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【ライブレポート】DEATHGAZE 20TH ANNIVERSARY 2DAYS ONEMAN 「DEATH NIGHT 2023」

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2014年12月23日に無期限休止を発表したDEATHGAZEが9年の沈黙を破り<20th ANNIVERSARY 2DAYS ONEMAN DEATH NIGHT 2023>として復活した。
12月22日・23日と2日間に渡って行われた公演は、復活を願い続けたファンだけでなく、この9年間でDEATHGAZEと出会ったファンも心待ちにしていたという。誰もが待ち望んだ祭典の様子を、12月23日の公演からお届けする。


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眩い閃光とともに会場からは力強いコールがかかる。二日目を迎えたライブのボルテージはすでに最高潮。メンバーたちが登場すると会場中から歓声が上がり、場内は熱気に包まれる。4人がステージに立つと、歓声の中から確かな緊張感が伝わる。
「さあ行くぞ!」
SEが消えた一瞬の静寂の後、掛け声とともに観客は一気に拳を突き上げる。
前日の熱狂をそのまま受け継いだような全開のパフォーマンスで幕を開けた。ギラギラと輝くステージから観客を煽り、今日という特別な時間を確かめ合う。激しさを纏いながらも繊細で美しい歌声で『GOD BLESS YOU』を歌い上げる。続く『Evoke the world』は、イントロが流れると会場からは歓声が巻き上がり、ゾクゾクと体を駆け巡る期待と興奮が入り交じる。夜空のような深く青い光がメンバーを照らすと4人の刻むメロディにファンは思い思いに体を揺らし、9年ぶりとは思えぬ一体感に包まれる。誰もがこの瞬間を待ち望んでいたに違いない、そう確信できるほどの空間が生まれていた。
「ようこそー!」
先程のきらびやかな世界から一転、直樹(Dr)の激しいドラムソロから始まり、燃え盛る炎のように情熱的で瞬間的な輝きを放つ『RING THE DEATH KNELL』。貴樹(Gt)はギターソロで会場を沸かせ、止まること無いスピードで駆け抜けていく。「二度とない今を歌い 愚かに死ねばいい」と高らかに歌い上げる様に合わせて、観客は激しく拳を突き上げる。まさに今日という日にふさわしい一曲が輝きを増していった。

熱は冷めることなく『USELESS SUN』へと続く。全身に響き渡る重低音に華を添えるような、透明感のある歌声に聞き惚れる。激しさの中に優しさをまとった歌詞に、観客は煽られるより先に手を伸ばす。孝介(Ba)もこの瞬間を噛みしめるように、歌詞を口ずさむ姿が印象的に映った。『quench』では、一層深みが増し、感情的に激しく暴れ始める。藍は観客に向かって指を指し、この場所で互いの存在を確かめ合う。
軽やかにステップを踏みながらも荒々しく大胆に、感情のままに自由にステージを駆けるメンバーたち。藍が貴樹にマイクを向けると、貴樹も観客に向け大きく吠える。
「ガンガン飛ばしていこうぜ!」
会場中から巻き起こるヘドバンによる圧巻の景色が広がる『SILENCE』では、皆が待ち望んできたということが空気を通じて肌で感じられる瞬間であった。会場の熱気を全身で浴びたメンバーは、より一層力強く音楽で応える。『DOWNER』では折りたたみによって会場が揺れる。重低音で彩られるは激しく咲き誇り、一瞬を切り裂いたベースソロによって皮膚が痺れるほどの熱狂が舞う。
「足んねえんだよー!」
これだけの熱を帯びて尚、まだまだ求め足りないといった藍は、観客に向かって水を吹きかける。それも一瞬で蒸発しそうな会場は更に激しく魂をぶつけ合う。
曲が終わると同時に歓声が会場を包み込み、メンバーを呼ぶ声は鳴り止まない。待ち望んだDEATHGAZEのステージはあっという間に、後半へと向かう。

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そして藍にとっても特別な曲だという『amends』を披露。木漏れ日のような優しさをまとった光と、雪のような鋭く冷たいメロディが交差する空間に観客は息を呑む。儚くも美しく、悲しみをまとった詩は会場にいる全員に響いていただろう。先程までの熱狂とはまた違う、胸の奥から込み上がる感情を表すように、大きな拍手に包まれた。
『メメント モリ』ではまた表情を変え、妖しくも艶のあるメロディが響き、『paranoid parade』へと繋ぐ。そして、藍は客席へと手を伸ばしその存在を確かめ合う。

「ここにいる全員DEATHGAZEです!今日は何回も感謝してますっていいます。それくらい感謝してます!」
MCでは藍がファンへの思いの丈をまっすぐに伝えると、会場からは大きな拍手と歓声が上がる。「とにかくみんな血色が良い」と、観客の高揚具合を表す藍の言葉選びに会場は苦笑しつつ、今日この場所に集まったことを互いに喜び合う瞬間であった。
「DEATHGAZEの皆さん思いっきり暴れていけるか!」
穏やかなMCを切り裂いた『UNDEAD FACT』。藍の絶叫に合わせて会場はまた熱を帯び、マイクを渡された孝介も大きく吠える。「燃えろギター」の煽りとともに、貴樹のギターが激しく唸る。『domestic pig #1013』『fuck me』と激しい曲が続き、メンバーも自由自在にステージ上を暴れまわる。輝く照明、静と動の織りなすリズム、どくどくと脈打つ振動が、彼らの魂を鮮やかに輝かせる。20年という時の中、一度も消えることのなかった輝きがここに来て一層増してゆく。

