2024.10.04
【本誌番外編】夕霧(DaizyStripper)×ヒィロ (ν[NEU])-ABC vs Janne-終演後特別対談
——(ライブが)終わって1週間ほど(取材日:9月12日)経つんですけれども、お客さんからの反響もだんだんこう上がってきてると思います。振り返ってみての感想や、演奏してみてのお気持ちをお聞かせください。
ヒィロ はい、それはもう…、夕霧くんどうぞ!(笑)
夕霧 そうですね。Janne Da ArcさんもAcid Black Cherryさんも、現状止まってる状態で。僕もヒィロくんもそうだと思うんですけど、みんな大好きで、飢えてると思うんすよね。 なので、そもそもが飢えてるなら俺たちが鳴らせばいいというのがそもそもの根本きっかけだったんですけども。
まずやれてよかったですね、本当に。来られてるファンの方も、Acid Black Cherryさんのカチューシャつけたり、Janne Da Arcさんのタオル持ってきたりとか、グッズがすごくステージから見えたのも本当にほっこりしたし。
で、1曲ずつイントロが鳴るごとに、笑顔になったり泣き崩れたりする人たちが本当にたくさん見受けられて。僕らはリスペクト込めて演奏してるだけですけども、本当にやってくれてありがとうって声が数えきれないくらい届いたので。こちらこそ来てくれて、聴いてくれてありがとうっていう感情ですね。
ヒィロ そうですね、やっぱりJanne Da Arcさんも、Acid Black Cherryさんも、元々の母数がものすごい大きいと思うんですよ。
それこそライブの規模は大阪城ホールだったり、元々の規模が多いところをカバーという形で企画やらせていただくのは初めてだったんですけど、 こんなに母数の大きいバンドのイベントやっちゃって大丈夫なのかなってちょっと初め思いました(笑)。1歩間違えるとめちゃくちゃやばくなると思ったんですよ。出し方次第ではかなりリスクがあると思っていて。
ただやっぱり、夕霧くんも僕もそうですけど、自分たちが本当に好きだからやれてるというか。僕は途中バンドを離れてましたけど、やっぱこういうセッション企画って、多分どこかでちょっと慣れてしまう部分とか、なんか仕事意識が出てきてしまうようになっていて。バンド始めたての頃はセッションってすごいワクワクしたんですけど、大人になってくるとちょっとそこの純粋さがなくなってきたなって自分では感じてるんですね。
あんまり話し合わなかったり、ただ曲やって終わりだったりって。ところが、今回に関しては、 やっぱ本当に好きな人たちで組んだメンバーだったからこそ、僕は高校時代文化祭なかったんですけど、多分文化祭ってこんな感じなんだろうなみたいな感覚がある。あと、夕霧くんがさっき飢えてる人がいるって言うのも、お客さんもそうなんですけど、やってる僕たちももしかしたら思った以上に飢えてたのかなって。
Janne Da Arcさんは(今も)大好きだし聴いてるし。でもやっぱり学生時代とか、当時ライブ通ってた時の方が圧倒的に聴いてたと思うんですよ。
それでもこの企画やり始めてから、またなんかJanne欲が増えてきたというか。お客さんもそうだし僕らも、もう1回やっぱりすごい好きなバンドなんだなって。ライブやりながらも、 一応立場としてはそのステージの上で立ってる演者なんですけど、もうステージの上でやってるってよりも、本当一緒にやってる感じ。ただ僕は手が勝手に動いてベース弾いてるだけで、あくまでもお客さんと同じような感覚で、「やっぱJanneってかっこいいよね」みたいな感じでやってる気がしましたね。お客さんを逆にまた刺激して掘り起こしてしまった感じですよね(笑)。
——楽器やり始めた時って自分の好きなバンドをコピーしたりするじゃないですか。そういった懐かしい感覚みたいなものはやはりあったんでしょうか。あの時歌ったなとか、ベースのこの部分練習したなとか。
