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2024.01.11

【本誌連動】摩天楼オペラ新譜EP『EVIL』メンバー解説完全版

「光の雨」

:この『EVIL』という作品のエンディングテーマみたいなイメージで、他の曲を俯瞰で見たイメージで書いた歌詞なんですね。
『EVIL』や『舌』の歌詞では世界が小さいんですよ。個人的な目線での憎しみとか嫉妬があったんですけど、だんだん広がってきて、『Libra』の時には大きい、全世界的な方向になっているんですね。
『光の雨』では個人的な世界から、地球規模の世界まで、たくさんの人たちが、負の感情がありながらも、ドロドロになりながらも…、結局は生きることを頑張るんですよね。ひいては命の輝きって素晴らしいな、という…俯瞰で見た歌詞になっているんです。

優介:ギターのアレンジを始める前にデモを聴いたんですけど、おそらくこの曲が最後(6曲目)だろうというのは感じましたね。この曲は、“救いの一瞬”の曲になるだろうというビジョンはもう伝え聞いていたので。ただ、救いがあるメロディックスピードメタルで、明るい曲調だというのは、総評で言えばそうなんですけど、この曲は最近の摩天楼オペラの曲と決定的に違うのが、明確にマイナーコードで終わるんですね、曲が。暗いコードで終わっているんですよ。『終わらぬ涙の海で』は声だけの状態で終わっているんですが、他の曲は全てメジャーコードで終わっているんです。なので”救いがあったよ”、”大丈夫だったね”、”よかったね”という感じではなく。なのでシリアスに、ギターソロは底抜けに明るいようなものにはやっぱりしたくないな…って。
1番最後にあの残響音を皆さんが聴くことになるわけだからって考えると、すごいものを見たなっていうか、考えさせられたな、みたいな聴感にしたいなと思ってました。
ギターリフっていうリフはこの曲にはないんですが、1番最初のAメロからサビの流れが終わった後に速弾きのギターの一節が来るんですね。その部分も、とにかくシリアスに聴かせようっていう意図を反映した気がしますね。ギターソロと同じくらいに。あとCメロ手前の楽器隊がかなり動いて盛り上がる部分も、コード進行だけ弾いてみると、底抜けに明るいんですよ。でもそこをうまく、哀愁がある感じで、聴かせるメロディにするにはどうしたらいいかっていうのを特に考えましたね。
Cメロが個人的にはかなり好きでして。あそこで、ギターのフレーズを刻むというよりはアルペジオっぽく歪みで弾きたくなるのは、ヴィジュアル系の育ちが…(笑)。
あと、『真実を知っていく物語』の後の作品ぐらいから、ボーカルのハモリのアレンジを僕が全部担当してるんですね。この曲は絶対3声で、分厚くハモらせたらシーンが映えると思って。例えば ”僕らには意味がある”のところ。歌詞が上がってくる前の段階で、メロディ的にこの曲で伝えたいメッセージはここに集約しそうだな、と思いながら調整していた記憶がありますね。

彩雨:キーボード的には、やっぱりこの曲は最後のクライマックスにかけて、というところが1番重要だと思っていて、こういう曲はブラスサウンドが映えるので、それどこで入れようかなっていうところを考えましたね。
今回のアルバムではあまりブラスの音は使ってないんですけど、この曲では効果的に最後のクライマックスに向けて入れられたかなと思ってます。あと、最後の終わり方、ギターソロ裏で鳴っているクワイアのサウンドも個人的には気に入ってて、あの繰り返しがずっと続いていくっていうところが、この曲の壮大な雰囲気というか、なんかそういうのをうまく表現できたかなとは思っています。

彩雨:昔はもうちょっといろいろな音色を使っていたんですけど、最近はもう、ストリングスがほとんどで、クワイアをいかに効果的に使うかっていうところですね。ブラスの音とか、個人的には好きなんですけど、入れすぎると勇ましくなったり、ゲーム音楽感が出てしまうので、そうならないようにブラスの入れどころっていうのが重要だなと思っています。

優介:一瞬ブレイクするところのハープと女性クワイアが特徴的じゃないですか。

彩雨:あの部分は、デモを最初もらった時はピアノだったんですけど、あえてハープにしました。なんかハープの方が僕の中でFF感(ファイナルファンタジー)があると思って(笑)。
最初にもらったフレーズとちょっと変えてるかもしれないけど、あの有名なプレリュードをちょっとだけ意識して…。

ブログ画像
響(Dr.)

