽る。『Murderer Death Kill』『Revenger-暗闇の復讐者-』と様々な楽曲で導く変幻自在の世界観。「まだまだ行くぞ、聞かせろ」とseekはさらに煽ると、これまで以上の声で拳を掲げる会場。広いステージから送られる爆音を掴み取るように皆は手を伸ばす。メンバーと共にステージ・フロアを巻き込んだ激しいヘドバン。導かれるようにして、曲が進むごとにその深部まで引き込まれる。
「同じ時代に生まれたことは奇跡。僕たちがいる世界は君がいる世界ですーー!」
その言葉と共に送られた『君がいる世界 』。まばゆい光の下、送られた言葉に心打たれる。誰もが手を伸ばし、その思いを確かに受け取っていく。同じ時を生きる奇跡を喜び合う、優しく奏でられる旋律。暖かな手拍子も楽器となり、曲を作る。鮮やかな光が会場を隅々まで照らす。全員の顔を覚えたいからと、DAISHIは会場を見渡し声を届ける。その姿が忘れられないでいる。

THE LOCUS

苑(Vo.)、HIZAKI(Gt.)CERO(Gt.)、HIROKI(Dr.)、そしてKISAKI(Ba.)。これまでヴィジュアル系シーンで活躍してきた錚々たるメンバーで組まれたこの日限りの存在、THE LOCUS。その輪郭をより鮮明なものにするために、ここで少し時を遡る。
当日昼頃、ステージに集結した5人が最後のリハーサルを行っていた。KISAKIはベースを抱えると自然と背筋が伸び、ベーシストKISAKIとしての顔を覗かせる。1人ステージを降り、フロアからステージ上を見上げる。
音と光を全身で感じ取り、スタッフと何度もやり取りし舞台の完成図を鮮明に描き始める。1曲1曲のディティールをなぞるように確かめる後ろ姿からは緊張と興奮が混ざり合うように見えた。彼のバンド人生全てを捧げたステージ、そしてその思いに応えた4人と共に創る一夜限りの夢。この日奏でるのはこれまでKISAKIが生み出してきた、時代…そしてバンドの枠を超え愛される名曲たち。それぞれ異なるフィールドで重ねてきた音楽が混ざり合う。その音はこれまでにない色を持って、KISAKIの音楽史に新たな歴史を重ねてゆくのだろう。
あっという間に迎えた今宵の舞台。満員の会場の息を呑むような緊張感が会場を包み込む中、遂にその幕が開いた。しかし、生誕半世紀を迎えたKISAKIがここで何も仕掛けない訳がない。幕開けと同時にTHE LOCUSの手掛ける楽曲『Voice in Sadness』のMVがサプライズで世界初公開。会場からは黄色い悲鳴が上がり、耽美な世界観に引き込まれる。時折上がる歓声がその期待を物語る。そして、掲げられた“THE LOCUS”のロゴが始まりの合図を告げる。5人で送る一夜限りのステージが始まる。

ずんと響くKISAKIのベースラインが曲を導き、始まったのは『fairy times memory』。本日2度目のステージとなった苑が導く歌声に合わせて会場は揺れ、HIZAKIも華やかな衣装を揺らし前方でギターをかき鳴らす。メンバー4人、ステージ中央に並び豪華な楽曲を彩る。時に一瞬の沈黙が緊張感を張り詰め、その直後に多色な音が沈黙を破る。期待を軽く超える圧巻のステージに目を奪われる中、伸びやかなギターが光の尾を引き導いていった。

「暗黒に染まりなさい」と苑の色気を帯びた一声と共に続く『Unknown zero distance』。宣言と同時に激しいCO2を天井まで吹き上げ、ライブは勢いを増していく。真っ赤な照明に包まれ、苑のビブラートもいつも以上に会場を震わす。幻想的なサーチライトの雨に打たれ、楽器隊の刻む旋律に息をのむ。KISAKIと苑、共に顔を見合わせ笑顔を向ける姿が眩しく映った。
激しいメロディに自然と体は揺れ、会場は熱狂の渦に巻き込まれる中、メンバーも自由にステージで衣装をはためかせながら舞う。5人のパフォーマンスは自由でありながら、完璧なバランスをもって豪華絢爛なステージを支え合っている。
MCで苑は改めてKISAKIの生誕50年を祝うと、「1日限りのメンバーになると思います。不思議な感じがしますね」とこの5人で立つ舞台を噛み締めながら、「皆さんも楽しんでください!」と言葉を贈った。
そして、凜と張り詰めた空気の中送られる『…Air』。青い照明が導くステージで、冷たく切なげなメロディが揺らぐ。音は舞うように、激しさだけでないメロディメーカーとしてのKISAKIの才を改めて感じさせる、幻想的な調べに聞き惚れる。そして、この舞台を誰よりも楽しんでいるのは間違いなくKISAKI本人だろう。喜びの中に浮かぶ誇らしげな表情がファンを魅了する。


