――まずはお二人の出会いから教えて下さい。
ANNIE A 我々はNoGoDが大好きで。うちのkaiちゃんもShinnoさんが大好きだったり、僕も熊本でバンドやってる時にNoGoDを見に行った経験もありますし。ずっと前から団長のことは見てましたね。
団長 俺は地方で1か所だけCHAQLA.とご一緒する機会があって。基本的に対バンさせていただく人は調べるタイプなんですよ。で、1番衝撃だったのが、情報与える気がないスタイルのオフィシャルサイト。
ANNIE A (笑)。
団長 今リニューアルしちゃったじゃん。
ANNIE A 本当にいろんな人に、あれは変えた方がいいぞって。
団長 でも、俺はネット創世記時代の人間だから、当時のいわゆる電波系のやべえサイトの香りがして。
ANNIE A 完全にそれは意識してました。僕たちは謎バンドで分かりづらくして1年間は頑張ろうぜっていう話から始まってるんで、アー写の顔はぐるぐるにして隠してて。
団長 そうだね、ほぼ見せてなかったし。あれを見た時に自分の若い頃がフラッシュバックしちゃって。俺らがNoGoDを始めた時って、全てのバンドマンがお世話になった魔法のiランドと前略プロフィールで(サイトが)成り立ってたんだよ。
ANNIE A それも参考にしましたもん。魔法のiランドとか前略プロフィールを参考にして、めちゃくちゃコザコザしたオフィシャルサイトが誕生して。
団長 俺は魔法のiランドをわざわざ2アカウント取って。1個目のアカウントは入り口にして、「あなたは神を信じますか?」とイエスノー形式にして。エロサイトと同じ作りじゃん。
ANNIE A 超面白い。
団長 18禁のマークあるじゃん。あれを神にして、Noを押すとページに入れる。
Yesを押すと、まだ当時googleがなかったからyahooに飛ぶ(笑)。
ANNIE A (笑)。新興宗教でしたもんね。
団長 宗教楽団だったから。今でも表現してないだけで気持ちはそうなんだけど。俺らは外のジャンルからヴィジュアル系に足を踏み入れたタイプの人間だから、ヴィジュアル系はカウンターカルチャーをするとこだと思ってたのよ。
ANNIE A もちろんもちろん。
団長 実際入ってみたら、意外にヴィジュアル系のフォーマットが出来上がっちゃってることに、ちょっと辟易した部分もあったんだけど。CHAQLA.のホームページを見た時に、もう3周ぐらい回って戻っちゃった(笑)。
ANNIE A (笑)。
団長 っていうのがすごく嬉しかった。1番最初はそれ。そこから京都MUSEでえんそくの主催イベントで、俺的にはやっとCHAQLA.に会えるって結構ワクワクしてた。京都MUSEの前に車を停めて機材入れてたら…後ろから来たねえ、あの車が。
ANNIE A アメ車がね。
団長 アメ車がバーンって来て。わ、かっこいいと思って。でもこの場所に止める?と思ってたら、CHAQLA.が出てきた。その瞬間に「うわいいわ、俺好きだわ」って思ったもん。あれはよかった。すげえ突っ込んだもんね、あの日ね。
ANNIE A やっぱり形からじゃないけれど、〝何者だ感〟も僕らは大事にしているから出していかないと。
団長 形から入るってジャンル問わず大事なんだよ。要はTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTが全員スーツで揃えるのもそうだし、氣志團さんの全員特攻服もだし、そういうマインドってエンタメ全てに通ずるんだけど、ヴィジュアル系の人、こと俺らの世代から制服を着るみたいになっちゃったんだよね。ヴィジュアル系っぽい服を着るになっちゃって。
ヴィジュアル系って自分の中のアーティスト表現をいかに衣装やメイクでも表現するものなのに、もうすでに出来上がったフォーマットを着たいってなっちゃってる時点で、それもうヴィジュアル系じゃねえんだよっていうのは当時から思ってて。
ANNIE A そうですね、ヴィジュアル系っぽさって言われるものが確立してる。そこに憧れて入る人が増えてしまうと、オリジナリティーというか、そのバンドで何をしたいのかが浅くなっちゃう。
団長 人と被るって恥ずかしいことだと思ってたから、俺。
でも先輩方がしっかりフォーマット作ってくれたから、それが俺らのちょっと後の世代からは、それをやることに喜びを感じる人たちがすごく増えちゃって。で、若手と絡む機会が減っちゃったんだよね、俺らは。
ANNIE A 先輩方の偉大さもあるし。でもやっぱりそういう人たちをぎゃふんと言わせたい。
団長 そういう気概をここ10年感じたことがなかったから。それこそ最後に感じたのはΛrlequiΩとかかな。
ちょうど10年前の世代にポツポツとDEZERTだったりΛrlequiΩだったり、似たようなマインドを持ってる人たちはいたけど。でも業界全体で言うとCHAQLA.だってハナから同世代のバンドから浮いてたんじゃない?
