2026.06.02
【ライブレポート】NETH PRIERE CAIN新体制単独公演TOUR「開花ノ音-TOUR FINAL東京編-」-2026.5.27(wed) 渋谷WWW X-

昨年、NETH PRIERE CAINは大きな決断を下した。新メンバーに大馳(Gt)とMaya(Ba)を迎え、2026年2月2日の新体制初公演「原初の種」より5人体制として新たなスタートを切ったのである。あれから約4ヶ月。全国を駆け抜けた新体制単独公演TOUR「開花ノ音」が、5月27日、渋谷WWW Xにてついにファイナルの時を迎えた。彼らがこのツアーで何を得て、どのような「音」を咲かせたのか。「祈願者(ファンの愛称)」が放つ熱気に包まれた、渋谷での一夜を詳細にレポートする。
暗転とともに沸き起こる歓声。ステージに現れた5人が放った一曲目は、5人体制となり初めてリリースされたシングル、『羽化の知らせ、威厳なる詠唱』からのナンバー、『威厳のアリア』だ。メンバー4人がひらりと回転する優雅なパートでは会場のボルテージも一気に加速する。続く『「カトレア」』では、樹の「踊りましょう」という誘いに合わせ、祈願者が左右にステップを踏み、大馳も手拍子で煽りを入れ、序盤からWWW Xを巨大な舞踏会場へと変えてみせた。
樹の「東京ー!」という鋭いシャウトとともに、ドラムの剣路が立ち上がって会場を鼓舞し、『LIVING DEAD』へ。珠璃がステージ狭しとギターをかき鳴らす中、祈願者たちは激しいヘッドバンキングで応え、その熱狂はそのまま『棘』へと引き継がれた。


中盤、幻想的なイントロと「いつかたどり着ける未来が来るのならば、この場所で眠りたい」という樹のモノローグから始まったのは、『AVALON~約束の地を求めて~』。樹の透明感あふれるハイトーンが理想郷を描き出すと、続く『Le Ciel~空へ還る夢境』では、再び華麗なダンスステップで会場全体が物語の一部となった。
さらに、印象的なリフで世界観に一気に引き込む『静』、そして耽美系の系譜を感じさせる『Gilles de Rais~惡への誘い~』を披露。重低音が響き渡るサビで会場が大きく揺れ、前半戦は幕を閉じた。
暗転中、止まないメンバーコールを受けて再び舞台に明かりが灯ると、樹がマイクを握った。 「この5人でのツアーが始まった。この決断をして、大成功だったと思っている」。 そう語った樹は、5人体制が決まった時に書いたという曲『Le Ciel』への想いや、旧体制最後のライブでも披露された『「ベロニカ」』について、今までの歴史を歌詞に書きとめ、どのような未来が見えるんだろうという願いを込めて歌ったことを吐露。「聴いてください、『「ベロニカ」』」というコールの後、歌詞のリピートがないというこの曲が冒頭はシャウトも交えながらも全体的にしっとりと歌い上げられ、祈願者たちの胸を強く揺さぶる。
続く『オルレアンの少女~la Pucelle d’Orleans~』ではドラマティックなギターフレーズが鳴り響き、熱量はさらに一段階引き上げられた。2本のギターとベースが織りなす重厚なサウンドは『過去の景色にさよならを。』、そして『#心身欠落的感情障害』へと繋がり、会場のボルテージは最高潮に達した。
ライブ終盤、舞台が赤く染まり、祈りの時間を経て『Thanatos -散りゆく華–』へ。この曲でもメンバー4人がひらりと舞い、1曲目から紡がれる長い物語を見ているような美しさを提示する。続く『#自己犠牲的精神障害』では大馳が祈願者たちに微笑みかけ、珠璃はフロントへ躍り出て盛り上げた。
クライマックスは、Mayaのベースソロから、珠璃・大馳のギター共演へと繋がる『狂進曲 -invisible scar-』。5人体制ならではの厚みのあるサウンドに、大馳とMayaの力強いシャウトが加わり、バンドの強固な一体感を証明してみせた。本編最後、「この5人で立っている姿こそ、何よりもかっこいい。俺たちと美しい戦いを始めようぜ!」という樹の叫びとともに『Les Misérables~最後の晩餐~』が始まる。5人の魂が激突し、昇華していくような熱演に、会場は最高潮の盛り上がりを見せて幕を閉じた。

