2023.12.20
【ライブレポート】Crazy Monsters Halloween Party 2023
【DAY2・Opening】
アーティスト勢のみならず、クレモンでは観衆側も仮装ですることを楽しんでくれている人たちがそこそこ多くみられる。今年は見たところ『SPY×FAMILY』『ドラえもん』『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』といったアニメや映画のコスプレを筆頭に、MSTRのコスプレをしている方も幾人かいたり、マニアックなところでは大阪万博キャラクターの“ミャクミャク”に扮している人や、MSTRが当時好きだったという“1980年代末期の森高千里”の格好をしている人までいるなど、それぞれに趣向を凝らして参加してくれている様子はとても喜ばしい限り。では、今日のアノ方の仮装は…??
「さて。昨日に引き続き総合司会をつとめさせていただきますのは、この不景気な日本に少しでもバブルな好景気を!ということを願いまして、この格好となりましたバブル太郎でございます。本日もよろしくお願いいたします!!」(NoGoD・団長)
ビビッドなイエローのシャ○ル風ボディコンスーツに、ソバージュヘア的ウィッグという、2017年あたりにバズった大阪府立登美丘高校ダンス部のバブリーダンスを彷彿とさせる姿をしながらも、顔はいつもの白塗りを崩さない団長のスタンスは今日も潔い。
【Dacco】
昼下がりから5時間以上にもおよぶイヴェントともなると、観る側もカラダをほぐしてくことが意外と大事になってくる。元気よく「Dacco、1番手です!よろしくお願いします!!」(Lida)「みんなで元気よく踊っていきたいと思います!」(YURAサマ)と登場した彼らは、エアロビクス要素のあるフリと軽快な四つ打ちビートが取り入れられた「スーパー•ウルトラ•グレート•デリシャス•ワンダフル•ミラクル•TOUGH!」で、場内をワークアウトスタジオに変貌させてしまうのだから、その求心力はやはりタダモノではない。また、この日の彼らが枝豆コスをしていたのは「我々は自分たちの役割を自覚しております。みなさん、大好きなアーティストに酔いに来たわけでしょ?ただ、居酒屋で最初に出てくるのは枝豆ですからね!」(YURAサマ)という理由付けがあったとのこと。歌って踊れるDaccoの熱演はさすがだった。
【クマムシ】
歌ネタ「あったかいんだからぁ♪」があるとはいえ、何故V系アーティストの集うクレモンにお笑い芸人のクマムシが…??「いやー、今日のフライヤーからして意味わかんないですもんね。豪華なメンバーの写真が載ってるところに、ノーメイクのツルツルがいるっていう(笑)」(長谷川俊輔)と、本人らも違和感は感じていた模様。しかし、実はクマムシとMSTRのホームバンドであるPENICILLINは2015年にクマシリンとしてコラボし「Could you tell me…」をリリースしている仲でもあるため、今回このクレモンにも参加してくれることになったのだという。鉄板ネタの「あったかいんだからぁ♪」にとどまらず、プロの話芸で場を盛り上げてくれたうえ、MSTR・団長・Daccoとのトークまで披露してたくさんの笑いをもたらしてくれたクマムシには、心からの拍手を贈りたい。
【H.U.G】
音楽の完成度も、仮装の完成度もハイクオリティ。今年6月に1stアルバム『HELIOS』を発表して全国ツアーも経験したH.U.Gが、このたび初参加となったクレモンで見せつけてくれたのは表現者としてのこだわりの強さだったのではなかろうか。Karyu(ex.D’ESPAIRSRAY~Angelo)は『アダムスファミリー』のウェンズデー、ryo (HOLLOWGRAM)は『クルエラ』のクルエラ・デ・ヴィル、横山和俊は“松田聖子がゴスロリだったら”という設定型仮装をしており、サポメンであるTAKEO(PIERROT/Angelo)も『ナイトメアー~』のサリー、MASASHI(Versailles)は『アダムス~』のモーティシアになりきっていたところにもぬかりはなかった。いろいろな意味で、H.U.Gのこれからに向けた可能性を感じさせてくれたステージングであったと言っていい。
【Kneuklid Romance】
