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【完全版】五人五様の衝動が交わる――DuelJewel ニューアルバム『Eclipse』

ばる これはあまりタイトルの言葉遊び的なところはあんまりなくて。ただ、その次の曲「Last train」と対になっていて、「Last train」に乗って目的地を探す旅というような、僕の作った2つの曲はちょっとタイトルで繋がってるみたいなところがあって。「DISTINATION」の歌詞は隼人が書いてくれたんですけど、タイトルは僕が「これでもいいですか」っていう感じで提案させてもらいました。

ばる 歌詞の内容とかメッセージが同じようなテーマを掲げてるものだったんで、隼人が書いたそういう視点と、僕の書いた視点みたいなところで繋がりというか、ストーリーを感じたんで。

ばる 隼人の歌詞の方が先にあって、僕はそれを読んで、いい歌詞だなと思いつつ、もう本当に忘れてたんですよ。どんな内容だったかも、どんな歌詞だったのかも。その後、0から僕が「Last train」の歌詞を書いて、後からまた隼人の歌詞を見た時に、めちゃくちゃ同じようなテーマで書いてあったから。僕は1回読んでるはずなんですけど。
「偶然にも同じようなことを書いているな、テーマとして」と思って、面白いなって思ったんですけど、もしかしたら記憶の隅にそういうイメージがあったのかもしれないですし。

祐弥 古い曲でも、今の演奏だったり演奏技術だったり、もちろん隼人の歌唱力も全然段違いですし、機材だったりテクニックも全然変わった状態でやった時に、その当時出せなかった曲の完成度がやっぱり感じられるっていうところがあって。やっぱり(曲に)古さを感じないからこそ、入れられてるんじゃないかなっていうのはちょっと思いますね。

隼人 変な言い方になるんですけど、アルバムって模索しながら作ってるんですよね。それで、「こうしたらいいかな」っていうのをレコーディングでは楽器とか歌、ずっと模索して、新たな楽器を足したり引いたりっていう作業をずっとやってて、それはやっぱり作り上げる作業だと思ってて。それに対して発表して、ツアーとかをやらせてもらって、ツアーが終わってからも何年もライブで演奏させてもらって…。その中で、お客さんとの中で生まれてくるグルーヴだったり、ノリや盛り上がり方というか…、そういうものって、レコーディングしてる時には全く想像もつかないし、作り上げた後に何年もかけて蓄積されていく、経験値みたいなものだと思うんですよね。そういうものをまた新たにレコーディングして形にすると、最初のオリジナルの時と比べて全く違う、経験値を重ねた楽曲というか、みんなと僕らとで作り上げた成長の証、軌跡みたいなものができると思うんです。最近はアルバムごとに過去の曲、しかもライブで高頻度で演奏させてもらってる曲っていうのを入れても、不思議と違和感が出ないというか、なんか今の僕らがやってるものとして、過去の曲っていうのも全然現代でもちゃんと通用するんだなっていうのを再確認できるというか。そういう面白さもあって、なんとなく続けてきてるというか、割と僕らのアルバムに定番的にそういう動きがあるなっていう感じで、それは面白い試みだなと思ってます。

ばる やっぱり活動歴が長い分、自分たちの技術力も上がるし、音楽の流行りとかそういうものもどんどん変わっていって、特にこの「Moon Struck」なんかはアレンジも変わってダウンチューニングになったりとか、より重くしたってところもあって、原曲よりももっと激しい部分に寄ってるんですね。ライブで初めて聴いて、この音源欲しいなと思って遡る時に、ちょっと印象違うなってなることもあり得るので。もちろん原曲のアレンジも僕はすごく好きで、橋渡しではないんですけど、じゃあ例えばこの音源を聴いて、「Moon Struckって原曲があるんだ」ってなった時に、「どんな曲だろう」って、『グラスフィア』を遡ってくれて、このアルバムをもう1回聴いてくれるとか、そういう過去の音源への橋渡しみたいな役割にもなるのかもしれないなと思っていて。そういう曲を今の作品に入れると、過去を深掘りしてくれる方も中にはいるのかもしれないとか。そういう意味で新旧を融合させるのはアリだなと思うし、その曲自体は多少古臭さがあったとしても、僕らはいまだに結成当時の曲なんかも全然ライブでやるので。楽曲って僕らが思ってるほど劣化しないし、特に長く通ってくれてるファンの方からしたら、思い入れの部分も強いので、過度なアレンジは絶対にしたくないっていうのもあって。それもあって、『[RE]REVIVE』はほとんどアレンジを変更せず、原曲を忠実に再現するっていう感じで作っていたのもあったので。今応援してくれてるファンのみんなをがっかりさせないようなアレンジと、それでいて今の僕らを出すっていうのをこだわってやってるかなっていうのはあります。