ANNIE A もちろんかなり時間がかかったというか、今ようやくこうやってファンが集まってきて形になってるけど、最初は動員も伸び悩んでた時期もあります。
団長 わかりづらいからでしょ、多分(笑)。
ANNIE A そうそうそう(笑)。でも嗅覚のいい人たちはこいつらは他と違うぞと思ってくれて。CHAQLA.は横ノリもあるけど、基本縦ノリでライブを作るんですよ。それをファンと共有するのはもうほんとに時間がかかりましたね。
団長 縦ノリの文化って、いわゆるフェスとかの文化に近いというか。
ANNIE A ですです。
団長 そもそも日本人って与えられたノリをする民族性というか、音頭を取りながらっていう文化なので、スイングもグルーヴも苦手で。特にV系のファンの方はマスゲームが好きなんですよ。それはいい意味でもあり、すごく周りに気を遣ってくれるのと、皆がやってることをやれば誰も迷惑かからないし一体感もある。そういうのを意識してくれてるのはすごく嬉しいし、そういう文化もあるのは事実。
ANNIE A 皆できれいに揃えることに楽しみを感じる。
団長 でも、やってる側からすると俺たちは好きに楽しんでんだから、皆も好きに楽しんでほしいっていうのを20年間伝え続けてきて、何度も挫折して。当時作り上げたヴィジュアル系のフォーマットを俺が全否定するから、客にキレられて、ネットで叩かれて。もっと音楽って自由じゃねえかってことを言い続けると、お前らヴィジュアル系に世話になってるくせに何言ってんだ、じゃあやめちまえってのを当時は散々言われた。
ANNIE A すごいわかる。僕らもラップとかやってるんで。フリースタイルとかもやるし、割とミクスチャーな。アプローチの仕方もハンズアップばっかだし。
団長 ヴィジュアル系って特に。本来だったら、例えばパンクのイベントに行きますって言ったら、全部サウンドと精神が一緒のバンドが出るじゃん。メロコアのライブ、ハードコアのライブに行くのも、それが1つのジャンルだからさ。みんなルーツも一緒だし、聞いてる側もやってる側も求めてるものが同じじゃん。
だけどヴィジュアル系って化粧してるってだけでジャンルが無制限に集められちゃうから。やっぱスタイルの合う合わないが1個のイベントでもめちゃくちゃ出てくるのよ。
ANNIE A いい意味で、ヴィジュアル系は確立しているカテゴリーだと思うんだけど、進化はまだできるんじゃないかなというか、新しいことができるって思いましたね。ヴィジュアル系ってこれっぽいよねって言ってる人たくさんいるじゃないですか。「じゃねえよ!」って思いながら。ビジュアル系なんてハートだし、どんなメイクでも、白塗りでも。
団長 やっぱCHAQLA.を見た時、オフィシャルサイトを見た時もそうだし、(京都MUSEでの)1回のライブで俺はすごくシンパシーを感じちゃったから。だから昨年、呼びたい人を呼ぶ強制的2マンみたいな企画をやった時は、1番最初にCHAQLA.に出ていただいてました。
―― 逆にANNIE Aさんから見たNoGoDの印象や、団長からのオファーにどんな思いで答えたのかお聞かせください。
ANNIE A NoGoDはヴィジュアル系でメタルをやってるところがすごくかっこいい。メンバーはもちろん、音楽で戦ってるから好きなんですよね。もちろんヴィジュアルも大事なんだけど、1番は音楽じゃないですか。1番が音楽なら、ゴールデンボンバーさんみたいな形式でもそれはそれで音楽。キリショーさんが上手いからエンターテインメントとして成立してる。何がなんでも音楽を愛してやってる人たちが僕は大好き。残念なことに、本物のビビっとくるバンド、本当に音楽やってるヴィジュアル系バンドはやっぱり今は少ないと思っている。
団長 なるほどね。でも俺らの時代もそう。要はかっこいいこと、面白いことをやりたいのか、それともヴィジュアル系をやりたいのかっていう大きな分岐点があって。
ANNIE A 間違いない。
団長 面白いことをしたくて化粧を派手にするとか、変な衣装を着るとか。例えば、わかりやすいけどPsycho le Cému。あれは究極の1個の答えだと俺は思ってる。
ANNIE A 確かに。
団長 MAN WITH A MISSIONも1個の答えだと思うし。要は目的と手段をはき違えちゃってる人たちが、あの業界の過半数を占めてきている(笑)。
ANNIE A (笑)。団長が言ってくれたけん、僕もそう思うよ。
団長 自分の視点から本物だなと思う人たちは、ちゃんと成長しているというか、時代を築いてる人たちだったから。本物はいるんだけど、木を隠すなら森の中じゃないけど森が鬱蒼としすぎちゃってね。
ANNIE A 光浴びない人もいますもん。
団長 もっとこの人たちは評価されるべきだって人は今でもいっぱいいるし。
ANNIE A それは僕も思いますね。ヴィジュアル系だけでなく、音楽業界としても革新的なことをやってるヴィジュアル系バンドの人もいるんだけど、隠れちゃって光が当たってない人ももちろんいますし。
団長 そもそも今、世の中から光浴びてないからね。その中で、ある意味CHAQLA.みたいないわゆるロックのスタンスがちゃんとある人たちがいることによって、フェスとかへの道も開きやすくなるだろうし。結局、どんなフェスにヴィジュアル系が出ようが、結局バンギャとそれ以外なのよ、常に。
ANNIE A うんうんうんうん、そうですね。
団長 それじゃあ本当の意味で一生混ざり合えないのよ。うまくフェスに出たとしても、結局そこにいるのはバンギャかそれ以外かしかないっていう、その壁をね。
ANNIE A もう本当にそうっす。
団長 やってる側はそんな壁はとっくにないのに。まだ周りがそうさせるから。
――現役バンギャとしてもそれはやっぱり耳が痛い話でありまして。そもそもヴィジュアル系以外聞かないとか。その中でも、自分の好きなヴィジュアル系以外の音楽をやってる新しいバンドに対しての偏見が強かったり、メジャーなバンドを聞かない人もいたり、フェスにヴィジュアル系出るって聞いても、フェスよりワンマンあるしみたいな。そういう壁の作り方をしてるんじゃないかなっていうのを思うと、この話は結構切実な問題ですよ。
