「EVIL TOUR 2024」で東名阪を駆け抜けた摩天楼オペラ。さらに、全国ツアーやイベントが続けざまに発表されるなど、17周年を目前とした彼らの歩みは止まらない。東名阪ツアーを終え、次なる高みを目指すVo.苑にこれまでの軌跡を振り返りながら今の思いを語っていただいた。
——まずは「EVIL TOUR 2024」お疲れ様でした。今のお気持ちを聞かせてください。
名古屋と大阪であの大きさに挑むのは初めてだったので、ちゃんと形になるか不安はありましたが、ここ最近の名古屋、大阪公演よりも多くの方に来ていただきました。大きな箱に挑戦していくことに対して、お客さんも何かライブに期待するようなものが生まれたのかなと思います。
——響さんや優介さんがメンバーとして入られてから、動員が伸びているような感覚は実際に肌で感じていますか。
そうですね。コロナが終わってからあの2人の働きはすごくよく出ていると思います。クオリティが上がるのは勿論、 若者が持つ「前に進むパワー」が非常に強いと感じています。
——ツアーファイナル「EX THEATER ROPPONGI」のMCで、4年前は見る側だったが響さんが今は演者側になったとお話されていたのが印象的でした。メンバーの中で、ライブの手応えや次回への展望などは共有とかされたりしましたか。
ライブが終わってからミーティングはしてないので全員の意思確認はしてないですけど、終わった直後のみんなのテンションの高さとかで、いいライブだったんだなというのは思いました。
——ツアーファイナルでは夏のシングルツアーも発表されましたね。久しぶりに盛岡や岡山にも行くとおっしゃっていましたが、この場所を選んだ理由はありますか。
盛岡は燿(Ba.)の生まれた土地なので。 前々から東北は仙台が多く、今度は盛岡の方に行きたいと燿から提案があり、入れることにしました。 岡山も以前は毎年のように行っていたんですけど、コロナ禍で回ることができなかったので、そろそろ少しずつ広げていこうという第1歩が岡山と盛岡でした。
——じゃあ岡山の方々は久しぶりっていう感じで。
かなり久しぶりだと思います。
——全国回られるとその土地のファンの方は嬉しいですし、今まではピンポイントのライブが多かったと思うので、これを機に今後も全国回りたい思いはありますか。
そうですね。もっと広げる予定でいます。
——ツアーに加えて、PURE ROCK JAPAN LIVE 2024、-LIVE摩天狼2024-(男性限定)、 -LIVE魔天女2024-(女性限定)が発表されていますが、まずはPURE ROCK JAPAN出演への意気込みや思いをお聞かせください。
4年連続で呼んでいただけることがまず嬉しいです。
メタルというくくりでも色々なジャンル、ヘビーメタル、ハードロックでやってる中でもだいぶ細分化されてるシーンで、バンドとお客さんが無理なく混ざり合える、ちょっと特殊なイベントなので。フェスっぽい空気で全お客さんが全バンド楽しんでるみたいな…幸せなイベントです。音楽を全部楽しむみたいな。 今回も非常に楽しみにしております。
——メタル好きな苑さんからするとやはりメタルのイベントはワクワクするものなんでしょうか。
ヴィジュアル系のイベントも楽しいので、このイベントだけがっていうことはないんですけど、メタルイベントの中でもこのイベントは特殊な感じです。
——今後もっと対バンだったり、こういったイベントに参加して摩天楼オペラを知ってほしい思いはありますか。それともワンマンを中心に世界観をファンに伝えていきたいのでしょうか。
もちろん両方ですけど、今回はシングルツアーがあるので、作品のことはワンマンでライブを作っていきたいですし、いろんなところにも顔を出していきたいです、今は。 摩天楼オペラは結成17周年だけど結構フットワーク軽くやってるよっていう風に見られたいので。
そうすることでヴィジュアル系もヘビーメタルのシーンも少しずつ動かしていけたら。
ちょっとおこがましいですけど、いろんなバンドとつながってシーンを盛り上げていきたいなっていう気持ちがあるので、イベントはどんどん出ていきたいです。
——男性限定・女性限定ライブも結構久しぶりじゃないですか。
コロナでライブができなくなった 2020年までやってました。
最後にやったのが、そのままコロナ前最後のライブだったんですよね。
——男性限定、女性限定でセットリストは大幅に変えたりしていますか。
いや、いつも男性限定も女性限定もアンコール以外は全く同じ曲でやってます。
本編にバラードとか静かな曲を一切やらないイベントなので。
——やっぱノリとしては全然違う感じになるんでしょうか。
そうですね。女性の方は、やっぱりヴィジュアル系のいつもの乗り方で。振りと掛け声と合唱とっていうのが多いですが、男性の方はずっと歌ってるって感じですね。
——お客さんが!?
