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【本誌連動】PENICILLIN千聖 ソロプロジェクト Crack6 20周年記念スペシャルインタビュー

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音楽を通してストレスや悲しみから解き放してあげたい。

20周年を迎えたPENICILLIN千聖 ソロプロジェクト Crack6。2024年1月10日にはファンのリクエストにより選ばれたベストアルバム「EVER BLESSING」が発売。アルバムタイトルにもなった新曲「EVER BLESSING」に込めた思い、選びぬかれた楽曲と共に進み続けた20年を振り返る。
1月13日からは「2024 BEST ALBUM TOUR」も開催。これを読んで、ぜひ会場にも足を運んで頂きたい。


そう。自分の誕生日が10月4日なんで、その10月4日からみんなにベストで聴きたい曲を投票してもらった感じ。

それ、なかなか良いとこをついた質問(笑)。みんながベスト盤の音源として聴きたい曲はこれだけど、ライヴで聴きたい曲はこっちといった感じで、違う人もいるんだなということを今回の投票結果からは感じたかな。アッパーな曲と、聴かせるタイプの曲でどっちを選ぶか悩んだみたいな声もたくさんあったし。わりと歌モノが多い印象はありつつ、でも中にはライヴでけっこうやってるせいか「この曲、入るんだ」って驚いた曲も幾つかあったな。たとえば、セカンドアルバムの『FIGHT WITHOUT FRONTIERS』に入ってた「SET ME FREE」とかね。

ライヴでは盛り上がる曲だけど、歌詞がほとんど英語だしね。これは思ってた以上に上位に食い込んでたなぁ。あと、シングルにしか入ってなかった曲(カップリング)を今回のベストに入れて欲しいっていう声もかなり多かった。

単にベストに入れる曲を決めるための投票っていう以上に、今回のリクエスト募集はみんなへの市場調査っていう意味でもやってよかった(笑)。

曲順は1枚のアルバムとしての流れを考えて構成していったんで、クラブDJみたいな感覚で考えてった感じだね。俺はPENICILLINの方でもライヴのセットリストとか考えるのをよくやってるから、このベストを構成していくのも「手強くて」楽しかったよ(笑)。今回は3パターンとか4パターンの曲順を作って、そこから切磋琢磨して決めて…。やっぱり、難しいは難しかったな。要は、自分で決めた曲たちじゃなく、みんなからのリクエストがあった曲たちをまとめるっていうことは、アルバムとして構成する時にもみんなの気持ちというものを意識したし、そのうえで綺麗にまとめるといった使命みたいな感じがあったからね。

俺の独断と偏見で入れたい、っていうヤツですよね?いや、ベストのためのリクエストをとるって言った以上、そこは責任を持って全うしたかったんでね。新曲の「EVER BLESSING」以外は、全てリクエスト曲たちを入れてますよ。

やっぱり、その時々で音って違うからね。もちろん、その時はこれが良い音だと思って作ってるんだけど、後からそれぞれ比べてみると「こっちはこれよりも音がこもってるな」とか、音量的に「あっちは大きいけど、こっちはちょっと小さいな」とか、そういうのが出て来ちゃうよね。そういう意味でいくと、音量の調整とか音の雰囲気の部分の調整に関しては今回マスタリングの面でちょっと大変だったかな。

当初はスタッフから「マスタリングは簡単にやる感じでいいんじゃないか」っていう意見も出てたし、俺も「そうかもね」なんて思ってたんだけどね。でも、実際に曲を並べてみたら「いや、これはそんな簡単な話じゃないぞ。むしろ凄い大変かも?」となりまして(苦笑)。それで、今回は有名なマスタリング・スタジオさん(BIRDMAN MASTERING)にお願いして、優秀なエンジニアさん(MASAHIRO SHIMADA氏)にやってもらうことになったわけ。特に、1曲目の「EVER BLESSING」から「Change the World」にかけてクロスする部分なんかはめちゃくちゃ大事な部分で、メールとかだとニュアンスは伝わりにくいところだから、現場に立ちあってアナログ的にいろいろ話し合いながらやってもらったところの一つ。なんなら、前日にもスタジオまで行ってプレミーティングをしたし、ここまでマスタリングに時間をかけたのは実は初めてだったかもしれない。結果的に、この作品は綿密なマスタリングのおかげでよりクオリティの高いベスト盤になったと思う。

悩んだんだよねぇ…。ベストって過去の曲たちをまとめた集大成的なものだし、Crack6ってどんなアーティストなの?ってなった時、これを聴けば大体わかるよっていうものでもあるわけじゃない?そこに新曲を入れるとなったら、やっぱりアタマか最後のどっちかだろうし、最後も良いなとは思ったんだけどね。でも、自分としては「最新のCrack6の音をまずはみんなに聴いて欲しいな」っていう気持ちが強かったんで、このアルバムの幕開けには「EVER BLESSING」を入れることにしたんだよ。

まぁ、レコードの時代やカセットと違ってCDだと簡単に曲って飛ばせちゃうし、今の時代のサブスク文化に慣れてると、曲順とかも別に関係ないっていう人もいるんだろうけどね。ただMötley Crüeが先日、自伝映画『THE DIRT』でサントラを出した時、まさに1曲目が新曲の「The Dirt(Est. 1981) (feat. Machine Gun Kelly)」だったんだよね。で、あの時も思ったんだ。「あぁ、アーティストって基本はみんな新曲を聴いて欲しいものなんだな」って。もちろん映画のタイトルだし当たり前だとは思うけど、そういうところを含め、色々考えて「EVER BLESSING」を1曲目にしたっていうのもある。あとはこれは詞を読んでもおわかりの通り、ファンのみんなへの感謝の気持ちを込めた曲だから、その想いをまずは最初に届けたいっていう気持ちも強くあったよ。

今の決して素晴らしいとは思えない世界情勢とか、自分たちの置かれてる環境、または心境とかを、詞に入れてる。そのへんの感覚や表現方法は、Crack6のファーストアルバム『Trinity』を作った時とあまり変わってないんだよね。このベストにも入ってる『Trinity』に収録されてる「Shining Days」には〈全ての歌が いつかまた響きあうだろ〉という歌詞があるんだけど、「EVER BLESSING」で歌ってる〈キミの声 聞こえるよ、響き出せ明日の歌〉がそれとつながってて、歌を媒体としながらお互いのポジティヴな気持ちが20年の時を経て、共鳴しあってるんだよね。

20年経ってもあまり変わってないな、Crack6をやっていくうえでの心情の部分は。この20年の間には震災もあったし、コロナもあったりしたけど、今回のベストと新曲を作ってみて、何があっても変わらないものがあるんだなって再認識した。

シンプルさとゴージャスさの両立かな。Crack6をやる前にやってた千聖ソロでは「バンドでは出来ないことをやりたい」っていうコンセプトのもと、デジタル的な要素も取り入れながらビッグバンドっぽいことや、ロックだけじゃない色んなジャンルのゲストを迎えてやってたんだけど、Crack6はそれとはまた違う新たな、そしてもっとシンプルなバンドの編成も追求してきたんでね。ミニマムなスタイルでシンプルなことをやるのもCrack6は得意だし、逆に凝ったたくさんの音を千聖ソロのように自由に作ることもCrack6では出来るから、この「EVER BLESSING」は最初、歌とギターだけ。そしてベース、ドラムが次のセクションで入ってきて普通にバンド構成なるんだけど、サビからドーンとゴージャスなオーケストラやコーラスをふんだんに入れた編成の曲にしていったわけ。その対比が1曲に収まっているところが、実にCrack6らしいと思う。

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