団長 ちょっと下世話になっちゃいますけど、ギャンブルっていう大きなジャンルがあるじゃないですか。ギャンブルが好きな人って、競輪だろうが競艇だろうがいろんなジャンルのギャンブルをされると思うんですよ。ただ、俺は馬が好きだから競馬しかやらないって人がいるんですよ。だから、ある意味俺は、別に賭け事とかじゃなくて馬が好きなんだ。
ANNIE A 麻雀もせずに、パチンコもせずに、馬が走る姿が見たいと。
団長 みたいな。だからこそ、俺は競馬だけをやるっていうのに近いのかなって。やっぱこだわりだと思うんだよな。
でも、結局音楽は絶対好きだから。音楽に興味がない人だったら、絶対にライブには行かないですし。そもそもライブに行くこと事態は抵抗ない。
ANNIE A 悲しいことにヴィジュアル系しか聞かなかった人が、何かのきっかけでヴィジュアル系のニュアンスを受けたバンドの音楽を聞いて、そっちに行っちゃったりするんですよ。それでバンギャ人口がだんだん減っていっちゃう。
知らないだけであって、何かのきっかけで出会った時に、こっちの方が良いって。年を重ねていくごとにいろんなものを知っていくと思うんですけど、それで結果的に流れていって人口が減っていったことも考えられると思っている。
団長 シーンの衰退というか、いわゆる分母の減少っていうのはいろんな要因があるけど。言ってしまえば普通のジャンルの方が強いに決まってるんですよ。だって我々がそのエンタメとして持っている〝着飾る〟っていう部分を薄くしても成り立つだけ音があるから。
ANNIE A 確かに。
団長 逆に言うと、俺たちは外のジャンルの人たちぐらい、まず音楽と演奏とライブをいいものをして、プラス着なきゃいけないんだよ。どれも負けちゃいけないんだよ。本来は同じ土俵で戦ってて、あいつらより先に行きたいからさらに着込む、メイクする。
ANNIE A 化粧を使うというかね。
団長 やっぱあれだね。もう今のヴィジュアル系からLEDライトもう撤廃するべきですよ。
ANNIE A (笑)。
団長 あとひたすら自撮りの角度を研究するぐらいだったら、1秒でも長く楽器触っときゃいいんですよ。
ANNIE A そうっすそうっす。本物のバンドって本当に少ないんで、今の業界は正直言って他ジャンルに音楽で勝ててない。
団長 内面から出るものが負けてんすよ。ヴィジュアル系に影響を受けるのは素晴らしいことだと思うんです。ヴィジュアル系やりたいっていうきっかけはもちろんいい。でもその人たちになりたいで止まってる。エモーショナルさが、普通のどのロックバンドでもどんなアーティストでも、内なるものって出るじゃないですか。まず着込んじゃって、そこから先が出づらくなっちゃってる。正直、ヴィジュアル系の人たちは、化粧してる姿でも化粧以上のものを出さなきゃいけないんですよ。
ANNIE A その通りです。
――その中でCHAQLA.の音楽性は団長さんにはしっかり刺さったといいますか、どう評価されているのでしょうか。
団長 純粋に音楽的な部分だけで言うと、ライブ中にシンセベースを弾くとか、そもそも我々はラップをやる世代じゃないんですよ。今のR&BとかEDMとかは通れなかった世代なので、そういうものを全力でちゃんとミクスチャーしてる音楽は、昭和生まれにはもう無理ですね。
ANNIE A いやいやいや(笑)。新しいものは取り入れたいし、ヒップホップ文化が好きなんで。
団長 ヒップホップが好きってまっすぐ言える世代なんですよ。俺らはヒップホップなんて聞いたら負けだと思ってたから。
ANNIE A (笑)。
団長 ひたすらメタルをやり続けろみたいな。当時はメタルとハードロックとパンクは仲が悪かったり、自分たちのやってる音楽ジャンルをどこまで研ぎ澄ますかだけに集中していた。
俺らみたいなしょうもないプライドとかしきたりなんてものを、いいものはいいじゃん、かっこいいじゃんって。ちゃんと好きを詰め込めてるのがすごく羨ましいです。それがステージの自由さと、どこにも染まってない色、サウンドになって、ちゃんとミクスチャーになっている。それこそミクスチャーバンドも、やりたいジャンルを1曲で収めなきゃいけない、じゃあ混ぜるかってのがミクスチャーなのに、このミクスチャーバンドが好きだからと、それのオマージュみたいなバンドになってる。
ANNIE A 間違いない。
団長 ミクチャーよりクロスオーバーって言葉の方が好きだから。海外では全てクロスオーバーだよ。
ANNIE A 勉強になる。
団長 それこそヒップホップとヘビーメタルが最初にクロスオーバーしたのはアンスラックスとRun-D.M.C.だったり。あの時はクロスオーバーメタルとか言われてた。だからそういう意味でCHAQRA.は時代もサウンドも全部がクロスオーバーして、俺たちがヴィジュアル系に辟易してた部分を全部浄化してくれてるというか。ちょっと分かりづらい例えなんですけど、風の谷のナウシカの腐海みたいな。
ANNIE A (笑)。
団長 この人たちは何千年もかけて、俺たちが汚したヴィジュアル系を浄化してくれてるんだなって思ったの。そんなものを感じて。この間、神戸のサーキットイベント(再神部隊 CIRCUIT-建国-)で、俺らの前にMAMA.ってバンドが出て。MAMA.が終わった時にCHAQLA.の連中が楽屋に来て、「よ、bro!最高だったぜお前ら!」って。海外の映画でしか見たことねえやつをナチュラルに。正直マジかっこよくて超悔しかったっすよ。
「最高だったぞお前のライブ」って言ってんのを見て、もうすぐその後MCのネタにしたもんね。さっき楽屋でCHAQLA.とMAMAが「お前ら最高だったよ、兄弟!」ってやってたけど、俺えんそくに絶対そんなことしないって。
ANNIE A (笑)。
団長 同期のバンドですぐお互いを罵り合うとこから始める俺たちは、彼らを見習わなきゃいけないですねっていう話をしたし、どうやら裏でえんそくも似たような話が出たらしくて。これが世代だと思って、俺はすごくキュンとしたんですよ。汚れてねえって思って。