Shun いやもう、ばるくんが言った通りですね。結構「昔の曲をリアレンジします」「再録します」、それで、なんかアレンジを加えすぎたりとか、そういうアーティストさんが中にはいると思うんですけど。例えば今回のこの「Moon Struck」なんかも、ライブでバンバンやってる曲ですから。僕らはいろんな都合もあったりして、聴いてほしいのに音源すぐ聴けないよねっていうことがあるバンドなので、それがまたすぐ聴ける環境を作れたっていうのは、きっとお客さんにとっても嬉しいことなのかなって思ってはいるので、入れられて良かったと思います。

Natsuki さっきばるくんが言ったみたいに、アレンジががっつり変わってるんですよ。チューニングを下げたんですけども、その際にギターのコード感とか、ちょっと前に流行ってた濁ってる感じというか、そういうのに変えたんですよね。そういうのもあって、割と馴染みはいいんじゃないかなと、「Moon Struck」に関しては思いますね。昔は昔で若いなりの勢いで表現してたものが、今は技術がついて、今だからこそできる楽曲があったりとかっていうのが、昔の曲になるほど多いなとは思うので、古い曲をやるのは僕はいいと思ってますね。

隼人 苦っていうほどのことはないですけども、やっぱりアルバムってこう、ざっと10曲ぐらい聴くので、楽曲自体もそうですけど、どれだけ飽きさせないかというか、そこは毎回意識するところではありますね。前はそういう気持ちが強かったんですけど、今回はそういうことは、重要なことではないなってことにちょっと気づいて。結局は、各楽曲をどう仕上げていくか、その楽曲が持ってるものをどう引き出してあげるかっていうことが大切で、結果的にずらっと並んだ時に似たような感じになることはないと思うので。1曲1曲を大事に歌詞を書いて、その中で融合した世界を音にするっていう、すごくシンプルな作業だなっていうことに気づいたので、各楽曲を集中して録るというか…、本当にその繰り返しで。最終的に、並べていい形になったなっていう感じですね。そういう意味では、細かいこういうメロディーラインを歌うのが難しいとか、ここでどういうテクニックみたいなのを使うのがいいんだろうとか、そういうのはありますけど。でも、それはそれで、そんなに重要なことでもないかなというか。
割と今回は芸術的な感性というか、なんかどう表現するかっていうことにすごく集中できたアルバムになったかなと思います。

Shun 今回だけじゃなく結構前からそうなんですけど、アルバムを作る上でそれぞれ曲のすみ分けをするようになって。今回は、お互いが得意とするものを綺麗に振り分けができて面白かったなって思いますね。「SPEED LOOP」みたいな曲とかは僕には絶対弾けないので、「さすが祐弥さん」と思いながら。でも、僕が担当してるところも「それはそれでこだわらせてね」みたいなのとか、結構いろいろ考えさせてもらったので、いいツインギターだなと我ながら思いますけど。

祐弥 音源自体が、ギターの音色に関しても、前作、前前作ぐらいまでは、バッキングは割と大枠を超えない音作りの感じだったんですけど、今回激しい曲っていうことで、Shunちゃんが激しい曲に特化したギターとアンプ、プラグインだったり、そういう音源に関して、音色に関してすごく突き詰めてくれたんで、特に差別化ができたんじゃないかなって。「この曲、誰がギターメインでやったの?」とかっていうのが多分聴いてすぐわかるように、今回からなったんじゃないかなっていうのは思いますね。

Natsuki 明確にここっていうのは特に特になくてですね。その楽曲に対してどういう風にアプローチするかっていうのを毎回考えてて、レコーディングする際に、自分がいいと思ったアプローチを毎回してるって感じなんですよ。なんで、今録ったら多分、また違うフレーズ弾くだろうしって感じですかね。

