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【ライブレポート】THE LOCUS <KISAKI BANDWORKS 30TH ANNIVERSARY LIVE 「BEYOND THE KINGDOM -OSAKA-」>

続く第二部、幸樹からのバトンを受け取った真緒は、「皆さんの大切なもの、思いを、自分自身に置き換えて聞いてください」と語り、KISAKIと、託された曲への思いを胸に、ファンのために歌うことを宣言。「皆に届くように感情を込めて歌います」と綴ると、会場は静寂に包まれる。繊細なメロディラインから始まる『World In Flames』は、ガラスのように美しく、粉雪のように儚くも、確かな情熱を保って響き渡る音楽は、釘付けになるほど力強く、言葉の一つ一つを丁寧に彩る。圧倒的なパフォーマンスに胸が締め付けられ、息をするのも忘れるほど美しい世界が広がる。心を揺さぶる圧巻の表現力に、とても静かだが確かな熱量がそこには生まれていた。表情に出さずとも、だれもがあの瞬間の熱を噛み締めているようだった。照明が静かに灯りを落とすと、会場からは自然と割れんばかりの拍手が巻き起こった。

「暗黒に染まりなさい」

『Unknow zero distance』では暗闇から反転し、真っ赤な照明に照らされる。圧巻のベースソロを響かせる姿は繊細さと大胆を併せ持ち、KISAKIの持つ美しさが惜しみなく披露された。

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互いに呼応するように楽器をかき鳴らし、KISAKIと真緒の背中をぶつけ合う姿は、まさに魂の共鳴。それに応えるように眩い照明は二人を包み、神々しくその輪郭を浮かび上がらせる。

怒涛の勢いで『NEO ARK』が続く。一瞬の静寂の後、真緒が片手を上げると地響きのような重低音が鳴り響く。会場は異様な一体感に包まれ、イントロに合わせて拳を振り上げる。激しく、強く、大きな渦となった会場でメンバーは時に向かい合い、顔を見合わせて互いの熱を、魂の叫びを確かめ合う。会場は熱を帯び、閃光の中でメンバーはいっそう輝きを増してゆく。

「行けるかー!」

KISAKIもマイクを手に全力で煽る。この一瞬を共に過ごした同士たちは、まっすぐに手を伸ばす。KISAKI率いるTHE LOCUSに届くように。神々しい輝きに包まれながら、最後の曲、『Foolish』が始まる。

イントロと同時に巻き起こるヘドバン。ギラギラとした光を放ち、魂を揺さぶる咆哮、焼き付けるような鋭い視線、KISAKIの立ち姿は一層美しさを増す。更には幸樹も乱入し、今宵限りのメロディの衝突が始まった。膝から崩れ落ちるほど激しく、全身で音を刻む。

最高潮に持ち上がる中、KISAKIはベースを降ろし炭酸ガスを手に取り客席に向けて全力発射。真緒も巻き込まれて会場は白い煙に包まれる。煙の隙間からKISAKIの無邪気な笑顔が覗くのもつかの間、即座に二発目を発射して、I’LLも集中砲火を食らう羽目に。偉大なる先輩からの愛のあるイタズラにGAKUは自ら飛び込み、思わず拝みだす。巻き込まれた真緒も笑顔で逃げ出すなど会場は一気にお祭りムードへ。その裏では幸樹がKISAKIに変わってベースを奏でる。KISAKIは満足げに2本目のガスボンベも使い切ると、お立ち台から勢いよく飛び降り大きく吠える。そしてベースを受け取ると、真緒、幸樹のツインボーカルに合わせて再びベーシストKISKAIの顔を覗かせる。終いには膝から崩れ落ち、その身の全てをぶつけるようにして全身で音を刻む。

誰もが終わってほしくない、この時間の永遠を望むようなライブもいよいよ最後の時を迎える。全員が拳を掲げて、その存在を示す。

KISAKIは全力でぶつかりあった互いを褒め称えるように、幸樹と拳をぶつけ合う。メンバーはRyoを囲むようにして、最後の音を奏でると、会場からは熱い拍手が送られた。

KISAKI30周年を締め括る一夜限りの祭典はここに集まった全員を魅了し、いつかまたステージに戻ってくることを願いながら、大盛況のまま幕を下ろした。


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