夕霧 僕は不思議な感覚だったんですけど、歌ってて。自分はステージに立ってライブ演奏してる側なんですけども、 歌いながら客席の感覚も同時にあった気はしますね。赤羽Renyという、いわゆるライブハウスのサイズでABCさんが見れてるというか。「わ、この曲来たらこうだよね」っていうのが、お客さんが頭振ったりしてるの見て、「そうだよね、そうだよね」っていう。客席にいる感覚も同時に味わってた気がして、僕はそういう意味では2倍興奮してましたね。
ヒィロ そうですね。それこそステージで弾いていて、本当に細かくちゃんとフレーズ聴いてたりとか、食い入るような目で前にいるお客さんがグイグイ来ていて、 半端ないプレッシャーを感じましたね(笑)。
なんかもうすごいJanneの曲を聴きたかったんだなっていうところでプレッシャーを感じて。僕らも当時何回もCDを聴いてるからこそ、歌詞とか昔の曲って覚えてるじゃないですか。最近の曲は歌詞とか忘れちゃうんで(笑)。でも、昔聴いた青春のって、ギターフレーズもそうだし、ベースフレーズもそうだし、ドラムフレーズでも、全部頭の中入ってると思うんですね。僕らもお客さんも。
だからこそ、その頭に入ってるフレーズを期待して聴いてると思うんですよ、お客さんは。「ここ、こうやるよな」みたいなっていうところをビンビン感じて、「あれ、これ普段以上にちゃんと弾かなきゃな」って思えば思うほど綺麗にミスってました、はい(笑)。
——(笑)。
ヒィロ ちゃんと聴いてるっていうのはありましたね、すごく。ただ楽しむだけじゃなくて、本当細かくお客さんが音を聴いてるっていうのはすごく感じました。
——もうそれこそ本当に、それぞれのリスペクトバンドでMCでもそういえばこんな言い方してたなとか、あったなこのシーンみたいなのがすごく懐かしくて、そういう部分までリスペクトされてるのを感じました。
ヒィロ 僕は元々、夕霧くんをDaizyStripperで初めて見た時から、絶対yasuさん好きだなみたいな。
夕霧 (笑)。
ヒィロ 出会って20年近くなんですけど、ステージングにしろ、歌い方にしろ、絶対好きだなっていうのはもう見た時に思いましたね。
——夕霧さんの歌い方は、リスペクトバンドでも実際のところあまり変えてないというお話もお聞きしました。(DaizyStripperの)ファンの人も、歌い方はあまり変えていないと気づいてたみたいで。その歌い方は昔からだったんですね。
夕霧 そうっすね。やっぱその隠しきれないyasu感があるんです。
一同 (笑)。
夕霧 それこそ『ダンデライオン』って曲でデビューしたんですけど。当時結構言われたのが、yasuの弟らしいよみたいな。
一同 (笑)。
夕霧 根も葉もない噂が出たりとか。僕は今回のABCさんのライブに関しても、歌声に関しては別にモノマネとかは一切してないですけど、やっぱりナチュラルに音域とかも似てるしっていうのは多分あって。yasuさんって、結構子音が強いんですよね。
「私“た”ちは」みたいな、子音が強い歌い方するんですけど、そこはちょっとだけ意識してました。「雨に打“た”れ」みたいな、ちょっと強めでってのはちょっとだけ意識したんですけど、動きとかはそんなに変えてないです。『20+∞Century Boys』は最後にやる曲なんですけど、いろんなライブDVDとかYouTubeとかを見てて、yasuさんが必ず「最後ラストはみんなの心に届けます、20+∞Century Boys」って言って始めるのが鉄板っぽいなっていうのがあったんで、そこは言ってやろうとか。
あと、こう右左に揺れるような動きは弦楽器の3人に、「すいません、この動きも僕やるんで真似してください。すいません、これも嫌かもしんないですけど、これもギャラに含まれてるんで」ってことで(笑)。
ヒィロ HIDE-ZOUさんもやってたのがよかったです(笑)。
