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2024.12.04

【ライブレポート】michi.生誕50周年祭「仮面舞踏会 〜RETURN OF THE CHARISMA〜」2024.10.12/13

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michi.の生誕50周年と銘打って開催された「仮面舞踏会 〜RETURN OF THE CHARISMA〜」 michi.ソロライブについてのレポートをお届けする。
場所は姫路ベータ、MASCHERAとして彼らが巣立った場所での凱旋ライブである。
michi.のソロと言いつつも、今回はサポートにMASCHERAのメンバーであるベースのHIRO、ドラムのTOMOを迎えた、夢のようなステージだ。


チケットはソールドアウト、会場内は通路ギリギリまで観客で溢れ、皆この日を待ち侘びて会場は熱気に包まれる。
ステージにオレンジ色の灯が入り、ギター、ベース、ドラムの楽器隊が登場。インディーズ時代の楽曲、『毒殺』のインストゥルメンタルアレンジの中、HIROが「姫路!暴れていくぞ!」と煽る。
最後に満を持して、michi.が登場。風にたなびく銀髪、漆黒のベロアのノースリーブにロングジレといった衣裳。
『TRUTH IN THE STORMY GARDEN』のイントロが始まると客席を見渡し右手を高く上げ縦乗りの煽り。間奏の合間にHIROとアイコンタクトを交わす様子にお互いの信頼感が伺える。

MASCHERAの前回の復活ライブから12年、この日を待ち侘びていたと言うには少し長くて、また次があるという確かなものもなかったファンにとって、ステージ上のメンバー同士のささやかなやりとりですら見逃したくない宝物のように感じた。
会場の熱量を引き出したまま『Reality for Realism』、『[é kou]』へと続く。
michi.の伸びやかな歌声は以前よりも一層甘く、全てを包み込むような優しさを孕む。
真っ直ぐに響き届いてくる歌詞のひとつひとつにこんなにも心を揺さぶられるのかと、しばらく立ち尽くすほどだった。

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4曲終わったところで「姫路、久しぶりやなー!!」待ち望んでいたmichi.からの言葉。
MCはメンバー紹介から。今回のギターはmichi.ソロではお馴染みの菅大助が担当している。TOMOとHIROを紹介した流れから「みんなで一緒にMASCHERAワールドへたっぷりと浸りましょう…準備はできてるかい!!」会場を大きく煽り、華やかなナンバー『ラストフォトグラフ』が始まる。この曲の演奏中、メンバーの表情も柔らかく始終笑顔だったのが印象的だった。
曲は重厚な『Faithless face』へと移り、更に歌い出しが印象的で優しさの中に芯の強さが同居するような『ABYSS』へと続く。
ライブは中盤に差し掛かりこの辺りからMASCHERAが培ってきた様々な表情を持つ曲が多くなる。これぞMASCHERAの真髄。
一度聞いたら忘れられない『ラー』。歌詞がほとんど存在しないが故にステージ上のメンバーのシンクロした動きに照明の演出も合わさり、トランスのようなどこか異界に誘い込まれそうな危うい雰囲気になる。michi.の声がひとつの楽器のようなアプローチに感じる。
ラーで異界に飛ばされた余韻のまま更にディープな1曲『Dragonheads Snaketails』、『iNTERFACE』へと続く。印象的なイントロに手拍子で、会場が一体と化す。

続くMCでは今回のMASCHERA DAY開催にあたっての裏話など。最初にリズム隊に声を掛けた話から、今回は来られなかったTAKUYAについても言及。電話でのやり取りも窺い知ることができ、TAKUYAらしいなと微笑ましく思う。
ここでも旧知の仲の良さが滲み出るMCで、HIROの仕込みの小物やトークの面白さは健在だった。
michi.の「いつか、いろんな形でこうやってやれたらいいな」という言葉に、解散から復活の時には全くなかった、もしかしたら続きがあるのかもという希望をもらった気分だ。

