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【ライブレポート】Crazy Monsters Halloween Party 2023

🎃Halloween Party 2023 Day.1
2023年10月28日(土)
東京・新宿ReNY
 
🎃Halloween Party 2023 Day.2
2023年10月29日(日)
東京・新宿ReNY

【DAY1・Opening】

実りの秋にふさわしいハロウィンイベント・通称クレモンが、今年は4年ぶりに[Crazy Monsters Halloween Party 2023]と題され、新宿ReNYの地へと還ってきた。それも、個性豊かなモンスターズたちの揃う豪華2デイズというかたちで!
元をたどれば、クレモンの源流となったのは2012年に開催された[千聖プロデュース! ハロウィンイベントライブ]であったそうで、その後2013年からはCrack6のMSTR(千聖 from PENICILLIN)がオーガナイザーをつとめるかたちで[Crazy Monsters Halloween Party]の冠がつけられ、これまで多くの音楽ファンに親しまれながら現在にまで至っている。不可抗力的にコロナ禍の影響を受けた空白期間があったとはいえ、この盛大なる秋の祝祭は実質的に約10年もの歴史を持つ老舗イベントなのだ。
「ようこそお越しくださいました!本日の進行をさせていただきます、わたくしはスポンジボブ太郎でございます!!」(NoGoD・団長)
メインステージの脇に設けられたサブステージに、まず颯爽と現われたのはシーンきってのしゃべくり番長であるNoGoD・団長で、彼は自己紹介どおりにスポンジボブの仮装姿をしていた。そして、挨拶と公演前に関する諸注意をアナウンスしたあとにはオーガナイザー・MSTRを呼び込み、開会宣言の意味を持つトークを展開することに。
「4年ぶりということで、みなさんよろしくお願いします。今日、明日といろんなバンドが出ますけど、みんな僕が大好きな人たちとか、友だちばっかりなんで、ほんとにありがたいことだなと思ってます。まぁ、中にはそれぞれのバンドを「初めてここで観る」っていう人もいると思いますけど、そこはハロウィンなんで(笑)。仮装姿を見て「こんな感じのアーティストだったの?!」って驚くこともあるかもしれませんが、この2日間はとにかく特別なものなので、みなさん思いっきり楽しんでいってください」(MSTR)
なお、このあとにはクレモン常連メンバーでありながら今回は残念なことに不参加となったRickyからの動画コメントが場内にて上映され、そこでは初代クレモンアワード(仮装大賞)のMVPの栄えある称号を持つ彼が、ジャック・オー・ランタンそのものに扮するかたちで以下のような言葉をこの場に届けてくれたのだった。
「みんなで各バンドのコスプレを楽しみつつ、ライヴを盛り上げて、最終的にはMSTRを喜ばせましょう。僕は今日、出られないけど楽しんでいってね!!」(Ricky)

【168】

かくして。15時半というまだ陽も傾かない午後の新宿で、鮮やかなる初手を打ってみせたのは、現在12月9日の池袋EDGE公演まで続くツアー[化けの皮が剥がれ、善がる。]を続行している向日 葵のソロプロジェクト・168(読み・いろは)。サポメンも含めて全員がAngelic Prettyの甘ロリ服をまとった姿はただただ可憐なことこのうえなかったものの、1曲目の「化けの皮が剥がれ、善がる。」からして発する音は至ってダイナミックであり、アグレッシヴなニュアンスをたたえた「本性」や、どこかR&Bの香りが漂うモダンな「木犀」、軽やかなモータウンのビートを取り入れた「スピカ」と、168は限られた時間の中で持てる魅力を凝縮して貪欲に伝えてくれていたように思う。それこそ、彼が“化けの皮”を表現者として巧みに使ってみせていく様は実に手練れていたと言っていい。

168

【THE MICRO HEAD 4N’S】

THE MICRO HEAD 4N’S

歴史あるクレモンは、時に運命の出会いを生み出す場にもなるらしい。思い返せば、Rickyがヴォーカリストをつとめていた第1期からクレモンの常連であったTHE MICRO HEAD 4N’Sが、このたび4年ぶりのハロウィンに第4期ヴォーカリスト・KEKEを従えて舞い戻ってきたことは何とも喜ばしい事実だ。しかも、実は4年前のまさにクレモンの場で前バンド所属時代のKEKEとTHE MICRO HEAD 4N’Sは“出会っていた”のだとか。ちなみに、今宵の彼らは中世フランス貴族の仮面舞踏会をテーマにした出で立ちをしており、楽器隊の衣装はイロチのトータリティある雰囲気で、KEKEは領主のごとき貫録ある風情を漂わせていた点も印象的だった。そして、何より現体制となって約1年の月日が経った今、万全の状態にあることをうかがわせるパフォーマンスは圧巻だった。