夕霧 HIDE-ZOUさんね。そうですね、みんなで協力してやってもらったところ。最後お立ち台に4人で集まるとことかは僕発信で色々やってもらって、なるべく細かいオマージュ、ファンのみんなが「うわ、これやるよね」っていうのはできるだけ詰め込みたいなっていうのはやっぱあったっすね。
——いやもうめちゃくちゃわかりましたね。完璧なオマージュだなみたいな。歌だけじゃなくて、MCだったりとか、Janneではヴァンパイアのパフォーマンス再現だったりとかも。
ヒィロ 僕はベースだから、普段ライブ中そんな喋んないんですけど、それこそミケくんとかはもうリハの時から、スタジオで YouTube見ながら「どういうMC喋ろう」みたいな。それこそ、細かいところをひたすらリスペクトしていって、でもやっぱりライブ中にお客さんが「これなんか聞いたことある」みたいな。さっき言った夕霧くんと同じ感覚だと思うんですよ。ミケくんもシルビアでちょっと電話用意しちゃおうかなとか。PVでいきなり電話かかってきたシーンとか。そういうとこやっぱ好きだから、僕らのファン目線として、それをやってんだなって見てて思いました。
——夕霧さんも「みんなガチ勢」と仰ってましたけど、やっぱりイベントに来るファンの方たちは、当然グッズを見るからにガチで通ってた世代の方たちも多いと思います。なので、そういう曲だけじゃなくて、細かな演出だったりプラスアルファで楽しめたイベントなんじゃないかなっていうのは、見ててすごく感じました。実際企画がスタートした時はどんな感じだったんでしょうか。
夕霧 そもそものきっかけはν[NEU]と対バンで、ヒィロくんと俺が一緒にいる空間の時に、ABCとJanneのツーマンやりたいって考えてるんだよねって俺が最初ヒィロくんに声かけて。で、ヒィロくんもそれめっちゃいいね、ぜひぜひやろうってなって。2人でじゃあ会場もう押さえようつってその日に会場押さえて。「9月6日渋谷REX(当初)で決まってます、こういうイベントです、 あなたどうですか」って感じで、各々でこの人 ABC、JanneのDNA流れてるよねみたいな人たちにどんどん声かけて、1歩ずつ前に前進して話を決めていって。
当初は渋谷REXってキャパ300ぐらいの箱で。それぞれ出演者が2バンドで10人いて、300くらいが丁度いいくらいかもね、どうだろうね、ちょっとやってみないとわかんないよねってなってたんですけど。ヒィロくんの尽力もあって、いろんなニュースサイトで取り上げて貰って、それがかなり拡散されて。僕らの想像以上にすごく反響があって。で、実際蓋開けてみたらREXにはとても入りきらない数の応募があったよっていうのを聞いて。
REXの会場の方に相談して、「2Daysってわけにもいかないし、どうしましょうね」みたいな話をしてたら、たまたま赤羽ReNY alphaという同じ系列の会場がその日空いてるよってことで。
キャパも大体倍になるんで、1人でも多く当選した方がみんなハッピーだよねってことで。予想以上の反響だったので、嬉しい反面ちょっと一瞬困惑しましたけどね。大丈夫かなこれっていうね。その賛否両論の否の方も結構来るかな、大丈夫かな…って。「なんだよこれ舐めやがって」とかね、あるかなとか思ったんすけど、結局蓋開けたら否は本当に僕の耳には入って来ないぐらいでしたね。
——これだけのキャリアがある現役のバンドマンの方が集まったコピーイベントって過去にも開催されたんでしょうか。
ヒィロ 夕霧くん、1回前にやってましたもんね。
夕霧 1年前に、それこそミケ主催で池袋EDGEで、ヴァンパイアナイトっていう出演者15人の3バンド、全バンドJanneのコピーオンリーっていうライブがあって。そういうセッションイベントにしては結構異例のソールドアウトで。
