8年の沈黙を破り再始動を発表したSadie。
自身初となるセルフカバー・アルバム〈THE REVIVAL OF SADNESS〉も発売され、注目が高まっている今、ついに5人が同じステージに揃う日が来た。誰もが待ち望んだ3月17日(日)開催・復活公演〈THE REVIVAL OF SADNESS〉豊洲 PIT公演の様子を余すことなくお届けする。
待ち続けていたファンは勿論、この8年の間にSadieを知った人も多いのではないだろうか。活動再開の発表から実に8ヶ月、今日という特別な日を目に焼き付けようと、多くのファンが会場に足を運ぶ。厳かなクラシック音楽の鳴り響く場内では再会を喜び合う声も飛び交い、その誰もが期待に胸を膨らませ開演の瞬間を待ち望む。
SEが鳴り止むと、大歓声が空気を震わせた。一瞬で湧き上がるその熱気に期待値の高さが伺える。
メンバーの登場にファンは大きな歓声と拍手で出迎え、5人がステージ上に揃うと皆は息を呑むが、静寂は一瞬。直後、割れんばかりの歓声でメンバーを呼ぶ声が広がる。Sadieの新たなる歴史が今動き始めた。
ビリビリと響くイントロに思わず全身が震える。これがSadieだと言わんばかりの迫力で会場を圧倒する。歓声と共にファンは拳を突き上げ、慣れた様子でリズムに乗る。1曲目は彼らの表題曲『迷彩』だ。
巨大なバックスクリーンに映し出される荘厳な映像と眩い輝きに包まれて、ステージはギラギラと鮮やかに弾けだす。光と音、そして映像が混ざり合う空間が始まりを告げる。全身を突き刺すようなヘヴィなサウンドが駆け抜けてゆく。
ラスサビの直前、5人は演奏を止めファンを見つめる。ファンは彼らの思いを受け止め、すぐさま5人の名前を叫ぶ。声は徐々に大きくなり、もっともっとと景は激しくドラムを叩く。ファンとメンバーが互いの音を求め合い、音は更に大きく響く。ボルテージの高まりが最高潮を迎えた瞬間、5人は音を響かせて迷彩を美しく奏で上げた。
続く曲は『心眼』。サウンドに合わせて会場は一斉に揺れ、ファンも一体となって曲を作り上げる。スクリーンは歌詞を映し出し、音だけでなく視覚的にも鮮やかにその世界を彩る中を、真緒の激しくも美しいハイトーンが会場全体を駆け抜けていった。
ピンクの照明が今までとは違う雰囲気を演出し、流れ始めたのは『MAD-ROID』だ。同時にファンは慣れた様子で髪を振り乱し、手拍子へと続く。剣は魅せつけるようなギターでファンを圧倒し、美月のパフォーマンスは妖艶に揺らめく。景と亜季は互いに向き合い、息のあった演奏を見せつける。
極彩色の照明がステージを照らす。それはまるで、再会の喜びを象徴するように美しく輝く。さらに、ステージからはCO2が吹き上がりさらに会場を盛り上げる。
一曲終わるたびに会場は歓声に包まれる。皆が望んだ今日という日を手放さぬように、何度も何度も拍手が響き渡る。
「ここに5人が帰ってきました。ひとつだけ、ただいまー!今晴れてこの5人、約8年ぶりに集合しました。全力で今日、8年分溜まってるもん全て出してこい!」
──真緒
MVをバックにして『Ice Romancer』が始まると、会場からは歓声が上がる。これまで歩んできた歴史を振り返りながらも、今のSadieの強さを全身でぶつけるように、サビではMVからライブ映像に切り替わる。パワーアップした5人の勇姿をファンに見せつける堂々した演出に思わず心が揺さぶられる。
時を超えても色褪せない魅力と同時に見せる、今のSadieの圧巻のパフォーマンスに会場からはこれまでにないほどの歓声が湧き上がると、激しいギターソロからのイントロが始まる。
会場は息を呑み、壮大に広がる世界を見守る。激しさの中に美しく堂々とした輝きを放つ『Payment of Vomiter』だ。毒を纏うような、禍々しくどこか恐ろしさも感じる神秘性を持つサウンドが響く。大地が震え、燃えるように、真っ赤に染まったスクリーンが5人のシルエットを浮かび上げる様子は、脳裏に焼き付き強く印象に残っている。赤く燃える情熱を保ちながら、ライブは更に激しさを増し、『under the chaos』、から『melancholia』へと流れ行く。
儚げで美しい、しかしどっしりと全身に響く亜季のベースソロに誰もが無言で聞き惚れる中、美月のギターが音を重ねると、混ざり合う重厚なハーモニーがびりびりと肌を焼くように突き抜ける。すべてのサウンドが、美しく絶妙なバランスで曲を彩ると、最後は真緒の独唱で美しく終止符を打つ。その神々しさに誰もが息を呑んでいた。
その感動に浸る間もなく、ステージ上の松明には火が灯され始める。揺らめく炎が情熱的に5人を照らす中、歌い上げるのは『嘆きの幸福』。それは儚くも、しかし力強く、暗闇を照らす道導のように暖かくステージ上で輝いていた。