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「全ては直樹さんのテンションにかかっています!ついていこうぜ!やっちゃおうぜ!うちの直樹やばいぞ!」
その言葉に応えるようにして、直樹は激しくドラムを叩く。それに合わせて会場全体が震えるほどの声と熱狂が混ざり合う。『I’m broken baby』『リヒトゾイレ』と更に激しさを増す会場で、藍は獣のように力強い咆哮と、優雅で美しいパフォーマンスで観客を魅了する。
『abyss』が流れると、藍は両手を広げ天を仰ぎ、会場の空気を全身で浴びる。貴樹と孝介がステージの左右から観客を煽る中、藍の歌声がしっかりと響く。自由にステージを跳ね回るメンバーと、留まるところを知らない激しいヘドバンから、この空間を心から楽しんでいる様子が伝わってくる。会場の熱気は上昇し続けたまま、本編最後の曲へと向かう。
「死ぬ気でやろうぜ、名古屋!」
全力の咆哮に応えるように、拳を振り上げ全員が全身全霊でぶつかり合う。今日一番の激しさと重低音に全身が痺れる。
藍はステージを降りると、客席から煽りだす。この空気をファンと同じ目線から感じ、ステージに立つ3人の姿を捉える。この場に集まったファン…DEATHGAZEのメンバー達とともに、20周年という特別な瞬間を確かめ合う。

割れんばかりの拍手と共にメンバーがステージを去ると、間髪入れずに「DEATHGAZE!」と彼らを求める声が響く。そして呼び声は次第に「直樹!」へと変わり、直樹が1人でステージに登場。ドラムソロが始まると会場は拍手喝采。続いて孝介も加わりベースセッションとなる。うねるような重低音に観客は体を揺らす。貴樹と藍もギターを手に合流すると、4人の音が複雑に絡み合い、力強いメロディが生まれる。まだ足りないと言わんばかりに激しく音を掻き鳴らし、空気が揺らめく。
ギラギラと輝くステージから、暗く深い空間から始まる『THE END』。星が瞬くように徐々に光を増し、華やかな閃光と共に色鮮やかに音が響く。
続く『DEAD BLAZE』では、雷に撃たれたかのように全身が痺れる感覚が走る。
「これがDEATHGAZEだ」と見せつけんばかりの演出からに思わず息を呑んだ。藍は真っ直ぐに手を伸ばしその言葉を響かせる。
「ここにいる全員に送ります」
そう言うと、藍は逆光の中静かに微笑んだように見えた。『DEAREST』の歌詞をひとつも零さず伝えるように、丁寧に言葉を紡ぐ。宣言通り、この場に集った全員に向けられたメロディは、確かに全員の胸に響いたであろう。

しかし、静かなムードで終わらないのがDEATHGAZEというもの。ここで藍からスマホでの撮影を提案。『BRAND NEW KISS』『スカトロジスト』と続き、激しく揺れる中でも観客は嬉々として彼らの姿を画面に焼き付ける。手のひらに収まりきらない熱狂はステージが空になっても続き、まだまだ彼らを求める。9年の空白を埋めるように、観客はDEATHGAZEを求め続ける。

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そして二度目のアンコールが幕を開ける。
「俺たちがDEATHGAZEだ!」その言葉にはここにいる全員が含まれていたに違いない。全力で、全てを絞り出すように藍は声を張り上げる。サビを全員で歌い上げ、会場は一体となり共鳴し合う。その熱を保ちながら『294036224052』へと繋ぎ、最後にふさわしい激しいヘドバンが巻き起こる。これまでと比べ物にならないほどの熱狂が会場を包み込む。
「もっとやろうぜ!もっと好きにやろうぜ!」
藍が煽ると、曲は2周目に突入する。勢いは衰えるどころか更に激しさを増す。今日を終わらせたくない、誰もがそう願うかのように、3周、4周と曲は続く。「死ぬまでやろう!」と藍は宣言すると、ベース、ギターとパートを交代しながら何度も何度も曲を繰り返す。
震え上がるほどの熱気と轟音が会場を埋め尽くす。あと3回、あと2回、と宣言される度にその勢いは増していく。最後の瞬間まで、悔いを残さぬようにDEATHGAZEの一員として彼らに応え続ける。

ついに迎えた最後の1回。最大級の強さと、全身から溢れ出る思いを互いにぶつけ合うと、会場は割れんばかりの歓声に包まれる。
そして、この日のMCで藍は「この先どうなるかわからないけど、やれるときはまたやる。その時生きてたら全員会おう」と宣言。20周年を迎えて集まったメンバーが、不確かな未来を照らす約束を交わしあった。
いつか再び出会えると信じて、DEATHGAZEの20周年は輝かしい笑顔で幕を降ろした。


次のページでは撮り下ろし写真を公開!

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