Natsuki 基本は、大体こんな感じで弾きますよっていうのを作曲者の方に、データを事前に送るんですけど、やっぱ録音してて「こっちがいいかも」とか、「こっちの方がフレーズかっこよくない?」みたいな感じで変えていくことはもちろんあるんで、今回もそんな感じなんですけど、今回は特に明確にこれを絶対弾きたいっていう曲はなかったですね。

Natsuki そうですね。それこそ例えばドラムが録ってる間にギターの2人が来てくれたんですけど、その時になんかテクニックみたいなものを教えてもらって、「これ入れてみようかな」みたいな感じで入れたりとか、結構面白がってやったりもしましたね。

ばる 今回は「感情6号線」がすごくジャズ的アプローチがあって。こういう楽曲ってすごく難しいんですよ、シンバルレガートとかもしっかりあって。なんちゃってジャズっぽくなりがちなんで「なるべく自分の持ってるスウィング感を頑張って出したいな」みたいなところで、思ったよりはうまくアプローチできたんじゃないかなっていうところもありました。この曲も今だからできるというか。僕、ハネモノが苦手だったんですけど、思ったより気持ちよく叩けてるなって思いました。この曲のためにスネアを買ったりもしました。こういうアプローチも今までやってこなかったんで、ちょっとこの曲だけ突出して、今までにないテイストだなと思いましたね。

ばる おっしゃる通り、ライブを意識して作った曲が多いので、割とV系って統一された動きが求められるというか、それがあった方が盛り上がっていく感じがあるので、ある程度「この曲はこうだろうな」っていうのは、各々作曲者の中でも見えてると思います。それをどれだけライブで僕たちが、わかりやすく示せるかなっていうことだと思いますし、僕らがこうしてほしいって思う動きが、実はお客さんからしたら「いやいや、こっちの方がいい」って思ってることもあるかと思いますし。一緒に作っていけるようなツアーにしたいなっていうのがありますね。

Natsuki 実際これって始まってみないとわかんなくて。始まって、進んでいく内にだんだん、こっちが提示したり、お客さんが応えてくれたり、曲の雰囲気が変わってくから、ツアーが始まるのが楽しみって感じですね。最終的には一体感があるライブにはしたいですよね。

Shun 僕が言えることは、この本数でどこまで育てられるかなっていうのはちょっとあって…。プレイ面のパフォーマンス、あとお客さんがどう楽しんでくれるとか全部踏まえた上で、結構密度が濃い1枚を引っ提げたツアーになりそうなので、ちょっと今までの作品以上に急ピッチでみんなといろんなものを共有しながら育てていかないと、これはファイナルまでにクオリティ上げらんねぇぞ、みたいなのを勝手に僕思ってるんで。でも1本1本めちゃくちゃ楽しみながら、お客さんと熱いライブを共有していきたいなと思ってます。

祐弥 僕らはアルバムをコンスタントに出すバンドなんで、やっぱファンの方は、対応力がだいぶ早いと思うんですよね。「まだ未発表の曲です」って言っても、なんかヘドバンしてたり、対応力がかなり高いんで。それがやっぱり一体感を作る要素だとは思いますし。ばるちゃんが言った通り、それをいかに早くできるかっていう、いかにその形に落とし込めるかっていうのと、僕らも答え合わせを早くできるっていう意味で、もう初日からある程度固まって、「すごいねみんな!」みたいな感じのライブになると予想してるんで、それが早ければ早いほどいいと思うんで。お客さんもそうですし、僕らもどこまで完成度が極まっていくかっていうのが楽しみですね。

隼人 今回の楽曲たちは、すごく面白い曲が集まったと思いますし、いろんな感情の生まれる楽曲じゃないかなと思ってます。ライブは本当に好きにしてもらって楽しんでもらえればいいんですけど、それプラス、心にどういうものが残るのか、どういうことを感じてもらえるのかっていうのがすごく楽しみでもあるし、僕らの1つの挑戦でもあるかなとも思うので。ワッと盛り上がったとか、たくさんお客さんが来てくれてよかったねっていうものの先にある、1人ひとりの個人の心にどういうものが投げかけられたのか、どういうものを感じ取ってもらったのかっていうのは、ミクロな部分ですけど、すごく大事なことじゃないかなというか、ライブならではじゃないかなと。音源としての作品プラス、ライブっていう、同じ空間の中でどういうものを感じられるかっていうところが、今回のツアーの楽しみでもあるし、1つ自分の個人的な目標ではありますね。