かれこれ30年以上。1992年に結成されたKneuklid Romanceがこれまでにたどってきた道は、紆余曲折なものであったと言えるだろう。何度かのメンバーチェンジをしながらメジャーデビューを果たすも、2000年には一旦解散。その後には1日限定復活を数回経つつ、2019年11月にはワンマンライヴ[BABYLON 9]でようやく現体制での復活を果たし、近年は不定期ながらもライヴ活動を続行していたことになる。「今回、千聖さんに誘っていただいたのが本当に嬉しくて。半年間準備してきて、今日ここでライヴをやれてることもすっごく嬉しいです!」(YUTAKA)ただ、残念なことにこれを最後にして次の予定は空白だというが…今宵演奏された「Wall」や「クモオンナノキス」といった彼らの生み出した名曲たちを、また何時かライヴで聴ける日を心待ちにしていたい。
【kαin】
重鎮の発する歌、そして言葉には説得力がこもっていた。前日にワンマンを終えたばかりだったというkαinは、ほぼイベント出演しないだけにこのクレモンへの参加は貴重なものだったと思われる。「今回は千聖さんから90年代から活躍してる人らがたくさん出るイベントだと誘われて、出ることにしたんですよ。そして、ここには当時とは違うバンドで出てる人たちもいると思うんやけど、ほんまにバンドって何時かは必ずなくなるもんやからね。中には死んじゃう人が出てきたり、いなくなっちゃう人もいたり。せやけど、音楽そのものはなくならへんと僕は思ってます。たとえ作った人間がいなくなったとしても、音楽はみんなの心の中に永遠に存在していくんちゃうかな」(幸也)その言葉のあとに続けられた「証-akashi-」から伝わってきたのは、熱き魂そのもの。音楽よ永遠なれ。
【THE MICRO HEAD 4N’S】
不死鳥のごとく、これまでに幾度も生まれ変わってきたTHE MICRO HEAD 4N’Sは前夜に引き続いての御目見得。仮面舞踏会をテーマにした仮装自体は引き続いていたものの、メイクはゾンビ仕様にグレードアップしてあったうえ、セトリも「LAST」以外はカブりなし。さらに、「REVERBERATIONS」では彼らにとっての盟友・潤(PIERROT/ALvino/Bräymen)をゲストに迎えてのエモい共演まで堪能することが出来たのだ。11月23日にはKEKEをフロントに据えた現体制にて制作した初のアルバム『NEW ERA -the beginning-』が発表となり、12月からはそれを受けての東名阪ツアー[NEW ERA]も行うというマイフォの持つバンドとしての勢い、そして音楽的な充実ぶりはこのクレモンでのプレイを通じてもひしひしと伝わってきた。新時代へと向けて響く音、ここに在り。
【Crack6】
ゴシックなモードであった前夜からは一変し、MSTR以下メンバー全員がセーラー服に腕章という、新しい学校のリーダーズを思わせる仮装で登場したのはCrack6。MSTRはハンドマイクを使ってのエモいヴォーカリゼイションを聴かせた「BANG!」でフロアに急襲をかけたかと思うと、さらに「電撃ミサイル2006」で激烈な追い討ちをかけ、ドラマティックな曲展開の「カナリア」では鮮やかなギターソロまでをも堪能させてくれのだった。意外なようでしっくりとハマっていたバブル太郎とのコラボによる「KICK!」も交えつつ、この夜も最高のライヴアクトを繰り広げてくれたCrack6は、現在20周年のタームを迎えている真最中。2024年1月には待望のベストアルバムをリリースされるというが、Crack6の飽くなき表現欲求はこれからもますます進化していくものと確信する。
【DAY2・Session】
2夜にわたり進行役をつとめた団長からすると、レジェンダリーなアーティストが多数出演するクレモンは“神々の遊び”に見えたそうだ。確かに、名だたるミュージシャンたちが本気の仮装と本気の実演を展開するこのイヴェントは価値あるもので、最後に「Crazy Monsters」をまたもの大セッションしていく光景も眼福に尽きた。潤(PIERROT/ALvino/Bräymen)とTAKEO(PIERROT/Angelo)が並んでいたり、SHUN.(THE MICRO HEAD 4N’S)が昨夜のKAMIJOに代わってスポンジボブ枠をつとめていたり、幸也とYUTAKAが肩を組んでいたりと、他ではまずみられないものを多々拝むことが出来たからである。ここはあらためてオーガナイザー・MSTRに感謝をするとともに、MSTRには[Crazy Monsters Halloween Party 2024]の実現もぜひお願いしたい。
Writer:杉江由紀 / Photographer:折田琢矢
<関連リンク>
【2日目出演者情報】
Crack6
THE MICRO HEAD 4N’S
Kneuklid Romance
Kαin
H.U.G
Dacco
クマムシ
【司会】
団長(NoGoD)