ANNIE A それこそマインドが同じなんですよね。自分たちの力だけじゃシーンって作れないのは分かってるから彼らと手を組もうと思ってる。そうやっていかないと、新しいシーンを作るのは無理なんじゃないかなと思ってて。
1番になりたいんだけど、シーンを席捲するには巻き込んでいかないといけないし、CHAQLA.みたいなバンドが増えてほしい。時代を作るって、流行らせるというかムーブメントを起こす。MAMA.もミクスチャーサウンドだったり、ラップもするし、nuriéもそのマインドで。こういうの流行らせようぜって、皆で思ってるんですよね。
CHAQLA.を始めた時はそんなこと考えてなかったし、俺たちはオンリーワンで突き進もうぜってなってたんだけど。公園とかで朝まで打ち上げして、CHAQLA.とMAMAとnuriéと全員で上がろうって夢を語り合って、それでトライアルツアーをして。
団長 いいツアーだったよね。
ANNIE A 出口動員システムっていうのをやって。青春じゃないけど、でもバチバチじゃないといけない。だから友達だけど、出口動員システムを作って競い合って。そういうのが好きなんですよね。
団長 そのツアーやってるのを見て、いい三角関係だなって。同世代で、ニュージェネレーションで。俺の同期ってえんそくとJin-Machineとかしかいねえからさ。あの三角形がくどいのよ(笑)。
ANNIE A ぶうさんも癖強だしね(笑)。
団長 そうなんだよ。Jin-Machineも癖強いからさ。で、Sadieはそこに入ってくんないわけだ。同期なのに俺たちは違うんだって出てくからさ(笑)。だからいろんなものを重ねてしまうんですよ、私は勝手に。
20年やってると、今本当にANNIE Aちゃんとか、それこそ命依(MAMA./Vo.)ちゃんとかが、思ってる先の段階に駒を進めちゃってるもんで。
(自分は)今やりたいことと、物事がすごく現実的に見えてしまうというか。悪い意味で大人になってしまうと言ったら、それもあれだけど。だから眩しくて、キッラキラなのよ。
ANNIE A 嬉しいです。人としてもバンドとしてもかっこよくなりたいので。もちろんその3バンドだけじゃなくて、他にも頑張っているのに日の目を浴びない若い世代の人たちがいて。その上の人たちに一石投じるためには協力するしかねえなって。
団長 それでシーンが動くのは俺実体験してるから。2005年当時、NoGoD作ってヴィジュアル系に行った時はメタルのバンドいなかったんですよ。その頃の主流はどちらかというとDIR EN GREYさんのサウンドの流れ。ツービートで激し目のバンドが多くて、メタルとはまたちょっと違う、いわゆる90年代後半のヴィジュアル系のサウンドイメージのバンドが多かった時期で。でもそこから飛び出してきたのが、MUCCだったりメリーだったり。ああいう人たちがよりラウドに行ったり、歌謡になったり。BAROQUEがおしゃれにアレンジしたりってのもあって、そこでまたそういうバンドが増えたんだよね、すごく。
2000年入ってから、純粋なヘビーメタルやるバンドが全然いなくなっちゃって。
ANNIE A 確かにそうですね。
団長 2005年の段階では、俺の知ってる限り純粋なヘビメタってほぼいなくて。同世代もギルガメッシュだったから、よりメタルコアとかラウドの方に行って、ヴィジュアル系というフィールドではメタルは死んでたんだよね。
で、そん時にたまたま同時期に摩天楼オペラとDELUHIが来て、そこにVersaillesも乗っかってきてくれて。ヴィジュアル系のフィールドでメタルはまだやれるっていうものを証明できたっぽくて。実際メタル界隈の人たちがヴィジュアル系に行くきっかけになってくれたらしいのよ。その3バンドは完全に他ジャンルから入って、ちゃんとメタルをやって、それなりに結果を出したっていうところで、そう言われたし。実際そこからメタル界隈からの流入は増えたと思う。
ANNIE A 1つ時代を俺は動かしたっていう。
団長 まあね、今となっちゃそうだったのかも。でも本当にやってることはANNIE Aちゃんと一緒で、やりたい音楽を表現するためにこのスタイルをやってるだけであって。たまたま同じ思想の人たちが、俺らはどっちかっていうと外で飲むよりは居酒屋行きますかってタイプだったけど(笑)。
ANNIE A それは別にね(笑)。
団長 同じマインドを当時感じてたよ。オペラが新譜出したら、「うわやられた!くそ、鍵盤あるっていいな」とか思ったり。DELUHIが出た時に、俺とオペラ(摩天楼オペラ/Vo)のお苑さんが「こんなシャウト俺たちできねえよ!」って。
じゃあどうするってなったら、それぞれシンフォニック、ニューメタルを突き詰める、じゃあ俺たちは80年代、90年代で突き詰めていこうぜ、と綺麗に3バンドが分かれて。その時代のエネルギーみたいなものを確かに感じてたから。それをCHAQLA.だったり、その世代の人たちはもう1段階上げてくれるんじゃないかなって、私はもう期待しかしてない。
ANNIE A 団長の目から見て、新しく見えてるところが何より嬉しいですね。このシーンをまるっと見てきてる方が、その中で注目してくれてるというか、新しいことやってくれてるって団長の口から聞けたことが何よりも1番嬉しいです。
団長 俺が好きなバンドって客に媚びないバンドなんですよ。もちろんそれは常にお客さんに対してつんけんしてるとかじゃなくて。ANNIE Aちゃんもわかると思うけど、ステージ見るとわかるよね。
ANNIE A 俺はやりたいことがやりたいから、逆にこうさせたいっていう気持ちが強いっす。
団長 もちろんファンを引っ張ったりはするけど、ステージとフロアでちゃんと線を引けてるバンドが好きですね。言ってしまえば今はSNSのDMも解放しているような時代ですし、よりお客さんと常に身近な存在じゃないとお客さんが推してくれないなんていう時代でもあるんでしょうけど。そもそもロックバンドは推し活の対象じゃねえんだって!