剣のギターに合わせた真緒の優しい歌声が光る。先程とは打って変わって、雪のような白く儚いメロディーが染み渡る『サイレントイヴ』だ。真緒は観客にもマイクを向けながら共に歌う。イントロから聞き入るファンの背中からも伝わっていたが、その歌声は喜びに溢れ、優しく丁寧に歌い上げる。
最後は剣のギターと真緒の歌声が、嘆き悲しむような痛みを持ちながらも美しいサウンドで幕を閉じる。
「ありがとう」
真緒の一言に、会場からは割れんばかりの歓声が巻き起こった。
そして、ここからさらにステージは色を変え、激しく燃える『Crimson Tear』にファンも一斉に暴れ始める。剣と亜季は2人、眼を見合わせて音を奏でる。
「楽しんでるか東京、もっともっと楽しめんだろ、8年間の思い、今日ぶつけに来たんだろ!昔は青春だっただと。今も青春だろ!見ろよ俺たち、8年変わってないだろ!お前らも変わってないだろ、だったら関係なくブチかませ!」
──真緒
その思いに応え、待ってましたと言わんばかりの大歓声から始まる『Griveing the dead soul』。CO2が吹き上がり、メンバーは皆ステージ前方へ躍り出て激しく煽る。
会場は縦に大きく揺れたり、手を伸ばしたりとファンと共に曲を作り上げる。
「生きてるか東京!」と真緒は何度も叫ぶと、ファンも全力で叫び返し、再会の時を喜び合う。会場が壊れんばかりの振動と熱気に、これがSadieだ!とその存在を、ファンと共にある5人の勇姿を見せつける。
しかし、それでも満足しないのは8年の空白があるからこそ。
「声を聞かせてくれ!存在を証明しろ!生きてるか!もっと、鳴り止まない声を!」真緒は更に煽ると、始まったのは『M.F.P』。メンバーは煽りながら広いステージを駆け回る。メンバーは皆、向かい合い、時に肩を預け、一人ひとりがステージ上での再会を噛み締め合う。
「楽しんでこうぜ」
宣言通り、ポップで激しくカラフルな映像とともに『VIRTUAL FAKEMAN』が始まる。サビでは一斉にジャンプし、楽しげに腕を振り上げる。
毒々しくも中毒性のあるサウンドに合わせ、上手下手と入れ替わりステージはお祭り状態に。そしてサビはファンと共に歌う。たとえ会えなくとも、ファンの中で曲はずっと生き続けていたのだと、その歌声が証明する。
「まだまだお前たちの声が足りねぇぞ」
激しいヘドバンから始まる『サイコカルチャー』に会場の空気は最高潮。
会場は震え、燃え盛るような熱気が、さらにメンバーの火を付ける。
「生きてる証を見せてくれ」
拳とともにファンは声を張り上げると、新たな音が生まれる。全身を貫くような歓声が、誰もが青春の真っ只中にいるのだと語っている。8年分の声はどれだけぶつけ合っても、もっともっとと鳴り止まない。これがSadieを求め続けた人々の思いなのだ。
「お前たちの居場所はここだ!」
高らかに宣言する真緒。激しいヘドバンに歪むサウンド。大歓声のまま大サビへ続く。下から突き上げるような激しい折りたたみに、観客の熱量は衰えを知らないまま溢れ続ける。
「ラストいけんのか!」
あっという間に、本編最後の曲『陽炎』だ。
「お前たちの存在を証明してくれ」
真緒の言葉に合わせてイントロから拳が突き上がると同時に、閃光と共に銀テープが弾け飛ぶ。銀色の輝きが美しく空を彩る中、拳を突き上げ、その存在を全身で証明する。そして、最後の音は5人がドラムの前に集まり、激しく音をかき鳴らす。
「ありがとう東京」
鳴り止まない歓声の中、5人はステージを後にした。
当然、本編だけで満足出来るファンなどおらず、すぐさま会場は5人を求める声で埋め尽くされる。そして、その思いは5人も同様。再びSadieがステージに揃う。
「8年間待っててくれてありがとう。マジで感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとう。ライブにも色んな人が携わってくれて皆の力でステージに立たせてもらってます。(皆に)拍手お願いします」
──景
「ただいま。久しぶりだから許すけどおかえりなさいませ、な。初めての人もいるよね。ベースの亜季です。ホントに感謝してます。それをベース、シャウトに乗せてぶつけたつもりです。それ以上言うことはないです。ありがとうございます」
──亜季
「うるさい(笑)ありがとうございます!8年8ヶ月、しつこく復活せえと応援してくれてありがとうございます。あなた達のしつこさがあって今日ここを迎えることができました。うるさい!8年間応援してくれてありがとう。8年間あなたたちが支えてくれたから。今日ここに立てていると思います。しかしうるさいね(笑)」
──美月
「手つりそう(笑)力入っちゃって。ありがとうございます!本当に生きててくれてありがとうございます。拍手。