沈黙を破るドラムサウンドが会場に明かりを灯し『deep sky』へと続く。HIZAKIもその世界観をギターだけでなく全身で表現する。朝靄のような幻想的な舞台、苑の切なげな歌声が会場に響く。そして、一気にギラギラと会場に光が射すと、メンバーも前に進み出て存在を見せつける。緊張からの緩和。一瞬で空気を塗り替えてしまうその表現力に息を飲む。星が降るようにサーチライトが降り注ぎ、まばゆい旋律が会場を流れる。HIZAKIのギターソロも流星のように輝き流れゆき、圧巻の美しさで会場を暖かな光で包み込んだ。
「今日は目一杯KISAKIと呼んでください」と苑が言葉を送ると、会場からKISAKIコールが湧き上がるが、KISAKIは「聞こえない!」と叫び、もっと声をよこせと煽る。
そして、ライブ中盤でまたもサプライズが。ゲストにGOTCHAROCKAから樹威とJUNを呼び込むと、奇跡の共演に喜びの声が上がる。JUNと樹威は互いにKISAKIとの仲の良さを見せつけ合うが、それぞれの道を歩んできた彼らが今ここで揃うことが出来たのは何よりも、全員が音楽を続けてきたからに他ならない。歩みを止めなかったからこそ再会を果たした今日の舞台。かつての仲間と今も肩を並べ、共に音楽を奏でられる。そんな特別な瞬間に華を添えるのは、7人で送る『Pixy false』。もっと声を出せと煽ると、樹威もシャウトで観客を煽る。KISAKIのベースソロがリードする怪しげな旋律に続いて、苑と樹威は交互に歌声を響かせ合う。JUNもドラム台から楽しげに煽ったかと思えば、その手になじんだギターソロを華麗に響かせる。KISAKIと背中を預け合いステージ中央で華麗に音を鳴らす中、ギターをJUNに託したHIZAKIは客席にミルキーを投げ、大阪らしい(?)カオスながらも楽しい空間を作り上げる。樹威と苑、二人の歌声が交差する。激しいシャウトが会場を沸かせ、サビでは誰もが自然と体を揺らし楽曲の奥深さに酔いしれた。

そんな幻想的なステージを締めくくるのは、再び5人で送る『NEO ARK』。ダークな旋律に導かれ、シャウトが会場を飲み込む。再び激しいCO2と共に光から闇へ、会場の空気が塗り替えられる。観客も激しいヘドバンで応える。メンバーのステップも軽やかに、まばゆい光が会場を包む。きらびやかな衣装に包まれた5人の姿が神々しく映った。KISAKIもお立ち台に立ち、音を響かせる。CEROも大きく煽り、HIZAKIも衣装をはためかせながら舞う。
“THE LOCUS”としての苑が響かせる今日限りの特別な歌声が伸びる。祝福と共に送られる歌声、それは神の福音のように会場を包み込んだ。

ライブが終わると、サプライズで苑の歌うバースデーソングと共に大きな花束が贈られ、この日の主役を盛大に祝った。
KISAKI「年を重ねていく度に大人の魅力が増していくバンドばかりなので、これからも生きていきましょう」
50年という年月を重ねたKISAKIだからこそ伝えられる“大人の魅力”。カリスマ的存在として君臨してきたKISAKIの想像を絶する苦楽があったからこそ、今日この景色を描くことが出来たのだろう。まさに人生の集大成とも言えるこの大舞台で放つ存在感。THE LOCUSを率いる神の彩る世界に魅了され、鳥肌がたつほどの威厳を放っていた。