もうかなりの音量で歌うので、昔イヤモニしてない時は曲の演奏が分かんなくなるレベルで。
——コロナ以降声出しもできるようになって、メンバーの皆さんもここで盛り上がりたいなっていう気持ちですか。そもそも限定ライブってファンからやって欲しいと声が上がって始まったものなんしょうか。
最初の年だけ男性限定しかやってないんですよね。
やっぱりヴィジュアル系は女性のお客さんの方が圧倒的に多いので、もっとお客さんの裾野を広げていきたい、メタルのお客さんも取り入れたいっていうところもあって始めたんだと思います。その時に男性だけずるいって声が多かったので、翌年から女性限定もやるようになりました(笑)。
——それまではバレンタインデーに男性向けのイベントを。
そうです。バレンタインデーに女性からチョコをもらうんじゃなくて、彩雨からチョコをもらってくれって(笑)。
——そういうイベントを考えられるのって誰が発案されることが多いですか。
凄まじく前の話なのでもう覚えてないです(笑)。
でも、彩雨がマイク無しでアンコールの時に煽りまくってチョコをばらまくのも、3日前ぐらいにチョコ投げようよみたいなちょっとしたノリで始まったりしてた気がするので、事前にめちゃめちゃ考えてっていうわけではなかったです。
——EVILツアーを終えて、イベントや新曲ツアーも控える中、今年としては5月4日の17周年イベントに1番力を入れていると思います。17周年にかける苑さんの思いだけでなく、2007年から続けてきた中での苦労や乗り越えてきたことをお聞きしたいです。
メンバーの脱退が1番辛いことなので、それが何年かに1回起きてしまったのは、正直しんどかったです。それは僕だけでなく、お客さんもメンバーもスタッフもみんなが傷つく出来事でした。
そういう中でいくと、コロナの時は音楽シーン全体が厳しい状況でしたけど、メンバーの脱退よりはまだなんとかしてやろうっていう気持ちがありました。
毎月配信ライブをやったり、何かできることをやろうってメンバーで合致してたところもあり、今なら何ができるんだろうっていうのを模索しながらテンプレなしで音楽活動が出来ていたので。確かにマイナスな出来事ではあるけど、僕たちの経験としてはプラスになったと思っています。
そんな渦中にまたメンバーの脱退があるのですが。
コロナ自体は乗り越えられたと思っています。
——乗り越えたので感じる部分ですね。実際、配信ライブでファンが見えない分、やりづらさもありましたか。
最初はもちろん、ちゃんと届いているのかわからなかったので。床とか壁を見ながら、今まで見てきたオペラーの暴れっぷりを想像しながらやってました。
——今ずっと続けてこられて、メンバーの脱退時に辞めようという気持ちになったことはありましたか。
そうですね。ギターのAnziくんが抜けた時は、僕はもう辞めるつもりでした。
摩天楼オペラを畳もうかなと。
——そこはファンやメンバーの支えで乗り越えられたんですか。
そうですね。他のメンバーは当然やろうよっていう感じだったので、それならもうちょっと頑張ろうかなと思いました。
——新しいメンバーが入り、17周年を前にして、今の5人で何か変わったことや、見てほしいところはありますか。
今の5人に限らずメンバーが変わるとどうしても、毎回バンドの雰囲気や曲は変わってきてはいます。
その中で今までと違うのは、今までいた3人と若い2人の年齢差がすごく離れていても、僕たち年長組が引っ張って2人がそこについてくる感じではない。バンドの1人というより1人のプレイヤーとして自立するのが早い気がしてます。今やらなきゃ、今売れなきゃと思ってるあの年代だからこそ、1番強く持ってる思いは今の摩天楼オペラにすごく良い追い風を与えてくれてるなと思います。
——MAKEで取材させてから、半年ぐらいの間で新しいメンバーの2人がどんどん馴染んでいるように感じています。アンコールの時なんかは特に。
そうですね。場馴れしてきてますよね。
——メンバーと共に苦労を乗り越え、苑さん自身今まで辞めずに続けてきたことに対しての思いはありますか。