ANNIE A 言われるのが嫌で僕はSNSもやってませんからね。
団長 ANNIE Aちゃんやってないね。
ANNIE A SNSってやればやるほどハマるから自分の中で線引いてますね。やってた時期はあるし、やってないと戦えない世界だと思うんで、一応課題だと思ってて。どう自分たちの存在を表明していくかというか、忘れられずに存在を広げていけるかというか。
団長 今のファン層にはすごくリターンを求める推し活をする人もいる。それが悪いことだと思わない。投資すれば投資するほどリターンが返ってくるような推し活も世の中にはいっぱいあるし。でもロックバンドにそれを求められるのは筋違いかなと思う。お金をこんだけ積んだから一緒に写真撮ってくださいじゃなくて、君たちがライブに来てくれたらそれ以上のパフォーマンスでリターンするから。
ANNIE A ライブでリターンするんよ。僕たちはそれが仕事なんですよね。
団長 でも、いつからかそれ以上のことを求めてくる人も増えてしまったね。
ANNIE A だから難しいというか、自分たちでブレーキをかけないと、どんどんお客さんが求めてきちゃう。
団長 もちろんそういう人たちを俺は否定するつもりもなくて。需要と供給を満たすっていうのは、エンタメとして必要なことだし。そういう需要があるならば、満たしてあげるのも俺はやぶさかではないなと思う。
ANNIE A だからアイドル文化がそういうところをフルに使って、ファンが流れていく現象が起こった。
団長 それは純粋にエンタメが細分化されてるんだよね。音楽じゃなくてリターンに重きを置いてる人も、昔はライブハウスに来るしかなかったから。今はエンタメを取捨選択できるし、外に出なくても推し活できるし。そんな中で俺たちに残されたものは最初から1つ、音楽だけなんですよ。
ANNIE A なんなら本当にヴィジュアル系が好きなお客さんしか今残ってないと思うし。
団長 そうなんだよ。その中でヴィジュアル系が好きって、どの辺のヴィジュアル系のことを言ってらっしゃるんですかね。DIR EN GREYさんを中心としたヴィジュアル系が好きなのか、グルグル映畫館や犬神サーカス団みたいなサブカルを中心としたのかでまた分かれちゃうからそこが難しくて。
ANNIE A 確かにそうなのよ。
――すいません。だいぶ話がディープな方に突っ込みまくってるので…。ボーカル対談ということなので、音楽に対する思いは一緒でも表現方法は全然違いますし、ボーカリストとしてお互いをどう評価しているんでしょうか。
ANNIE A ボーカルのスタイルとして心がけてるのは誰かにならないように。誰かに似てるねってあんまり言われないです。声が似てるねとは言われるんですけど、スタイルとして、この人っぽいとはあんまり言われなくなった。昔はよく言われてたんですけど、ボーカルのスタイルって色々いるじゃないですか。煽り方1つから、歌い方とかで僕はオリジナルをずっと追求してる。
団長 言ってしまえば、人間って生まれた段階で声帯が決まってるんで、音色は全員違うんですよ。その音色に対するオリジナリティっていうのはアドバンテージとして持ってるので、その中でANNIE Aちゃんと近いのは、誰かっぽくなりたいと思ったことが1度もないんですよ。人生で1度もこの人に憧れるというか、分析することはあっても心酔することはないんですよ。なんでかって言うと、自分が1番大好きだから。
――(拍手)
団長 だから「この人絶対自分のこと好きだな」って思うボーカリストはいいボーカルだと思ってるし、そもそも自分に自信がない人間がステージ立っても何も生まれないんですよ。もちろん不安だったりは誰しも持ってますけど、ボーカリストってほぼほぼが根本的に俺は間違ってないって証明がしたくてステージ立ってる。俺もANNIE Aちゃんも歌唱スタイルはまるで違いますけど、根っこが一緒なんですよ。ボーカリストとしてあってほしいものは多分一緒だと思います。
ANNIE A 僕がラップ始めたのもまさにそれで。ラップってやっぱり手出しづらくないですか。
団長 出せないよ。俺は元々ラップメタルが好きで、青春時代はラップコアが全盛期だったから。
日本のラップコアのバンドもいっぱい聞いたし、YKGってバンドがすごい好きだから。あとはsmorgasの来門さんも好きだし。でも、早い言葉が…っていうのと、自分はどうしてもメロディーを歌いたかったのが元々強くて。ラップってもちろん技術として難しいですけど、できるようになったら言いたいことの制限が広がるんですよ。文字数が広がるんで。
ANNIE A そうですね。
団長 そしたら、今までなんとかして収めなきゃって四苦八苦してたものが、少しゆとりはできる反面、韻を踏まなきゃいけなかったり、より言葉選びが難しくなる。そもそも90年代のバンドを聞いて育ってる人間からすると、J-POPとも言葉数が少ないのが文化だったんで。もう追いつけないんですよ、10代の時に聞いた音楽が全てなんで。
ANNIE A 皆そうですよね。10代の時に受けた影響って。
団長 だからもうラップはもうここの皆さんにお任せして。
ANNIE A (笑)。