で、MCでも「3バンドの15人に興味ないけど、Janneだから来たよって人いる?」って聞いたら、結構手上がって。それがきっかけの1つではありましたね。じゃあ、飢えてるんだったらね、やった方がいいかなっていう。僕もやりたいし、歌いたいしってのはあるけど。
ヒィロ 夕霧くんが前にセッションをやったって聞いて。で、それもソールドアウトして。出演メンバー知らなかった人、JanneとABCが好きで来た人っていうのも結構いたって聞いたんで。多分そこの層にも届けた方がいいなって思ったんですよ。やっぱりなんか内輪だけのセッションって、刺激なくて終わっちゃうなと思って。僕、基本的に刺激が欲しいんで。だから、やるんだったらお祭りぐらいにやった方がいいかなみたいな。内々でやっても 200人ぐらいで終わってっていうのもちょっとなんか、やってる方も多分楽しくない。楽しくないって言っちゃ悪いんですけど、なんかちょっとさらっと終わっちゃうなと思って。だから、お話いただいて、じゃあやるっていう時は、日程を9月って決めた以上は、5月19日にニュース出しして。
なんでそこで出したかっていうと、Janne Da Arcがデビューしたのは5月19日なんで。 5月19日って、毎年Janne Da Arcがトレンドに入るんですよ、記念日なんで。だからそこにJanne Da Arcっていうワードを記事タイトルに入れると100%バズると思ってて。
夕霧 さすがだ。
ヒィロ そしたら思いっきりバズって。あそこまでくると思わなかったんですけど、そういうちょっとした仕掛け、自分たちのバンドのファンだけじゃなくて、Acid Black Cherry・Janne Da Arcが好きな人が見に来たくなる要素ってなんだろうみたいなのを、絡めたりはしていましたね。
あとは、今回無料配信とかもしたんですけど、否が出る理由って、 見れないことの不満が結局ヘイトに繋がると思うんですよ。なんでもそうじゃないですか。じゃ、そのライブがソールドアウトして、おめでとうありがとうって言っても、チケット取れなくて見れなくて、「なんだかなー」みたいな感じで。それがヘイトになって、好きだからこそ言いたくなるって僕思うんで。
赤羽ReNY alphaに変更しても絶対ソールドアウトすると思ったんで、打った後でも。でもそこで内々で終わっちゃうと100%今度否が出ると思うんですよ。楽しかったって僕らが言っても、「行けた人はいいよね」とか、 「私はチケット買えなかったし」とか、“どうせ”みたいな。そうすると、なんか楽しめば楽しむほど、来れなかった人が引いちゃうと思うんですよ。
だから夕霧くんにも相談して、これ絶対配信やった方がいいよねみたいな。かといってその配信を有料とかでやっちゃうと、「Janne Da Arcで金稼ぎしやがって」みたいなとこも絶対見えるし。
だからそこは、やるんだったら100パーセント無料で。かつ、一部だけってなると、なんか「あの曲聴きたかったのに」とか、MCカットすると、MCのことをSNSとかで僕らは感想言えても、「行けた人はいいよね」みたいな、絶対不満が出ちゃうんで、リスクを回避するためには、極力その火を消すための方法をやってったのはあるんです。だから、あくまでもタイトルの中にリスペクトっていうタイトルを入れたりとか、メンバー全員がAcid Black Cherry、Janne Da Arcが好きで尊敬してますっていうところも。
だってなるべくね、好きなとこを再現したいとか、来れない人でも楽しめるように。で、実際ライブに来れる人ってやっぱ今ね、僕はν[NEU]やってても思うんですけど、結局来れない人の方が多いと思うんですよ。それこそ生活環境とか、じゃあもうツアーに行けないとかっていう人がいっぱいいるんで。そこを全員巻き込むためには配信しなきゃいけないし。でも、配信するためにも、このライブはソールドしないで配信すると熱が伝わらないと思うんですよ、逆に。なんか寒いなみたいな。だから、多くの人を巻き込んで、ソールドさせて、配信させて、配信を無料にさせて。で、この前、ライブ終わってすぐニュース出したんですけど、その1週間後に即出しできるように。ライブ終わって2日目にすぐニュース出しして、その1週間後、2週間後とか熱絶対下がっちゃうんで。1週間後の連休の3日間だけ見れるようにして。それがずっと見れるってなると、今度は「じゃあ1ヶ月後見ればいいや」ってなると、1ヶ月後見るのとライブの1週間後見るのって絶対見る方も熱違うと思うんですよ。