ばる 2022年から今作品で4年連続、フルアルバム5枚目のリリースになるんですけども、こうやって音源を出せるっていうことは、やっぱ音源を手に取って聴いてくれる方がいるからであって、音源リリース自体もどんどん難しくなっていっている世の中だと思います。未だにこうやってCDを買ってくれるとか、その音源を聴いてくれる方がいるっていうことを、もう当たり前だとは思わずに大切にしつつ、だからこそ今やらないと、「次、いつリリースできるかわからない」という気持ちで、今できることは今やるしかないと思ってるので。アルバムも今やれるだけの力があるんであれば、僕らはもう全力でやっていきたいので、ぜひ、MAKEをご覧のみなさんにも、今回の作品をきっかけに過去の作品を聴いていただけてもありがたいですし、DuelJewelのライブに触れてみていただけたら、変わった新しい世界を感じるかもしれないので、ツアーも良ければ1本でも多く参加していただけるとありがたいです、ぜひお待ちしてます。

Natsuki 新しいアルバムなんで、やっぱ今やりたいことが詰まってる作品なので、ぜひ聴いてもらってツアーに遊びに来ていただければなと思います。

Shun ばるくんも言ってましたけど、まずコンスタントに音源をリリースっていう環境にいさせてくれているファンの方に対しての感謝を伝えたいです。今のV系シーンを見てると、クオリティの高いバンドさんがいっぱいいらっしゃる中で、1つに絞ってってどうしても言えないような環境の中で…、最近すごく思うんですけど、推しがいっぱいいるのって幸せだなって思うんですよ。だから、ぜひその推しの中にDuelJewelを加えていただいて、ハマり甲斐があるバンドだなって思っていただきたいなと。やっぱ音源を出したタイミングって知ってもらえるいい機会なので、少しでも気になった方、アルバムちょっと聴いていただいて、我々の沼に落とし込めるような活動をこれからも頑張っていきたいと思います。

祐弥 作曲者も5人いますし、アルバムもコンスタントに出してます。1つのジャンル、1曲聴いて「こういうジャンルなんだ」って思わないで、いろんな曲がジャンルをまたいであるんで、いっぱい聴いてください。絶対好きな曲があると思うバンドなんで、ちょっと深く掘り下げて聴いてみていただけると嬉しいですね。

隼人 応援してくださるみなさんのおかげで、今回もまた1つ、渾身の作品がリリースできました。音楽って作りたいと思っても、一緒に作ってくれるこういうメンバーがいないとできませんし、そういうものを発表する場もないとやっぱ寂しいなと思います。何よりも応援してくださる人がいてくれて初めて曲も作れるし、演奏もできるので、やっぱりこの関係性が改めてありがたいなと思った今作でした。こういう感謝の思いを素晴らしいライブでみなさんに返していけたらなと思うので、今回のツアーもすごくいいツアーになる気がすごくするので、今から楽しみに待っていてください。


当インタビューは2025年9月に本誌公開されたものです。

Writer : 廣瀬 大輔 Photographer:江隅 麗志

『Eclipse Moon Ver.』
【収録曲】
1.待宵月-MATSUYOINOTSUKI-
2.DISTINATION
3.Last train
4.感情六号線
5.死と死と
6.SPEED LOOP
7.鮮血噴き出すこの死の中で
8.人に非
9.Moon Struck~LIVE edition~
10.Only Love

【DVD収録曲】
待宵月-MATSUYOINOTSUKI MV-
待宵月-MATSUYOINOTSUKI- making movie

【発売日】
2025/09/17(水)発売

『Eclipse Sun Ver.』
【収録曲】
1.Rotten Sun
2.DISTINATION
3.Last train
4.感情六号線
5.死と死と
6.SPEED LOOP
7.鮮血噴き出すこの死の中で
8.人に非
9.Moon Struck~LIVE edition~
10.Only Love

【DVD収録曲】
Rotten Sun MV
Rotten Sun making movie

【発売日】
2025/09/17(水)発売

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