体調とか色々あるかもしれないけど、生きててくれたからこうやってまた会えたんです。頑張らんでいい、ただ生きてるだけで、こういう日を迎えられるんですってことを感じました。
昨今活休や解散するバンドが多い中、生きててさえくれればまた会えるかもしれない。俺等もいつ復活できるかわからんかった。でもそれって結びつくんですよね。これからも一緒に生きてください。ありがとうございました」
──剣
「僕たちも再結成迎えて、なんにも変わってなかったんですよ。8年経ったら余所余所しくなりそうやけど、大阪でバンド組んだ20代の時となんにもかわらず、あの感覚で第一声が揃った。コレが出来るのがホンマに仲間やなと実感しました。時が経っても変わらず塊になって5人が揃った。アンコールまだ見せてくれるよな、生きてるところ見せてくれ!かっこいいとこ見せてくれ!俺達がSadieだ!」
──真緒
真緒の宣言から始まる『GRUDGE OF SORROW』。
スクリーンには大きく「Sadie」のロゴが浮かび上がる。背負い続けて来たその名前を堂々と掲げ、真っ直ぐにその存在を、強さを見せつける圧巻のパフォーマンスだ。ファンは全力のヘドバンで5人の思いに応える。
「まだまだいけるよな」
激しい縦揺れに全身が震える。青とピンクの照明から真っ赤なステージへと染め上げるは、ライブでも定番の一曲『妄想被虐性壁』だ。
激しいドラムが鳴り響き、まだ暴れ足りないというように会場は激しく、大きな生き物の鼓動のような一体感を持って揺れる。赤いレーザーが誰一人逃さないように何度もフロアを横切ると、ここにいる誰もがSadieを作り上げる細胞のように色づき、激しい照明は彼らの命の息吹のように眩しく、力強く輝く。
美月もお立ち台に立ち激しく煽ると、ファンはさらに勢い付き、全身全霊で迎え撃つ。
「ホンマに今日はありがとう、ラスト、俺達の思い、お前たちに届けさせてくれ」
復活の日を飾る最後の1曲『a holy terrors』が流れ出すと会場は一気に湧き上がる。
モニターにはライブ映像とともに歌詞が浮かび上がる。それは8年待ち続けたファンに送るSadieからの特大のラブレターのようだ。
「ひとつになれるか。一緒に歌ってくれ」
真緒の一言にファンは全身で応える。
──独りじゃない 傍にいてるから 離れていても
今日という日を迎えるまで、誰もが復活を夢見て、それぞれの道を信じて見守ってきたのだろう。今日この場所に集まることができたのは、離れていても皆決して独りではなかったから。どんなに遠くても、時間が経っても、皆の心のなかにSadieが存在していたから。それを、メンバーも皆感じ取っていたのだろう。
全員の大合唱を終えると、真緒ははっきりと「ありがとう」と告げた。
それぞれの思いを胸に、ついに最後の瞬間を告げる。
「俺達がSadieだ!」
その言葉に応えるように、ファンは一斉に手を伸ばす。最後のサウンドは力強く、会場を眩い光が照らすと、大きな拍手に包まれる。
「あらためまして、今日はありがとうございました。
8年経って、応援してくれるみんながいて、8年経って、どうやって知ってもらおうか頭抱えて、でも仲間がいて後輩がおって、先輩がいて、沢山の人に支えられて今日を逢えることが出来ました。
沢山の人に愛されてここに立つことが出来ました」
最後の真緒の挨拶にファンは大きな拍手で応える。そして、終演後には9月21日の3マンの発表、最後にファンへ向けた5人からのメッセージがスクリーンに映し出されると、大歓声に包まれたまま復活公演は幕を閉じた。
彼らを待ち続けた8年間。それは決して短い時ではなかったが、離れていても共に想い、皆が再び歩き始める時を信じて待ち続けていた。だからこそなり得たこの景色を胸に、次のライブへと期待は高まる一方だ。
見事な再開の狼煙を上げてくれたSadieのこれからの活躍も大いに期待していきたい。
Writer:藤村栞里 / Photographer:小松陽祐
2024年3月17日(日)
- 迷彩
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- 嘆きの幸福
- サイレントイヴ
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- Grieving the dead soul
- M.F.P
- VIRTUAL FAKEMAN
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- 陽炎
En
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- 妄想被虐性癖
- a holy terrors
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