だからなる早で見せて。で、見れなくさせてみたいな。その3日間の間、要はライブから10日間以内に全部見れなかった人も、もう1回パッケージ閉めちゃわないと伝わんないんで。今のところ、また今度、配信が終わった後に良かったって声がぶわーって熱埋まりみたいになったところで、 きっと夕霧くんがまた次のイベントをなんか考えていってくれるのかと。
夕霧 来年の5月19日をお楽しみにですね。
——結構2回目やってほしいって声は出てますからね。
夕霧 出てますね、やっぱ地方とか、東名阪どうですか?とか、結構(笑)。
——ヒィロさんのお話もすごく戦略的に語ってはいたんですけれども、やっぱりそこにはバンドへはもちろん、ファンの方へのリスペクトや愛情もないとそこまで考えてはできないイベントだと思うので、そういった思いがあるからこその今回の成功に繋がったんじゃないでしょうか。
ヒィロ やっぱね、悲しい人をなるべく減らした方がいいと思うんですよね、せっかくやらせていただくからには。自分たちのバンドだったら、極論、「もうツアー頑張って来い」みたいに言えるんですけど、やっぱそことはまたベクトルがちょっと違うのかなって気がしましたね。
——自分たちのバンド活動もある中で、 結構練習って大変だったんじゃないでしょうか。
夕霧 僕に関してはABC。僕もどちらかと言えばJanne Da Arcさんの方がより若い年齢で聴いてたので、脳に入ってるってのはあるんですけど。ABCももちろん大好きなんですけど、 曲は知ってるけど歌詞をフルで全部歌えるかって言われたらそうじゃない曲も結構あったんで。自分のプレイリストでセットリスト通りに曲入れて、朝、家出てどっかに出かけるみたいな時は、必ずそのプレイリストを1から再生して、ちょっと『SPELL MAGIC』のイントロは聴き飽きたなーぐらい(笑)。山盛り聴きましたね、もう常に。家で生活してても、iPhoneでプレイリスト流して、みたいな。
で、「あれ、今のとこ歌詞なんだっけ?」と思ったら、すぐiPhone開いて、「あーそっかそっか、これかこれか」っていう、その刷り込み作業みたいなのはセットリスト決まってからずっとやってましたけど。それでもやっぱりね、自分の曲にするためには、イントロが鳴ってる時に「あれ、次なんだっけ」って考えてるうちはまだ自分の曲じゃなくて、「ライブ終わったら何食べようかな、明日どこ行こうかな」って、違うこと考えながら勝手に口が動くようになると、自分の曲になった…。そこまで持ってかないとリスペクトとは言えないよねっていうのはあったんで。そういう意味ではやっぱ他のね、僕もいろんなバンドの曲をステージで歌わせてもらうことはありますけど、その中で言ったら圧倒的に1番時間はかけたかなと思いますね。
ヒィロ そうですね。もちろん学生時代とか10代の頃にJanne Da Arcさんの曲いっぱいコピーしたんですけど、難しいフレーズ、特に当時はまだまだ下手くそだったんで、弾けなかったフレーズとかをやらないで飛ばしてきたみたいな。無理だって諦めて、弾かなかった曲とかを…、あと細かいフレーズとか、今回はこれちょっとちゃんと弾かないとやばいなみたいなところで、夕霧くんと同じように、仕事の出勤と退勤の時とかに、ずっと車で爆音で流しながら。でも弾けないから、口ベースを僕、まずは体に入れるんですよ。「どぅどぅどぅどぅどぅどぅ…」って。で、ある程度弾かなくても、このフレーズわかった後にベースで弾くんですけど、そんな簡単に…、やっぱ手が動かないですね(笑)。「よくわかんないし」とか「なんだこれ」みたいなのを。昔だったらそういうのは投げ出したりとか、はたまた今までやってきたセッションライブとかだと、僕結構省略してる癖があって…。