団長 なんか高い声をヒャーヒャー言ってりゃいいかなと思って(笑)。俺はもうできないことはしないト決めてる。人には役割があると思ってるので、私はできること、自分が腰に刺してる刀を永遠に研ぎ続けてる。二刀流にしようとか、三本目を挿そうとか思わないですよ。その代わり、自分の刀は一撃ですげえ切れ味だぞっていうのを永遠に20年間やってる。
ANNIE A 僕は割と色々やっちゃうタイプというか。
団長 できるんだったらそれが1番いいっすよ。
ANNIE A そうですね。前のバンドではメロコアとかもやってたし、その前はTHE ヴィジュアル系のバンドもやったことあるし。でも根本として、他と違うオリジナリティはずっと追求してたんですよ。色々やってきたから、今のスタイルが1番しっくりきて。割と団長みたいに1個のことを研ぎ澄ますっていう感じではなかったですね。
団長 あとはそのオリジナリティっていう言い方。オリジナリティーを追求する意識よりも、人がやってないこと進んでやりたいと思ってただけだから。
あとは当時、ヴィジュアル系に触れたのが10代の時。たまたま専門学校の隣がエリア(高田馬場AREA)だったから。友達がライブやるから観に行った時に、1バンド目から5バンド目までずっと同じようなものを見せられて。で、ボーカルが「お前らエラエラ!」って。何1つ聞き取れねえな、この人たちMCもエラエラエラって言うのかと思ったら、MCは意外に「あ、なんとかです。よろしくお願いします。ライブ告知行きます」って。お前のこと全然知らねえのに急にライブ告知されても困るんだけどと思ってね。
ANNIE A (笑)。
団長 アイドリングトークって言葉ないのかな、この人たちっていうのを5バンド連続で見て。なるほどこの人たちお喋り苦手なんだと思って(笑)。じゃあ俺喋るの好きだし、めっちゃ喋ろうと。今と変わんないんだけど、転換中も喋ってた。
ANNIE A それいいっすね。
団長 だって当時の対バンの持ち時間は大体25分で、転換10分。でボーカルってマイク挿したら終わりなんで、この時間もったいないから喋ろうと思って、この時間にMCで温めておいて、そうすりゃMCの時間削れるから本編で1曲多くできるっていう考え方で。他のバンドより持ち時間多くするし。別に転換中にボーカルが勝手に出てって喋る分には別に誰の迷惑にもなってない。
ANNIE A あ、確かに。
団長 ずっとやってたなそれは。
ANNIE A CHAQLA.もフェスみたいな形式になると、転換中に客煽ったり喋ったりしますね。時間少ないんで、その瞬間から(客を)取りに行こうかなって。対バンとかではやらないんですけど、イベントによっては転換中にやっちゃいますね。
団長 結局皆がやってないことをやり続けた結果、ANNIE Aちゃんも私も替えが効かない何かになってしまったんでしょうね(笑)。
――素晴らしいことですよ、それはほんとに。
団長 本来そうあるべきなんですけどね。なんで皆あんなにモノマネしたがるんだろうと思います。いいとこだけかいつまんで、いろんなもの掛け合わしたら、オリジナリティは多分出来てくる。
俺だって歌唱方法だけで言ったら、SEX MACHINEGUNSのANCHANGだったり、冠さんだったり、中島卓偉さんだったり。多分本当一振りのHYDEさんも入ってると思うんですよ。
ANNIE A 一振りの(笑)。
団長 隠し味程度にHYDEさんも一応入れてるはずなんですけどね。
結局それを感じないってことは、合体すると新しい味になってるって褒め言葉だよね。
――オリジナリティって本来そうあるべきですよね。
団長 もちろんリスペクトがあることの美学もあると思うんですよ。それはそれで素晴らしいことだと思いますし、ただ俺は誰にも負けたくないんで。40超えて未だに自分が1番かっこいいと思ってるタイプなんで(笑)。
ANNIE A 自分たちも今やってることは、結果を残さないとただの変なやつで終わってしまう。シーンに風穴開けないと、言ってることも負け犬の遠吠えになっちゃう。自分を正解にするために一生懸命頑張ってるし、団長と一緒で、僕もこれがやりたいっていうのは、言葉じゃ説明できないんですけど見えてるんですよ。ミクスチャーロックっていうものを、ヴィジュアル系でどうやったらわかりやすく、バンギャルにも伝えられて、外の界隈の人たちにも届くのか。
ゆくゆくはバンギャルと外の界隈の人たちが混ざり合って、フェスに出ちゃったり、世界に行けちゃったりって未来は作りたい。自分を信じてるんで、僕たちがやってる音楽はそれ成し遂げる力があると思ってやってる。
団長 CHAQLA.はまだまだいろんなものをサウンド的にもマインド的にも吸収できるもんね。それが許される、やっていいバンド。俺らはサウンド的にやれることが限られてる。俺は絶対電子音楽はやれないし、同期をバンドに入れるんだったら別のバンドでやる。自分の場合はNoGoDに対してあえて制限をかけてる。そういう意味では堅苦しいというか、柔軟性のないバンドかもしれないけど、人間が自力でできる上限はまだまだあるだろうと思って。
