2026.01.06
【ライブレポート】摩天楼オペラ QUATTRO TOUR – 2025.12.25(thu)渋谷CLUB QUATTRO –

クリスマスムードに包まれる2025年12月25日。だが、この日の渋谷Club QUATTROにはそれとは一線を画す研ぎ澄まされた緊張感が漂う。摩天楼オペラの18年目を締めくくる「摩天楼オペラ QUATTRO TOUR」ファイナル公演。このツアーに合わせてリリースされた新曲『EMBRYO』を筆頭に、今年生まれた珠玉の名曲と共に特別な夜を彩った。3箇所という短いツアーではあるが、2025年を締めくくるにふさわしい濃密な時間が確かに流れていた。聖なる夜に摩天楼オペラの“今”を打ち鳴らす 。
暗転とともに鳴り響く『BLOOD』のSEが会場を包む 。手拍子に迎えられ響(Dr.)、彩雨(Key.)、燿(Ba.)、優介(Gt.)、そして苑(Vo.)がステージに現れると、会場の熱は一気に沸点へと達した 。ツアーファイナル、そして今年ラストという舞台がこれまでにない期待と緊張感を持ち、始まりを告げるのはやはり『BLOOD』から 。苑の歌声が会場を震わせ、爆発的なブラストビートと重厚なアンサンブルが観客を圧倒する 。妖艶に揺れるステージ、文字通り“血を震わす”ほどの熱が会場を包み込む 。

続く『Diorama Wonderland』では激しい煽りに合わせてステージは色を変えていく 。優介、彩雨の煽りで会場を沸かしながら、軽やかなサウンドの『舌』へと、一切の妥協を許さない攻撃的なセットリストが展開されていく 。吸い込まれそうな苑の瞳は全てを見透かすように鋭く、会場を舐め回す 。ギラギラと輝く優介のギター、燿のベースソロも艶やかに空気を震わせると、ライブならではの緻密な音の重なりに聴き惚れる 。さらに、『Ruthless』では苑のハイトーンが会場の熱気を更に押し上げる 。響の奏でるドラムサウンドが雷のように突き抜け、優介のギターソロが天を駆け抜ける 。5人の奏でる音だけじゃなく、オペラー(ファン愛称)の熱がメンバーの感情まで高ぶらせていく様が会場の空気からビリビリと伝わってくる 。会場全体が一体となった舞台に息を呑む 。
「今日はクリスマス感ゼロで。僕らは『QUATTRO TOUR』を優先して、あえてクリスマス感は無しで行きます」 。MCで語った苑の言葉通り、摩天楼オペラとして今魅せるべき姿をストイックなパフォーマンスで刻みつける5人 。しかし、そんな言葉とは裏腹に、送られる音の一粒一粒、そして彼らの表情から、この特別な夜をファンと共有できる喜びが溢れているようにも感じられた 。

そして、大阪・名古屋公演を経て「安心して聞いてもらえている、すごい摩天楼オペラを見せられる」とハードルを上げながら、「優介が作った凄まじい曲」として紹介された新曲『EMBRYO』がここで登場 。その期待を大幅に上回る、疾走感溢れるサウンド 。ギラギラと輝く舞台、見る者の目を奪う圧巻のパフォーマンス 。それは、ただ速いだけでない 。曲に刻まれたドラマ、詞に込められた思いが一筋の光のように伸びる 。そして、圧巻のギターソロが優介の完全復活を象徴するようにどこまでも遠く響き渡る 。宣言通り“すごい摩天楼オペラ”だが、これでまだ3箇所目というのが恐ろしい 。少し気が早いが、この曲が更に進化していくと期待できるのが彼らのすごさに他ならない 。
ここで曲調は一転して『MONSTER』で響かせるのは、燿の重低音と彩雨のドラマチックな旋律 。オペラーも思い思いにペンライトを光らせて跳ねる 。カラフルに彩られるステージ、揺れる会場は、まるで鼓動のようにずしんと響く 。そして続くのは『Another Christmas』 。クリスマス感は出さないと宣言されていたが、今日この瞬間だからこそ胸を打つ、祈りのような歌声が、会場を優しく、そして深く包み込んでいく 。どのライブでもかけがえのない特別ではあるが、聖夜に摩天楼オペラを選んだオペラーに向けたクリスマスプレゼントのように感じられた 。
間髪入れる間もなく『TABOO』へと移ると、優介、燿、彩雨も立ち位置を入れ替わり、観客を煽る 。苑のハイトーンから沈み込むような低音へと、変幻自在に操る歌声、隙のない楽器隊のきらびやかなサウンドが、心に音を刻み込む 。逆光に照らされ浮かび上がる5人のシルエットが美しく闇に溶けていった 。続く『AGONY』は苑の独唱が爪を立てるようにして響く 。息を呑む美しさだけでなく、歌声の映し出す痛みが突き刺すように会場を震わせたと思うと、一瞬の静寂に思わず息を呑む 。静寂すらも楽器のように、纏う空気全てを武器にして、彼らは舞台を操り続ける 。