「完璧に再現しなくても自分が楽しめばいいや」みたいな。「ライブ全体を楽しめればいいや」ってところで、無理して弾くよりも楽しさを重視して、今までセッションとかカバーやったんですけど、今回に関しては本当に100%コピーできたわけじゃないんですけど、「限りなく近くした方がいいな」っていうところで、久しぶりに学生時代ぐらいぶりにちゃんと練習したのはありますね。やっぱりベースとかも楽しいんですけど、どこかである程度弾けてしまうと、なんか抜けてしまうというか、良くも悪くも弾けてしまうというか…。リハとかもだんだん入らなくなったりとか…。そういう中でも、ちゃんとこうやって練習してっていうのは、メンバー全員、僕らはスタジオ2回入ってて、本当に音楽はこうやってだんだん形になっていって。形になってきたからこそ、さっき言ったミケくんのその余裕の部分だったり、次はお客さんを楽しませるために「MCでこの部分パクろうぜ」とか、「この曲の繋ぎ、これ再現しようぜ」とか。じゃあ初め『さいたまスーパーアリーナ公演』のSEから始めようかっていうところをなんか組み立てていった。で、なんか久しぶりに、「そういえばこんな気持ちで昔、僕バンド始めたな」っていうのを思い出しました。でも結局めちゃくちゃミスりました。はい、プレッシャーに負けました(笑)。
——今回演奏された、歌われた曲の中でこれ難しかったなというものはありましたか。
夕霧 僕は『チェリーチェリー』の歌詞ですね。逆再生みたいな歌詞があって。
「なめんなよ、黙ってりゃいい気になりやがって」みたいな歌詞が全部、逆から読んだみたいな歌詞なんですけど、ラップみたいな。存在は知ってましたけど、歌詞カード初めてバンって見た時に、 「ん?これはいけるのか?」って。
で、見ながら聴くんですけど、どこで歌詞を区切ってんのかが全然わかんなくて。1回メモ帳に歌詞書いて、 「マ〜ケ」になるところで1回切るんだね。で、そこスペース開けてみたいな。で、それをずっと見ながら。でも、口が動かないんですよね。知らない言葉、英語や中国語みたいな感じに聞こえるんで。そこは結構苦戦しましたね。
ヒィロ 特にそうですね、その『I’m so happy』っていう曲があるんですけど、もうイントロから弾けないっていう。もう弾けない、弾けない、弾けない、Aメロちょっと弾ける。Bメロ、なんとか弾けるってぐらい。僕はあんま早弾きとかそういうのを今まで練習したことなくて。例えば16分の細かいフレーズとかを避けて通ってきたので、これ避けれないなと。ずっと家でテンポをゆっくりにして、タ、タ、タタタ、弾けない、 タタタ、あ、弾けないっていう。だんだん、だんだんやっていて、テンポあげていって体に入れていくみたいなことやったんですけど、本番では盛大にミスりました(笑)。
——難しそうだなって見てました(笑)。
ヒィロ 今回演奏させていただいて、今まで以上にリスペクトが深まりましたね。DVDとかライブ見ていると、客として見る時ってやっぱさらっと演奏しているように見えるんですけど、こんな難しい曲をこんなにさらっと。 その才能ってやっぱりすごいなっていうのを、本当に今まで以上に感じたのと、もちろん今は解散して、Janne Da Arcは動いてないんですけど、こんなに上手く、かっちり、完成度の高いバンドを作ったってことは、それだけやっぱり本当にJanne Da Arcってバンドに人生かけてたんだなっていうことのリスペクトもありました。