ANNIE A NoGoDが生演奏にこだわってるところも、僕が好きなところ。時代が追いつけば、違いがわかる人たちももっと増えていくと思うし。
団長 CHAQLA.とNoGoDが2マンさせてもらったりとか、対バンさせていただいてる時も、どっちのお客さんも楽しそうだったじゃん。
ANNIE A 僕覚えてます。
団長 結局サウンドの方向性じゃないんですよ、根本が。
――絶対お互いのファンはお互いのバンド好きでしょっていう、根っこの部分は通じ合えるイベントだったんですね。
団長 だからまたやりてえなって思うんです。やっぱりいいですよ。ここまで世代とジャンルが離れているのに、根っこが繋がってると刺激になりますね。
ANNIE A 嬉しいです。それは改めてだし、NoGoDは手が届かない存在だと思ってたんで。
何よりも団長がこうやって注目してくれてることが。団長は生演奏にこだわってやってるし、ヴィジュアル系の中でも数少ない本物のプロフェッショナルだと思ってるんで。
団長 いやいやいやいやいや。
ANNIE A まだまだだと思うんですけども、CHAQLA.を見つけてもらって、誘ってもらったことも本当恐縮で、その辺の人に褒められる何十倍も嬉しいです。
団長 昔からオタク気質があるので、嗅覚は結構鋭い方だと思ってるね。
ANNIE A そこに刺せたのが嬉しかったですね。
団長 いろんなものを常にインプットするようにしている中で、ちゃんとこびりついてくれるバンドだったので。
ANNIE A CHAQLA.の曲は、実は1番に関係者に受けたいなと思ってて。ライブハウスの人にも気に入られるし、バンドマンに惚れられるとイベントも誘ってもらえる。観客は結果正解になるというか、自分たちが正解にするものだと思っていて。まず関係者にモテたいなって思ってたのはありますね。それを実現していってるなっていうのはこうやって喋ってると思う。
団長 そうね。どうしてもお客さんは流れていくものだから。常に大きい分母を抱えて動き続けられるバンドは本当に一握りのモンスターだと思うけど、やりたいことやりながら生きてくことは俺でもやれてるから。ANNIE Aちゃんもそうだし、若い子たちがNoGoD聞いてましたなんてことを言っていただけるって、これからANNIE Aちゃんも言われること増えると思うけど、すげえモチベーションになるよ。
ANNIE A ゆくゆくはそうなりたいな。CHAQLA.を聞いてバンド始めたよとか出てきたり。
団長 もういるでしょ。もういるよ。
ANNIE A いや、まだまだ。けど、うちのkaiは本当にNoGoDが昔から大好きで。
団長 ずっと言ってくれてるよね。本当(笑)。
ANNIE A 熊本の時にいたPAさんの兄貴が本当にNoGoDこと大好きやったし。
聞いてたし、今その人とこうやって話してるっていうのは、何よりもここまで来たか…って。
団長 それはもっと、河村隆一さんとか、そういう人たちにとっとこうよ。俺で使っちゃダメだよ。俺は死亡遊戯でいったら1番最初の人。
ANNIE A (笑)。
団長 1番最初にいる人だから。俺、ラスボスじゃないから。
ANNIE A 本当にリスペクトしてる。
団長 少しでも自分のマインドみたいな、行いというものが染みてくれてるんだなっていうのは良かった。俺は間違ってなかったんだなって。こういう人に少しでも影響を与えて、何かしら繋げていけてるんだったら、それはやった甲斐があります。
ANNIE A やっぱ音楽が1番なんで、俺たちはそのハートはNoGoDからかなり吸収してる。
団長 俺今、今年1番褒められて上機嫌です。ありがとうございます。
ANNIE A 1番は音楽です。このヴィジュアル系っていうトリッキーな界隈ですけど、生き残ってるバンドって音楽が強い人たちだと俺は思ってる。
団長 そうだね。
ANNIE A やっぱり何よりも先に音楽じゃないですか、この界隈は。
ヴィジュアル系ってものが他のジャンルに舐められたくない。技量的な意味でも、愛に対しても。そこで負けてるとヴィジュアル系シーンは一生舐められたままだし。「ヴィジュアル系なんだ、対バンしようよ!」って言われたい。シーン自体をもっと高レベルというか、面白いジャンルにしていけたらなって思ってますね。
団長 そうね。アーティストとして活動してる以上、替えが利かないものにはなりたいじゃないですか。
ANNIE A なりたいですね。
団長 うん。やっぱ中本みたいなラーメンになりたいじゃないですか。
ANNIE A (笑)。
団長 それを言っちゃうと、このジャンルは本当に相反してて。自己を貫いていかなきゃいけない人も、そういうマインドの人もいれば、文化を守っていこうっていう人も少なからずいると思う。でも実は外のジャンルのほうがよっぽど文化に染まってるというか。逆に言うと、メロコアの人たちが1番わかりやすくて、全部メロコアなんですよ。
ANNIE A 確かに。
団長 そこで差別化はできないんですよ。音楽ジャンルは一緒だから。
ANNIE A 確かに様式美ありますよね。