僅かな空白を切り裂いて『Apocalypse』へと、彩雨のエレクトリックなサウンドから優介のギターが高らかに繋ぐ 。響のドラムも勢いを増す 。燿もガッシリとベースを掲げ、4人で音を重ね合う 。詞の無い曲だからこそ、観客はその音に思い思いの色を付け、自由に音を楽しんでゆく 。摩天楼オペラならではの幅広い表現で魅せる1曲で会場を沸かせると、ライブは後半戦へと向かう 。『Innovational Symphonia』のSEから始まるという、まるで2部構成のような荘厳な演出 。苑の歌声と共に光に照らされるステージ 。『Innovational Symphonia』は神々しく会場を照らし、華やかなサウンドに包みこまれる 。後半戦ということも忘れてしまうほどの熱が会場を包むと、更に怒涛のラッシュへ 。『Helios』『Eternal Symphony』とキラーナンバーを重ねる 。音のひとつひとつを丁寧に拾っていくような、彩雨の奏でるピアノサウンドが会場に柔らかな光を灯し、キラキラと流れるサウンドはこの日を共に出来ることを喜ぶように、流星のように流れていく 。ぐっと心を揺さぶるサウンドに思わず目頭が熱くなる中、それを感じ取ったように苑も前に進み出て手を伸ばす 。その歌声は遠くどこまでも響いていった 。
しかし、それだけで摩天楼オペラは終わらせない 。もう一押しと言わんばかりに送られるのは『GLORIA』 。誰もが待っていましたと言わんばかりにペンライトを輝かせ、共に曲を作り上げる 。
苑「お前らに祝福を――!」
その言葉と共に送られた詞と音が胸に染み入る 。これからも共にあり続ける、そんな思いを5人から感じられた 。そして本編ラストを飾るのは『光の雨』 。会場全体が眩い光に包まれ、この日一番の一体感に包まれる 。その歌声は優しく、しかしサウンドはギラリと輝く激しさを保ち、この硬質な美しさこそが彼らの強みなのだと改めて感じる 。圧巻のステージ、優介のギターが光の尾を引くようにして、最後まで美しく輝き続けていた 。