そして大団円から大セッションへ。
キー様誕生日おめでとうオールスターズとして、この日を盛り上げたメンバーが盛大に登場。各バンドとの掛け合いも賑やかに、椎名ひかりの煽り(KISAKIの無茶振り)から最後は全員で送る『神歌』だ。
“NoGoD”なのに団長から「神に祈りを捧げようか-!」と団長にしか出来ないコールと共に、皆から連れられステージ中央でベースを奏でる神・KISAKI。巻き起こるKISAKIコールに笑顔を見せながら、団長、seek、樹威も前に出て煽る。LILLY、椎名ひかりとこの日のライブを盛り上げたボーカリストたちも代わる代わる煽り、各バンドのメンバー入り乱れてステージはカオス状態に。ギターもI’LL、優介といつの間にか入れ替わり、この日限りの豪華セッションから目が離せなくなる。誰も彼もが入れ替わり立ち替わり、この夜に花を添えてゆく。
そして豪華イベントならではの代名詞、CO2のボンベを抱えてKISAKIが大暴れ。客席だけでなくステージ上でも白煙を巻き散らしステージ上は大混乱に。KISAKIらしいいたずらで会場をさらに盛り上げる。

そしてなんとKISAKIが客席にダイブするという波乱ぶり。本人もそのつもりはなかったと後に語っていたが、それだけ衝動が抑えられないほど盛り上がっていたということだ。その上手ではHIZAKIもダイブし、ファンの上から客席を煽る。衝動のまま突き進む、誰もが生きている実感を得てその命を輝かす、一生に一度の奇跡の夜だ。
最後まで大熱狂し、これで終わりかと思われる中、響から「もう一回行くぞー!」とうれしい宣言。この日一番の熱狂に揺れる中、最後はステージが見えなくなるほどのド派手なスモークに包まれる。
「大阪ー!ありがとう!めちゃくちゃでしたね、でもそれが最強で最高でした!」とKISAKIが語ると、会場全体から大きな拍手と声が送られた。

彼らの音はパズルのピースのようで、それぞれが異なる欠片を持ち寄り一枚の絵を造り上げる。しかしその絵は、THE LOCUSの5人、KISAKIの呼びかけに応えたバンドだけでなく、ここに集った人々がそれぞれ持ち寄った思いが重なり合い、この日ようやく完成した。KISAKIがステージを見上げながら描いた景色、それは彼の音楽人生で最も美しい形となって現実のものとなったのではないだろうか。
THE LOCUSは泡沫の夢のように儚く、祝福の音色を響かせ惜しまれながらも幕を閉じた。
しかし、彼らの存在はここに訪れた人々の記憶に残り続け、音楽はCDという形となってヴィジュアル系シーンの歴史に強く刻まれた。たった一夜、しかし間違いなく伝説として残る彼らの音楽はこれからも人々と共に生き続け、新たな歴史を作ってゆくのだろう。 そして、生誕半世紀という節目を迎えながらも、KISAKIの目にはまだ音楽と共に生きる熱い夢が宿っている。次の舞台を見据え進み続けるKISAKIの背中をこれからも追い続けたい。


Writer:藤村 栞里 Photographer:春川 眞 / Satoki Demoto
<セットリスト>
Little Lilith
- Double Suicide
- Retribution
- Delete
- Phoenix
- ZERO
椎名ひかり
- 魔界女子☆恋モード
- 餞タ夢ケ
- ダイキライ
- 模範解答少女
- バババーババウムクーヘン
FEST VAINQUER
- Nightmare
- ヴァレンシアとヴァージニア
- 現代的疑惑都市’DOUBT!’
- 宴~utage~
GOTCHAROCKA
- Gotcha6ka
- MONARDA
- 撃愛
- The Ruler’s Play
- Ash
NoGoD
- 神風
- カクセイ
- If possible
- ジョンドウに捧ぐ
摩天楼オペラ
- BLOOD
- EMBRYO
- もう一人の花嫁
- EVIL
- Psychic Paradise
- GLORIA
SEX MACHINEGUNS
- みかんのうた
- ハイウェイスター
- ファミレスボンバー
- 桜島
- ONIGUNSOW
Psycho le Cému
- ノスフェラトゥ
- 愛の唄
- シャクティシャクティアスティ
- Murderer Death Kill
- Revenger-暗闇の復讐者-
- 君がいる世界
THE LOCUS
- fairy times memory
- Unknown zero distance
- …Air
- deep sky
- Pixy false
- NEO ARK
大セッション
- 神歌