団長 そう。だから実はヴィジュアル系よりもよっぽど外のジャンルの方が様式美が強くて、ロカビリーの人はバシッとリーゼント立ててやるし。実は俺たちが1番自由なはずなのに、そんな俺たちが1番世の中に受け入れられない様式美をいつまで大事にしてるんだとも思う。別に音楽ジャンルでもないし。というところで、もう令和にも入りましたし、その古い価値観はいい加減囚われたくないなって思ってます。
ANNIE Aちゃんが言ってた風穴開けるってのは、多分こういう人たちなんだろうなと。俺たちはシーンの中のフォーマットを増やしただけ。風穴を開けたわけではないんです。これをやってもOKなんだっていうシーンの裾野を広げただけで風穴を開けたことはないんです。CHAQLA.とか、その世代が風穴を開けて風通しを良くして繋げていくんだろうなってすごく思ってます。
――この2バンドでイベントや対バンだったりと、今後やっていきたいことはありますか。
ANNIE A 団長が言ってくれた2マンもう1回したいっすね。
団長 場所変えていったりしてね。
ANNIE A この記事を読んだ人が、次にNoGoDとCHAQLA.が対バンしたらどうなるんだろうって思ってほしい。僕たちは僕たち世代のお客さんをNoGoDに見てほしいし、自分たちを好きなファンにはNoGoDを観てほしいから。この良さをわかってほしい。好きなバンドと対バンすると、逆に観て帰れって絶対言うんですよね。
団長 うん、わかるよ。
ANNIE A じゃないと2マンライブの意味がない。これもちょっとまたシーンの話になっちゃうんですけど、目当てのバンドを見て帰っちゃったりとかが結構あって。せっかく生演奏してくれてるのに、それってもったいないじゃなですか。別に暴れろって言ってるわけじゃないんで、NoGoDもそうだし好きなバンドはみんな見てほしい。それで自分たちも好きになってほしい。
団長 いいね。俺たちは本当、CHAQLA.とかの世代を見ててもっと周りと手を繋ごうと思ったね。
ANNIE A (笑)。
団長 やれ、お前のあそこが薄いよとか、そんなことばっか言ってるからさ。
ANNIE A でもね、団長。僕も会話もしないバンドはいますからね。ただ、やっぱり違う人はいるし、僕は好きな人に言ってるだけですし、観てほしい。ファンに観てほしいなって思うバンドっていません?
団長 いるよ。めちゃくちゃいるよ。
ANNIE A 団長もMCとかでわざわざ名前出していただいて。ファンに見てほしいんですよ、僕は。
団長 俺も好きな人の名前すぐ言っちゃうかも。ちょっとでもワード覚えて帰ってほしいから。
ANNIE A それがシーンが膨らむことのきっかけになると思うし。
団長 そうなんだよね。ヴィジュアルシーンって意外に横の繋がりが希薄というか。
なんでかって言うと、どうしても音楽性で繋がってないから。ヴィジュアル系っていうものだけで繋がると、なかなか振り幅が広くなりすぎて。でも、もうここまで来たら皆仲間みたいなもんじゃん。俺らの世代になってくるとワンマン興行が増えてきちゃって、イベントも出づらくなってくる。
俺らの世代なんてのは、ちょっと名前が出てきた若手をすぐかいつまんで、客取ってやろうみたいな感じで対バンしようとしてさ。そういうんじゃないんだよ、まずいいバイブス生めるかどうかで2マンしようぜって。
俺はCHAQLA.たちのムーブは常に注目してるし、いい意味でニュージェネレーションとおじさんの混じり合いを見たいね。
ANNIE A 感じてほしいですもん。CHAQLA.のファンにも、なんでNoGoDがここまで続けていられるのかとか、団長のバイブスの正体だったりとか、シーンに対する愛だったりも感じてほしい。NoGoDも普段観れないし。
団長 そっか。そうだね。
ANNIE A 僕たちが好きな理由も知ってほしいし、ルーツは違うかもしれないし、ファンに分かれって言ってるわけじゃないんだけど、できることなら対バンすることによって観てほしいし。CHAQLA.のファンならNoGoDの事は絶対好きになってくれると思う。
団長 うちのお客さんもCHAQLA. 観た時にいいバンドだわってみんな言ってた。それがシーンにまで膨らむのが理想だよね。あの界隈いいよねって。ヴィジュアル系っていう大きすぎるくくりよりも、あの界隈ぐらいの規模を作りたい。
ANNIE A そうですよね。だからもう今の若者とか思わずに、本当に仲間に入れてほしいですよ、自分たちも。
団長 そんなのはもうね、こちらのセリフですよ。
――イベント見たいですね。やっぱり若手は若手、ベテランはベテランで固まっちゃったりするので。
団長 俺ぐらいの中堅からANNIE Aちゃんたちぐらいまでの世代のベントって意外にないのよ。若手の中に急にMUCCみたいな大レジェンドぶち込むみたいのはあるけど。急にラスボス出すな、ラスボスは早えんだって(笑)。
だから、2面の中ボスぐらいのやつ。DISC1のラスボスみたいな。
ANNIE A (笑)。
――そこはもうNoGoD主催でやっていただけたら…。
団長 もちろんCHAQLA.にもまた改めて声もかけさせていただきたいですし、こちらからも変なイベントにバシバシ振ってく所存なので。ANNIE Aちゃん、懲りずに仲良くしてくださいね。
ANNIE A こちらこそ。本当にありがとうございます。