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インディーズ時代の曲をメドレーで繋ぐ。
「俺たちと共にタイムスリップする準備はできてるか!」の合図で『DANCE IN THE SHADOW』~『BLUE MOON KISS』~『PRETY NEUROSIS』~『コンドル』~『TERROR』へと続く。どの曲もかつてのライブではお馴染みで、イントロを聴けば歓声が上がるものばかり。メドレーラストは『FRASH BACK』。ライブで盛り上がる定番の曲。曲が始まる直前にmichi.が「フルコーラスで行くぜ!」と声を上げる。
手をクロスさせ会場が一体となる振りに熱量は一気に高まる。
続く曲はインディーズラストの曲、『運命の車輪』。イントロで歓声が上がる。
その熱気のまま『刹那2012』へと突入。もともと『刹那1995』としてライブではお馴染みの曲だったものが2012年の復活ライブで新しいアレンジになったもの。イントロが一層華やかにゴージャスになったバージョンだ。皆一斉に扇子を持ち、いわゆるジュリセンが会場内に舞う。客席から優雅に扇がれつつ、michi.は会場内全体を見渡すような仕草。その間もHIROは始終笑顔で、観ているこちらも今日この一瞬を共有できる喜びを噛み締める。

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続く『Alice』でもmichi.は客席に目をやり、最前列から最後尾まで、ここに集まってくれた全ての人を取りこぼさないとでも言うかのような眼差しを送る。
伸びやかな『HYPERDELIC AGE』が続き、ラストは『orbital』である。
MASCHERAが活動を停止して12年、短くない時間にそれなりに折り合いを付けて日常を繰り返していたはずなのに、カラカラに乾いた大地に降り注ぐ雨のように身体の隅々まで染み渡るmichi.のMASCHERAに、からっぽだった瓶がmichi.の声に満たされて溢れ、昇華していくような心持ちだ。
こんなにも焦がれていたのだなと改めて気が付いたファンも多いことだろうと思う。
歌が終わると、客席に丁寧すぎるお辞儀をして退場するmichi.。
その後に楽器隊が続く。

アンコールの冒頭ではこのライブに向けた練習が東京と関西とでの遠隔リハだったこと、初めての実際の音合わせが前日だったことなど、驚きの話が飛び出す。特にリズム隊はボーカルやギターの音がない中でのリハで、困難を極めた模様。TOMOのドラムの専門的な話をする時もHIROの軽快なトークは健在で、この面白さもかつてMASCHERAの魅力だったことを改めて書き記しておく。
情景が目に浮かぶデビュー曲、『ゆらり』から始まり、2曲目『NO RETURN』ではギターの菅大助のソロも聞かせどころ。続く『to fly high』と少しずつ終わりが近づいていることを感じながらも、一緒に高みに登っていく感覚を共有する。ステージ上でのmichi.、HIRO、TOMOの3人のアイコンタクトは微笑ましく、癒しと安心感を与えてくれる。

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ラストのMCではmichi.の名で活動していくにあたり様々な出会いと別れを経て、今までMASCHERA、S.Q.F、 ALICE IN MENSWEARで歌ってきた楽曲を大切にしていきたいという気持ちの芽生えから、曲に込められた想いを尊重し歌い続けたいという熱い想いを真摯に語ってくれた。
生誕50周年という節目の年に、この生まれ育った姫路、更に成長を見守ってくれたベータでMASCHERAの楽曲を奏でる奇跡のような時間に感謝を贈る。

アンコールラストは本当に最後の最後の曲、『Lasting…』。
今日が楽しかったねという曲なのか、終わってしまうのが寂しい曲なのか。ライブはきっとどちらも含まれる。
しかしながら今日だけは明日もあるものね、楽しかったねと、この曲に乗る感情としては明るいものだったのではないだろうか。

「みんなで一緒に歌って、楽しんで終わりにしたい」michi.が言葉を紡ぐ。

みんなで歌うパートはmichi.もマイクを外し、まさに“一緒に”歌う。耳に届くのはマイクを通さないmichi.の声だ。この規模のライブハウスでしか成立しないスペシャルな体験となった。
最後の最後に改めてのメンバー紹介と一言。途中のMCから引っ張っているインディーズ時代のアルバム『tails』に収録の『WAIT』をTOMOが歌ってくれそうになる場面があったり、始終和やかなトークが続く。
許されるのならば、この緩いトークをずっと見ていたいと思ってしまう。
1日目は新しい幸せをたくさん受け取った気持ちで終了。明日はどんな特別な日になるのか、興奮冷めやらぬまま仮面舞踏会は閉幕となった。

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