そして迎えた2日目。初日と同様チケットは完売、MASCHERAナイト特別な夜への期待の高さが窺える。
初日同様、『毒殺』のインストゥルメンタルアレンジから始まると「姫路2日目も飛ばして行くぞ!」HIROが声を上げる。
2曲目『TRUTH IN THE STORMY GARDEN』 が始まるや否や、michi.とHIROが身を乗り出してファンを煽る。2日目の客席はこの時点で既に熱量が振り切れており、この特別な夜を楽しみ尽くそうとでもいうかのように最高レベルの盛り上がりである。
『Reality for Realism』から『ラストフォトグラフ』へとmichi.の伸びやかな声が映える曲が続く。
この日は初めからステージ上のメンバーの表情もとても柔らかく、いい意味で力が抜けており、心から楽しんでいることがよく分かる。前日も素晴らしいパフォーマンスだったが序盤は多少の緊張感もあったようにみえる。
曲が終わると待ってましたとばかりにmichi.を呼ぶ歓声が飛び交う。
『[é kou]』から重厚ながらも多彩な『マドンナ』、そして『ABYSS』へと続く。この『ABYSS』から次の『ラー』にかけての幻惑の世界へ誘われるような感覚は2日目でも浮遊感に囚われる。
余韻に浸る間もなく『Dragonheads Snaketails』へ。暗闇の中を手を引かれて駆け抜けていくようなナンバーだ。 『iNTERFACE』が終わると、michi.はファンに割れんばかりの呼び声を求める。
そのままメンバー紹介に入り、12年ぶりに集まってくれたTOMOとHIROを紹介。michi.は優しく「好きに呼んでくれていいで」と客席に呼びかける。客席からはTOMOとHIROはもちろん、ギターの大助も含めて、今ここにいるメンバーみんなへの呼び声が溢れる。
自身のソロの名目ではあるが、かつての仲間がこの日、こうして集えたことはmichi.にとってもファンにとってもかけがえのない特別な日となったはず。その気持ちを会場全体で共有し、MASCHERAというバンドが確かにあったことをより強く心に刻むこととなった。
MCでは1日目よりも更に詳しいリズム隊とメロディ隊の分割リハの話に入る。
関西でのリズム隊のリハではTOMOがずっとmichi.の歌真似をしていた話が飛び出し、これはmichi.も初めて聞く話だったようだ。
ここでHIROが「今日はイガちゃんもおらんしね」とMASCHERA時代にサポートメンバーとしてお馴染みだった五十嵐さんの名前を出してくれたことに、懐かしさを覚えたファンも多かったことだろう。
TOMOによる『ABYSS』の歌い出しと歌い終わりのmichi.の真似や、インディーズ時代のTAKUYAの話など、きっと本人たちも長らく思い出さなかったであろう他愛もない昔話をこんなにも楽しそうに話してくれることが、見ているファンにとっても嬉しくもあり、まさに特別な夜にふさわしいこぼれ話である。
いつまでも聞いていたい長い前置きの後、インディーズ時代の名曲メドレーへ。メドレーという難易度高めの組み合わせであるのにも関わらず1日目と違うラインナップはさすが。1日目の『コンドル』と『TERROR』が2日目は『METAMORPHOSE』と『DENーNO[BRAIN DEED ver.1.0]』となっている。
できるだけ多くの曲をファンに届ようとしてくれていること、また先ほどのリハや練習の時の話を聞く限り、メンバーも本当に今回のMASCHERAナイトを特別なものと思って挑んでくれていたのだなと感謝に堪えない。
続く『運命の車輪』、『刹那2012』とインディーズの流れを組んだ曲が続き、多彩な表情を魅せるセットリストも終盤に差し掛かる。
『Alice』、『Still I Love You』、『orbital』とMASCHERAの活動期間における中期、前期、後期を代表する楽曲が続く。
『orbital』は本編のラストを飾るのに相応しく、これで終わってしまいそうな、でも先があるような、寂しさと期待の両面を持つ楽曲だ。
アンコール明けのMCも終始和やかモードだった。出てくる時からHIROはモニターに登ってポーズを取ってくれたり、それを真似したmichi.が次に言うこと忘れて笑いが起こる。こういったステージ上の軽いハプニングはファンにとってはご褒美のようなものである。
曲は『ゆらり』から『speed shower』へと続く。コンパクトながらもタイトル通りスピード感溢れ、ライブでは起爆剤となるような1曲だ。
もう思い残すことはない、更にこれ以上の高みへも行こうと言う、『to fly high』。
MASCHERA時代からライブのラストを飾ってきた『Lasting…』、今日のライブが終わってしまうことだけでも寂しさが募るのに、解散ライブや12年前の復活ライブでも歌われたこの曲、他の曲と比べても格段に寂しさや悲しさを背負っているのが、またここにきて少しだけその荷を下ろした感があり、これで終わりじゃない空気を纏えるようになっていた。
ヴォーカリストが紡ぐ世界観を曲が体現している、この曲に関してはそう思わざるを得ない。
2日目のMCでは、michi.が今思っている心の内をとても丁寧に私たちへ届けてくれたように感じる。
ALICE IN MENSWEARの活動が止まってから……と、KOJIについて言及する際少し言い淀んだのも、それをファンの前で口にすることが、彼にとってある種、勇気のいることだったと思う。
MASCHERA解散後に感じていた想いとは明らかに変化をした今、過去のどのバンドの楽曲でも失ってはいけないという気づきを得て、曲に込められた想いを歌い続けていきたいとmichi.は語る。
「安心して、michi.の応援、よろしくお願いします」
この真っ直ぐな言葉に込められたこれ以上ない気持ちを、会場にいた全員がきっちり受け止めたことだろう。
今のmichi.に歌うことへの迷いはなく、様々な出来事を乗り越えてきたが故の強さとしなやかさを纏っているように見えた。
2000年の解散時にはもちろん、12年前の復活の時とは明らかに違うmichi.の、これからも歌い続けるという意思を強く感じた。 2夜限りの仮面舞踏会MASCHERAナイトは無事終幕。夢のような時間は終わってしまったけれど、夢の続きがあるような、そんな余韻と予感を残している、michi.のこれからも注目していきたい。
Writer:米丸茜 / Photographer:BIG-ONE
<michi.ソロ2024ラストワンマンライブ「Awakening Eve」>
2024年12月7日(土) 赤羽ReNY alpha
OPEN 16:30/ START 17:00/ 配信START 16:50
<当日券販売のお知らせ>
2024年12月7日(土) 赤羽ReNY alpha OPEN 16:30/ START 17:00 開場後、受付にて、スタンディング7,000円(税込)+ドリンク代別で販売いたします。
※こちらの当日券は3日間アーカイブやディスクプランの付属しない現地ライブ参加のみのプランとなります。
※予定枚数になり次第、販売終了いたします。
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