やっぱり当時のメンバーや当時のお客さん皆で踏ん張ったからこそ、こうして新しい曲が生まれて、新しいライブの感動がまた生まれてるので、続けていくことはすごく大事なんだなと思ってます。
歌を歌うっていうのがずっとやりたいことで、それは今後も変わらない。ただ歌を歌うだけだったら趣味みたいなものを1人でも出来ると思うんですけど、やっぱり今みたいにバンドを続けて高みを目指して歌うのは、1人では絶対にできないことなので。命を削るじゃないですけど、本当に全部投げ打ってやってくしかないなと思ってます。
——摩天楼オペラを始めた当初と比べて、17年間続けてきて1番大きく変わったこととはなんでしょうか。
今完全に大人なので、いろんな責任が生まれているのは17年前とは大きく違うところですけど、歌いたい自分のメロディーを自分で作って届けたいとか、そういう気持ちは一切変わってないですね。
——ずっと変わらずというとこですね。そこに通ずると思いますが、メンバーの方が休むことはあっても、バンドの活動休止はこれまでされてないですよね。
活動休止をせずにやってきたのは、苑さんとして音楽を出し続けたい気持ちがあったんでしょうか。
単純に止まりたくないっていう思いが強かったですね。止まったからこそ見える景色もあるかもしれないですけど、やっぱりまた走り出すのに力が要りますし。
最前線で活動してないとわかんない感覚とかもあると思うんですよね。だから止まらずやっていこうっていうのは結構メンバーには言い続けてきました。
——なるほど。苑さんからもメンバーにその意思を伝えて引っ張ってこられたんですね。
やっぱり脱退とかがあると、お客さんの気持ちとかを考えて少し休んだ方がいいのではという意見もあったんですけど、僕は止まったらもう走り出せなくなるかも、という感覚でいたんですよね。だから一切止まらずやってきました。
——17年続けてきて紆余曲折色々あった中で、 渋谷公会堂で17年分の思いをどう表現したいですか。
摩天楼オペラが初めてホールでワンマンをやったのが渋谷公会堂でした。その時はたしか半分ぐらいしか入らなくて、いろんな関係者が当分ホールは無理だねって反応でした。
そこからもう10何年経って、今回はリベンジですよね。だからたくさんのオペラーに来てほしいです。
周年のライブは満遍なくいろんな時代の曲たちをやると思います。昔ライブに来てた方たちにとっても馴染みのある曲とかをやる可能性が高いです。ぜひいつの時代のファンもまた集まってほしいなと思っています。
——最後にファンに伝えたいことやメッセージをお願いします。
今年はまだ周年祭っていう1番のお祭りが待っています。その後もイベントやツアーが詰まっているので、いろんなイベントで摩天楼オペラの音楽を楽しんでいただけたらと思います。あとは冬にもイベントがあると思うので、飽きることなく今年はいろんな摩天楼オペラを見せられるかなと思ってます。ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。
Writer:藤村 栞里 / Photographer :高瀬 博(betta)/ Hair makeup:深澤 莉恵(M’s hair&make up)
【Schedule】
17th Anniversary Live
5/4(土)LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂)
-LIVE魔天女2024–(女性限定)
5/31(金)渋谷GUILTY
-LIVE摩天狼2024- (男性限定)
6/1(土)渋谷GUILTY
夏シングルツアー
7/12(金)ElectricLadyLand(名古屋)
7/13(土)梅田シャングリラ
7/15(月・祝)岡山IMAGE
7/20(土)盛岡club change wave
7/21(日)HEAVEN’S ROCK宇都宮
7/28(日)柏PALOOZA
8/3(土)代官山UNIT
8/4(日)代官山UNIT