【Nicori Light Tours】

旅はまだ、始まってからそんなには長い時間が経っていない。もともとJanne Da Arcで共に活動していたyouとkiyoが、あらたにαyumuとko-heiのふたりをツインヴォーカル・スタイルで起用しNicori Light Toursとしてデビューしたのは、2021年8月のこと。コロナ禍ど真ん中での出発だったこともあり、彼らは笑顔と希望の光の意味をこのバンド名に込めたそうだ。そして、百戦錬磨な鉄壁の楽器隊チームと、みずみずしさと可能性に満ちたフロントマンチームのおりなす相乗効果が、今宵のステージ上においても存分なかたちで発揮されていたことは言わずもがな。格好こそ全員が東リベ的な特攻服で、αyumuに至っては髪型も完全にマイキーであったが、そのイカつい姿にはある意味でそぐわない楽しくエキサイティングなライヴを彼らは体現してくれたのだ。

Nicori Light Tours

【甘い暴力】

ブログ画像

“あまぼう”の愛称で親しまれる甘い暴力は、結成7年にして今回のクレモン参加アーティストの中では最年少バンド。まずは無音の中で揃いのメイド服を着て登壇した彼らは、1曲目の「ちゅーしたい」を演奏するにあたりサビでのフリを初見オーディエンスに対してレクチャーする対策に出たにも関わらず、いざ「ちゅーしたい」が始まるとギタリスト・文がフロントマン・咲を「ちょっと!こんなんあかんて。うち、もっとカッコえぇ曲あるやん」と制止。すると、咲は「確かに、今日は俺がキッズの時に聴いてた先輩ばっかりやからなぁ。こんな格好やけどカッコつけるか!」と言い出し、一転して「イかせて欲しい」を歌い始めるという茶番(※褒め言葉)を供してくれた。刺激的な歌詞や尖ったサウンドだけでなく、エンタメ精神まで持つ甘い暴力に翻弄される快感は何とも格別なり。

【KAMIJO】

時空を超えた深き闇より、そろそろ佳境を迎えようとしていたこの場に悠然たる面持ちで現われたのはKAMIJO。仮装の類をしている様子は見受けられなかったが、むしろKAMIJOとしての通常営業の姿こそがハロウィンの夜にハマってしまう、というその奇妙な構図はKAMIJOのKAMIJOたる所以を証明していたと言えるかもしれない。
くわえて、毎度ながらにKAMIJOはそうそうたるサポートメンバーを引き連れており、HIRO(La’cryma Christi/Creature Creature)、RENO(ex.ViViD~Damian Hamada’s Creatures)、MASASHI(Versailles)、そしてshuji(ex.Janne Da Arc)が揃った舞台上は、まばゆくレジェンダリーな輝きに満ちていた。年明けから始まるという[TOUR「NEW VAMPIRE IS BORN」2024]にも、当然のごとく期待がかかる!

ブログ画像

【Crack6】

Crack6--day1

数多のモンスターがこの場を襲撃することになった今宵、トリを飾ったのはオーガナイザー・MSTRの率いるCrack6。彼らはエレガントなヴァンパイア姿で登場したのだが、この衣装はMana(Moi dix Mois/MALICE MIZER)の主宰するブランド・Moi-même-Moitiéのものであったそう。躍動感あふれるMSTRのギタープレイと力強い歌が映えた「Butterfly Effect」を口開けに、アグレッシヴなトーンで投下された「Break the Darkness」、スパニッシュな風が吹いた「CYBER ROSR~XX ver.~」と、Crack6はワンマンさながらの勢いで瞬く間に場内を席捲。また、例年ならRickyがゲスト参加する「KICK!」ではスポンジボブ太郎(団長)が助っ人になり、卓越した歌唱力で圧倒することに。Crack6はいろいろな意味でクレモンならではのサプライズを届けてくれたのだ。

【DAY1・Session】

 これだけの素晴らしいメンツが揃ったイベントならではのアンコールで何をやるのかと言えば、もちろんクレモン名物・大セッションに決まっている。2014年に発表されたCrack6のアルバム『Crazy Monsters Parade』に収録されていた「Crazy Monsters」を、本日の出演者たちがステージ上で大渋滞状態を引き起こしながら、順々にヴォーカリストたちが歌ったり、プレイヤーたちが共に奏でたり、場合によっては楽器を持たないままでも仲睦まじそうにジャレあう人々がいたり、というその楽しい光景はハッピーハロウィンの言葉がとてもよく似合った。特に、KAMIJOが団長から譲り受けたらしいスポンジボブのカブリモノで嬉しそうに歌っていた図は、クレモンでしか観られない超レアなものだったに違いない。だが、Crazy Monsterたちの宴はさらに明日へと続くのである。


<関連リンク>
【1日目出演者情報】
PENICILLIN Web
千聖 twitter
Crack6
THE MICRO HEAD 4N’S
KAMIJO (Versailles)
Nicori Light Tours
168
甘い暴力

【司会】
団長(NoGoD)

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