:この曲はベースのアレンジを考えるのが1番時間かかったかなと思います。似たような感じなのに同じフレーズを使っていなかったりっていうのが結構多くて。なんか今時のアニソンのベースアレンジっぽい手法を使ってますね、覚えにくいという(笑)。
あと曲の始めのバンドインする時に入ってくるベースフレースは苑くんが作ったデモにも入っていて、それをアレンジして弾いていますね。このフレーズは曲中に何度か出てきて、全てアレンジしてレコーディングしています。1番音選びや全体的にこだわってアレンジした曲です。

:この曲はメロディックスピードメタルなんで、基本的にはツービートメインで、ツーバスを入れるっていうのがベースにあるんですけど、今までと少しアプローチ変えて、シンバルに頼らず、太鼓系メインでいきたいなって思ってました。なのでフィル的には、Cメロ前の楽器隊のパートのところで、ドラムソロ演奏するくらいのつもりアレンジしました。具体的には、前半はリスペクトの意味も込めてとあるXのフレーズをトレースしていて、後半は僕が得意としているメタルコア的なフレーズを入れています。

:今回は東名阪のみの短いツアーなんですが、キャパ的に摩天楼オペラとしては少し勝負をする大きさですね。ただ、摩天楼オペラには広すぎるっていうようには思われない、と思うんですよ。今までのツアーよりものびのびと新曲たちを演奏できるのかなっていう期待がありますね。お客さんもメンバーもはしゃげる、そんなツアーにしたいなと思っています。

優介:大きいステージで演奏し、お客さんと楽しむというのは、すごい有意義というか、嬉しいことだなと思っていますね。当然、このツアーではEP『EVIL』6曲を全部やることになると思うんで、どういう響き方になるのかっていうのをイメージしながら聴き込んでもらえたら嬉しいですね。

彩雨:昔から大きな会場が似合うバンドだということは、僕らもそう思うし、お客さんもそう思ってくれていると思うんですよね。 今回は新曲をやるというところで、初めてその曲たちを聴く環境って重要だと思うんですよ。
今回久しぶりに新譜を出して、大きな会場でやるので、初めて聴いてもらって、そのステージの広さなんかも記憶に植え付けたいなと思います。

:コロナ禍も落ち着き始めて、去年とかよりもライブに来れる人が増えてきたと思うんですよね。新音源を引っ提げて、 いいライブをお客さんにしっかりと観せることが大事だと思ってるので…なんてしめればいいんだろう(笑)。
3本ともぜひ来てください!

:すごい大きい会場でやるので、 僕たちからもそうですし、お客さんからしても、だいぶ攻めたツアーに見えてると思います。でもちょっと摩天楼オペラのこと知ってる人とかは、”このバンド今、そんなに勢いあるのか”って感じると思うんですよね、あの会場の規模を見ると。なので、その期待を裏切らないようなツアーにしたいと思います。

:次の音源はこういう方向性がいいなっていうのは、なんとなくあります。
今後も勝負をしていきたいですね。20周年に向けて、もっともっと上へという気持ちはあるので、オペラーの方たちと一緒に、突き進んでいきたいです。


Writer:廣瀬 大輔 / Photographer:江隈 麗志

<新譜EP『EVIL』>
【収録曲】
1.EVIL
2.舌
3.誰も知らない天使
4.S
5.Libra
6.光の雨

【発売日】
2023/12/13(水)発売
2,500円(税込)

【EVIL TOUR 2024】
2024/1/13(土)
大阪 なんばHatch
2024/1/14(日)
愛知 ダイアモンドホール
2024/2/12(月・祝)
東京 EX THEATER ROPPONGI

<関連リンク>
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