それだけ本気じゃないと、あんなにすごいバンドを構築できないので。なんかやっぱそういうテクニック面だけじゃなくて、こんなバンドをやっていたってことのリスペクトが、なんかすごい高まりましたね。
——ヒィロさんはMCでもお話されてましたが、ベースプレイヤーとしてのイベントは今回が最後でしたね。
ヒィロ そうですね、最後です。なんかもう残りはν[NEU]を完走するだけっていう状態ではあるんですけれども、やっぱ今の気持ちとしては、もうイベントではもう出しきった、 あとはもうν[NEU]に専念するっていう気持ちで、今これから進むって感じですかね。
本当に出し切りましたね。やっぱり自分はka-yuさんに憧れてベースを始めたので、自分の中では卒業式みたいなところで。なんかとてもいい区切りができてよかったなって。本当、 夕霧くんに感謝ですね、誘っていただいて。
夕霧 いえいえいえ。
——ka-yuさんからはベースもお借りして、卒業式にふさわしいタイミングだったなっていう風に感じました。
ヒィロ そうですね。ご本人にベースも借りてるので、それもMCで最後話したんですけど、今深く関わってるので、もちろんお会いしてる時はJanne Da Arcって単語とか全然出てるし、メンバーさんの会話とかもたまに出たりしてるんですよ。
だからタブーではないんですけど、でもなんか「いいのかな」っていうところが、すごい葛藤あったりとか、それこそ(お借りした)ベースで実際その曲を弾いていたものなので、なんかそれを俺が上書きしていいのかなっていうところの葛藤もあったり。「ご本人嫌じゃないかな」とか。 なんか、「Janne Da Arcの曲弾くんだったら返せ」と言われたらどうしようみたいな(笑)。絶対言わない人なんですけど、やっぱちょっと不安になったり、なんか心配になったり…。特にメンバーさんの中でも、僕はやっぱりka-yuさんが好きですし。
でも実際、ご本人は正直そんな気にされてないというか、そんなに心が狭い人ではないので、「全然やってきなよ」みたいな、「楽しんできなよ」みたいな。別に遠慮しなくていいのにってところで、やるからには、「じゃあリスペクトをしてやらせていただきます」っていうところで、ベースも使わせていただきました。
——夕霧さんがMCで「音楽は歌い続ける限り永遠に残り続ける」というお話をされましたが、あれはyasuさんのお言葉をお借りしての発言でしたか?
夕霧 どうやら僕も知らなかったんですけど、yasuさんも同じことを言っていたようで。
たまたまリンクした。あれは完全純度100%、僕の気持ち。
でも本当に今でもそう思いますね。僕、例えばJanne Da Arc以外で言ったらJUDY AND MARYとか大好きなんですけど、メンバーさんまだ現役で元気でやってらっしゃるから、1日ぐらいやってくれたらいいのになって思うんすけど…。というのも、X JAPANが僕1番最初好きで、hideさんが好きでギターを始めたのがきっかけなんですけど、やっぱhideさんと一緒にXっていうのはもう2度と叶わないから。いろんな事情が、理由があるんでしょうけど、生きてるんだったら…。で、こんだけ需要があるんだったら、もう1回ぐらいやってほしいなっていうのはね、やっぱ正直思っちゃうんですけど。
でも、僕らみたいなリスナーが聴き続けて、例えばJanne Da Arcの結成記念日、メジャーデビュー記念日、yasuさんの誕生日とかに、X(旧twitter)でね、「yasuさんおめでとう」とか、「Janne今でも聴いてるよ」って声がたくさんポストされて、トレンドに今でも入るのってすごくいいなって思うし。hideさんもそうなんですよね。未だにhideさんの誕生日とかになると「hide」ってトレンドが入ったり。誰かがいい意味で騒いでくれてるから、 今でも新規のファンが増えてるし、そういうのを僕らも、Janne、ABCを繋いでいきたいなっていうキッズとしての思いがありますし。というところで、本当にやれてよかったなって今でも思ってますね。いい音楽は誰かが聴き続ければ、やっぱ消えない、枯れないのでね。そこにこう、咲き続けられるように水をあげ続けたいなとは思ってますけど。