しかし、ツアーファイナル、そして年内ラストライブが当然ここで終わるわけがない 。鳴り止まないアンコールの中、再び舞台上に現れた5人に大きな歓声が送られる 。そして、2026年の全国ツアーが発表されると各地のオペラーから黄色い悲鳴が起こる 。数年ぶりの箇所、メンバーも初めての場所も含まれていることもあり、誰もが喜びを溢れさせていた 。そんな嬉しい知らせだけでなく、燿の提案でメンバー全員から今年の総括も行われた 。
燿「来年のツアーも発表されましたけど、もちろんまだあります。毎回必ず全てのライブに来れる人はほぼいないので、どこかで来てくれれば嬉しいです。摩天楼オペラ20周年が見えてきています。そこに向かって進んでいきたいので、ぜひ皆さんの力を貸してください。一人でもいいので、来年一緒に連れてきてください。よろしくお願いします」
彩雨「今年も1年ありがとうございました。来年は午年ということで百万馬力で走り切りたいと思います。皆さん、手綱しっかり握ってついてきてください。来年は全力でヒヒーンと行きたいと思います」
優介「2025年は左腕を負傷してかなり大変だったんですが、無事復帰して今日を迎えることが出来ました。ありがとうございます。2026年のツアーも発表され、燿さんも言うように一人でも連れてきてバンドを大きくしたいと常々思っています。来年もよろしくお願いします」
響「今年も色々ありましたけど、個人的には『AGONY』を出せたのが大きい。摩天楼オペラが進化したと思ってます。『EMBRYO』を出して、(その前のアルバム)『六花』も評判良かったけど、それを超えるものが作れるんじゃないかと思ってます。ツアーも新曲作ってぶちかましに行きますんで、20周年に向けて来年もやっていきたいと思うので、楽しみにしていてください!良いお年を!」
苑「今年は試練の年だったと思ってます。年を跨いだらやっと次に行ける心境。バンドやっていたらいろんな事があるから、毎回向き合って超えていくしかない。来年どんな年になるかわかりませんが、どんな事が起こっても進んでいくだけ。摩天楼オペラを進めていきたいと思っています。今僕の原動力となっているのが、この5人ですごくいいライブ出来ているのが一番。あとは自分の中で“摩天楼オペラでこういう曲をやりたい”というのがどんどん生まれて、形になっていってること。音楽を作っているのが生きている理由。それが出来ているのが来年に繋がっていくと思っています。昔の曲も聞きたいと思うけど、それだけではバンドは進んでいかない。まだ出会っていない曲たちで、まだ出会っていない風景を作りに来年も進んでいくしかない。それがこのバンドのあり方なので、一緒に行きましょう。みなさんと一緒に音楽を共有してバンドを続けていきたいと思います。来年もよろしくお願いします」
5人の思いを受け止め、最高の思いで迎えたアンコール一曲目 。クリスマス感は無しと言ってはいたものの、やはり今日は特別な日 。この季節にぴったりな冬の情景を鮮やかに描き出す『SNOW』から始まる 。苑の温かな歌声が、優しく降り積もるように舞う 。そして、新曲『雫』もついにここで披露 。まるで雪が溶け流れていくように、静かに熱を帯びる 。水滴のこぼれ落ちるように繊細なピアノサウンドが静寂の中に響いた 。緩急を操る圧巻のサウンド 。それだけでない。ここで一気に勢いを増して『Murder Scope』へと 。極彩色の照明が会場を照らし、サウンドも燃えるように激しく、力強いドラムサウンドが会場を震わす 。とてもアンコールとは思えぬ程の熱量 。まだまだこんなもんじゃないと、摩天楼オペラの今年の勢いを見せつけるように鮮やかな音色が会場を突き抜ける 。
苑「さあもっと行こうかー!」
更に煽ると会場は暗転 。ギターリフに合わせて苑の歌声が響き渡り、始まったのは『真っ白な闇がすべてを塗り替えても』 。優介、燿、彩雨の3人が並び立ち音を重ね合い、オペラーは思い思いの色で会場を照らす 。誰もがこの瞬間を刻み込むように全力でぶつかり合うと、サウンドはどこまでも美しく響き渡り、遂に終幕へ―― 。
しかし、ここで苑から「なんか帰りたくない、年内ラストなのでもう少し時間頂戴」と言われると、予想外の出来事に会場からは歓声が上がる 。「欲が出てきました」とアンコールの延長が宣言されると、メンバーは直ぐにセッティング 。オペラーも、まだまだ足りないというように手を伸ばし歓声で応える 。送られる曲は『SHINE ON』 。キラキラと鮮やかに輝くサウンドが会場を星のように照らす 。この日を共に出来る喜びがメンバー全員の奏でるサウンドから溢れ出ていた 。メンバーもオペラーの一人ひとりと目を合わせるように前へ歩み出ては、眩しい笑顔を咲かす姿が印象的に映った 。ギターソロは軽やかに、そしてこの日限りのクリスマスソングをアレンジに加え、特別な音をかき鳴らす 。来年も共に歩むことを約束するように、苑の優しい歌声が会場を包みこんだ 。