再開された映像では、2026年8月19日のニューシングル『相剋の烙印』のリリースと、次なる全国単独公演TOUR「叛逆謳歌」の開催、そしてツアーファイナル8周年記念単独公演が2026年11月30日、会場は東京キネマ倶楽部であることが発表され、この日一番の歓喜の声が上がった。
その後のMCでは、メンバーそれぞれの熱い想いが語られた。 剣路は「5人で4ヶ月やってきて、ようやく1つになってきた」と語りつつ、「演奏中、シャウトを求める樹の大馳へのマイクの向け方が悪く、マイクにぶつかる音が聞こえてくる」という微笑ましいエピソードも披露し、会場は笑いに包まれる。バンドの持つ叙情性のある世界観や高い演奏力とはギャップのある、こういった笑いの起こるMCもNETH PRIERE CAINの魅力であり、ぜひLIVEにも来てみてほしい。
大馳は加入時の樹の「メンバーの人生を背負っていく」という言葉に触れ、「このツアーが始まって、しんどかった時、反省する時、もっと出来たかもと思った時に樹の言葉をふと思い出し、俺もメンバーの人生を背負いたいと思った」と語った。Mayaも「ここを選んでよかった。ライブは楽しさしかない」と笑顔を見せ、珠璃は「どの時代のネスプリも宝物としてバンドを続けたい」未来への決意を新たにした後、思い出したように東京キネマ倶楽部公演が決まった際の大馳とのエピソードも披露される。大馳が「キネマかぁ、いいな。キネマでライブするネスプリ、(客席から)見てみたいわ」と呟いた後、直後に「あ、あかん、俺(今はネスプリの)メンバーで、見られへんわ!」と自らツッコミを入れる一幕があったそうだ。かつては別のバンドに在籍し、NETH PRIERE CAINを外から見守っていた大馳らしい発言に、会場は大きな笑いに包まれた。
この和やかな空気の中、最後にマイクを握ったのは樹。「改めて今日は来てくれてありがとうございます」と感謝を述べた後、自身がヴィジュアル系シーンの熱狂的なファンであり、このバンドがようやく掴み取った夢であることを明かした。珠璃と出会い、剣路を誘って始まった物語。しかし、旧4人体制から3人体制となった時期は「このままだと落ちてしまう」と、強い闘争心と向き合う日々だったという。「何が正しいかわからない状態で、がむしゃらに動いてきた」と、生き残るために必死だった当時の心境を、思いを込めて振り返った。
そんな激動の中で出会った新メンバーへの信頼は、言葉の端々から溢れていた。ベースのMayaについては、初めてサポートとしてMayaが参加し4人でステージに立った日から「絶対にMayaくんと一緒にやると決めていた」と告白。そんな樹の熱い言葉に対し、当のMayaが「言っていたかな?」という反応で戸惑うと、会場からは温かい笑いが沸き起こった。さらに樹は、曲だけでなく歌詞の意味まで深く理解しようとしてくれるMayaの姿勢を称賛し、彼の加入によって加わった「シャウト」という新しい色が、今のネスプリに欠かせない武器になっていると語った。


そして、ギターの大馳については「バンドを始めて最初にできた、当時唯一ラフに話しかけてくれた友達」と紹介。始動当初から一番近くでバンドの成長を見守ってくれていた大馳に対し、バンドがより大きく羽ばたこうとした時、真っ先に「入ってほしい」と口説き落としたという秘話を明かした。
メンバー一人ひとりの人生を背負い、この5人で「美しい戦い」を続けていく。樹の言葉の一つひとつに、新体制としての揺るぎない覚悟が刻まれていた。
アンコールの幕開けは、軽やかな高揚感をもたらす楽曲、『描く夢-Michael-』。続く『Aphrodite』では祈願者が左右に大移動し、『Jealousy…』、『RAGNAROK-終末の誓い-』へと休む間もなく畳み掛ける。そしてラスト、代表曲の1つである『VALHALLA-Epilogue of the world-』では、会場中の祈願者が天に向けて「祈り」を捧げるシーンも多く、締め括りにふさわしい世界観が広がったうえで、物語のような一夜は幕を閉じた。
今回のツアーファイナルを経て、NETH PRIERE CAINは単なる「新体制」という枠を超え、より強固に進化した。彼らが継承する「古」の美学は、5人となった今、より色鮮やかに、より激しく現代に咲き誇っている。8月発売のニューシングル、そして次回ツアーのファイナルとなる東京キネマ倶楽部での8周年記念単独公演へと続く「叛逆」の物語を、絶対に見逃してはならない。

Writer:紫浦 央 Photographer:折田 琢矢
<セットリスト>
- 威厳のアリア
- 「カトレア」
- LIVING DEAD
- 棘
- AVALON~約束の地を求めて~
- Le Ciel~空へ還る夢境~
- 静
- Gilles de Rais~惡への誘い~
- 「ベロニカ」
- オルレアンの少女~la Pucelle d’Orleans~
- 過去の景色にさよならを。
- #心身欠落的感情障害
- Thanatos -散りゆく華–
- #自己犠牲的精神障害
- 狂進曲 -invisible scar-
- Les Misérables~最後の晩餐~
En1
- 描く夢-Michael-
- Aphrodite
- Jealousy…
- RAGNAROK-終末の誓い-
- VALHALLA-Epilogue of the world-
<RELEASE>
NETH PRIERE CAIN NEW SINGLE「相剋の烙印」
2026.8.19 RELEASE!!
<LIVE>
†NETH PRIERE CAIN単独公演TOUR「叛虐謳歌」†
2026.9.07 札幌Crazy Monkey
2026.9.08 札幌Crazy Monkey
2026.9.16 西川口Hearts
2026.9.17 新横浜NEW SIDE BEACH!!
2026.10.10 両国SUNRIZE※Maya聖誕
2026.11.02 福岡OP’s
2026.11.03 広島SECOND CRUTCH
2026.11.05 梅田Zeela
2026.11.15 四日市CLUB CHAOS
2026.11.16 名古屋ell.FITS ALL
-TOUR FINAL-
NETH PRIERE CAIN 8周年記念単独公演
2026.11.30 東京キネマ倶楽部
<関連リンク>
■NETH PRIERE CAIN Official Web site
■NETH PRIERE CAIN Official X
■樹 Official X
■珠璃 Official X
■剣路 Official X
■Maya Official X
■大馳 Official X