——実はMAKE Vol.03でν[NEU]の取材をさせていただいた時の、 ν[NEU]のラストメジャーデビューアルバムのタイトル『N.ever』も、「何年先でもν[NEU]っていうバンドがいて、アルバム聴けばどんなバンドなのか分かる、永遠に残る」といった思いで作られたというお話を思い出しまして。夕霧さんのMCとすごくリンクされてたので、yasuさんと同じ思いが、お二人の仲にも繋がってきているんですね。
夕霧 ABCとかJanne Da Arcもそうだけどね。ν[NEU]、今回僕にとってはやっぱヒィロくんのある意味卒業式っていうつもりで僕もやってたところはあるんで、ヒィロくんを見に来てるファンの方からしたら、当然ね、もうゴールテープも見えてきてっていうとこだと思うんで。だからこそ弾き続けようねっていうのも含んではいましたけどね。
ヒィロ もうすぐ多分僕旅立ってしまうので、天国へ(笑)。
夕霧 (笑)。
ヒィロ でも、なんかやっぱり、そのあといくら誘われても、結局やっぱりこの人ちゃんと好きだなって思わないとやれないというか、お客さんにやっぱバレちゃうと思うんですよ。
なんか変な話、「あー、あいつはなんか、人集めとか、金のためにやってんな」って絶対バレちゃうと思うんで。もちろん企画としてはちゃんと仕事意識を持って、お客様を集めることを考えて、巻き込むことを考えてやったんですけど、すごく単純なところで、「こんなにかっこいいバンドがいて、こんなにいい曲いっぱいあるんだよ」って、やっぱ伝えたいですよね。
カラオケで歌うのもそうじゃないですか。友達に「何その曲?」って言われて、「俺めっちゃ好きなんだよね」って。 そこから知ってくれる友達もいたのと同じで。なんか僕らもライブやってて、自分たちの曲じゃないけど「こんなすごい曲、世の中にあるんだよ」みたいな。で、「これを演奏していたそのJanne Da ArcとAcid Black Cherryってバンドが世の中にはいたんだよ、すごくない?」って広げることが、夕霧くんが言った通り、1つのキッズとしての使命というか、元々バンドキッズとして僕らがそういう影響を受けてきたし、その先輩たちもきっとそうだと思うんですよ。いろんな方の影響を受けて、僕らも先輩の好きなアーティストを知っていったりとかしてきたんで。なんかそれと同じように、キッズだからいいものを広めたいっていう、すごく純粋、とても純粋なイベントだったなって改めて思いましたね。
——次回、本当にまたやってほしいなっていう。
夕霧 次回はヒィロくんを、ステージには立たないけど、スーパー裏方、重役として僕が雇う形になると思うんですけど。一緒に、また今回みたいに作っていけたらなってのは思ってるんで。約1年後とかになると思うんですけどね。頻度の高いコンテンツというよりは、1年に1回ぐらいしかやんないけど、クオリティの高いコンテンツとして継続できたらなって。さっきヒィロくんが言ったように、本当に自分が中高生で衝撃受けたバンドとかがいたら友達にCD貸すじゃないですか。「これ、めっちゃかっこいいの見つけたんだよ」って。その気持ちでやり続けたいなって思ってるんで。そうですね、1年後ぐらいにもう1回やりたいなって思ってます。
——はい。ぜひまた聴きたいなと思います、もう本当に。
夕霧 キャパをZeppにしろっていう、なんかZeppハラスメント(笑)。
4倍だからな、赤羽ReNY alphaの…と思いつつね。ちょっといろいろ考えつつ、前向きに検討していきたいなと思ってます。
Writer:藤村 栞里
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