しかし、そんな穏やかな空気で終われないのが摩天楼オペラというもの 。この日、正真正銘最後を飾る曲は『Psychic Paradise』 。苑の激しい煽りに、優介、彩雨も激しいヘドバンで応える 。重低音で激しく揺れる会場 。オペラーの声も響く中、ギラギラと光るステージ 。苑の絶叫、そして響も大きく雄叫びを上げると会場の熱気は最高潮へ 。これが摩天楼オペラなのだ、と最後の瞬間まで見せつけてくれた 。最後の一音が消えるまで、その誇りを貫き通した 。 「クリスマス感は無し」という宣言もあったこのツアー 。裏を返せば、それだけこの舞台、そしてこの日集まった人だけでなく、配信でも参加した多くのオペラーと音楽で深く繋がりたいという彼らの真摯な思いだったのだろう 。
18年目、様々な苦難を乗り越えながら、数々の名曲を生み出した2025年を締めくくるに相応しい、気高くも熱い一夜となった 。そして2026年、今年以上に高みを目指して突き進んでいってくれるのだろう 。しかし、それは5人の覚悟だけでは進むことは出来ない 。これからも摩天楼オペラと共に同じ景色を見たいと願うファンの思いがあってこそ 。これからも摩天楼オペラと共に同じ時を過ごしていってほしい 。そして、まだ彼らのライブを見たことが無い人も、2026年はぜひ一度、摩天楼オペラの姿を目に焼き付けてもらいたい 。

Writer:藤村 栞里、宮下 浩司 Photographer:Litchi
<セットリスト>
- BLOOD
- Diorama Wonderland
- 舌
- Ruthless
- EMBRYO
- MONSTER
- Another Christmas
- TABOO
- AGONY
- Apocalypse
- Innovational Symphonia
- Helios
- Eternal Symphony
- GLORIA
- 光の雨
En1
- SNOW
- 雫
- Murder Scope
- 真っ白な闇がすべてを塗り替えても
En2
- SHINE ON
- Psychic Paradise
<LIVE>
DuelJewel × 摩天楼オペラ 2MAN LIVE -BRILLIANCE-
2026年1月18日(日) 東京・Spotify O-WEST
出演:DuelJewel / 摩天楼オペラ
ULTRA BEAST HAMMER BATTLE
machine主催 ULTRA BEAST HAMMER BATTLE
2026年1月23日(金) 川崎 CLUB CITTA’
出演:machine、Psycho le Cému、JILUKA、Luv PARADE、摩天楼オペラ
MC:団長(NoGoD)
LIVE摩天狼2026 & LIVE魔天女2026
MATENROU OPERA BOYS ONLY GIG -LIVE摩天狼2026-
2026年2月28日(土) 代官山SpaceOdd ※男性のみご入場いただけます
MATENROU OPERA GIRLS ONLY GIG -LIVE魔天女2026-
2026年3月1日(日) 代官山SpaceOdd ※女性のみご入場いただけます
BEYOND THE KINGDOM -Fest of Excellence-
KISAKI 生誕半世紀記念祭「BEYOND THE KINGDOM -Fest of Excellence-」
2026年3月15日(日) 大阪BIG CAT
●当日限定バンド:THE LOCUS
B. KISAKI
Vo. 苑(摩天楼オペラ)
G. HIZAKI(Versailles / Jupiter)
G.CERO(凛 / Jupiter)
Dr. HIROKI(D)
●出演バンド:摩天楼オペラ、Psycho le Cému、SEX MACHINEGUNS、NoGoD、GOTCHAROCKA、FEST VAINQUEUR、椎名ひかり、Little Lilith
MC:浅井博章
摩天楼オペラ 関西LIVE CIRCUIT「DOMINATE CIRCUS 2026」
2026年3月14日(土) 滋賀・滋賀U☆STONE
2026年3月17日(火) 兵庫・神戸VARIT.
2026年3月18日(水) 奈良・奈良ネバーランド
2026年3月20日(金・祝) 大阪・BIGCAT
19th Anniversary Live
2026/5/4(月・祝) 豊洲PIT
TOUR 2026
6月7日(日) 東京 LIQUIDROOM
6月21日(日) 奈良 EVANS CASTLE HALL
6月27日(土) 静岡 Sunash
7月4日(土) 福島 郡山Hip Shot Japan
7月5日(日) 栃木 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya(VJ-2)
7月11日(土) 北海道 札幌cube garden
7月12日(日) 北海道 札幌cube garden
7月18日(土) 福岡DRUM Be-1
7月19日(日) 熊本B.9 V2
7月25日(土) 石川 金沢AZ
7月26日(日) 富山 SOUL POWER
8月1日(土) 香川 高松DIME
8月2日(日) 岡山IMAGE
<関連リンク>
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