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【本誌連動】PENICILLIN千聖 ソロプロジェクト Crack6 20周年記念スペシャルインタビュー

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さっきもいったようなギターとヴォーカルだけで曲が始まるところもそうだし、ギタリストとしてはストレートに何も飾らないガッツのあるサウンドというスタンスかな。俺が家でデモ作ってる時のままをスタジオで弾き直してるだけ(笑)。まぁだから、この曲ってギターソロ以外ふたつしかギター入ってないんですよ、そのままサビまで。とはいえ、これもさっきもいったようにサビからはゴージャスにパーンとしっかり拡げたかったから、フルでオーケストレーションを導入してる。あんま目立ってはないけどホーン系の音まで入ってますよ(笑)。

歌もサビ部分は自ハモだけじゃなくて、さらに高い音域を重ねたかったから、その部分はこの曲を筆頭にCrack6の作詞で協力してくれてる小松令奈さんにも歌ってもらってますしね。令奈さんはもともとヴォーカリストだし、今はボイトレの先生でもあるんで、コーラスでも活躍してくれたんですよ。

とにかく最初はギターと歌しかいないというドがつくシンプルな構成で、言葉や気持ちが非常に伝わりやすいから、そこらへんは意識した。聴いてる人にそばで話しかけてるような。テクニカルというより、良い方向に感情を込めて歌うという表現を大事にしたかな。その狙いどおり良いメロディ展開で持って行けたんでその点でもこの曲は満足値が高いかな。

いやいや、ヴォーカリストとして、とか語れるほどの人間ではないですよ、俺は (笑)。あくまで本業はギタリスト。ヴォーカルは“やらせていただきます”っていう感覚がいまだに強いんだよね。でも、歌のスタイル自体は時とともにだんだんと変わってきたところはあるかな。20年前だったらパワーでひたすら押し切ったところを、今はもうちょっと押し引きを駆使しながら勝負するようにしたりとか。その押し引きの加減は、Crack6を続けてきたことでだいぶ身に付いたかもしれない。

あれは本来、千聖ソロの曲なんで今回のベストに入れるかは迷ったんですよ。でも、一応2005年に出した『千聖 DEBUT 10th Aniversary Album“DECADE”』は千聖ソロ10周年をCrack6が祝う、っていうコンセプトのアルバムだったんでね。このヴァージョンはCrack6としてのセルフカバー曲であると定義して、入れることにしました。この曲がランクインしたのも、けっこうびっくりしましたねぇ。それも上位だったんです。

カッコ良いよね(笑)。イメージ的には、ちょっとカッコ良く言うとExtremeの「More Than Words」みたいな感じかな。実は、この曲でコーラスをやってくれたmiya38ちゃんはその後亡くなってしまったから。この曲ではさ、miya38ちゃんと俺のふたりで歌ってる生声が聴けるから、この曲をベスト盤に入れられたことは、俺も単純に嬉しい。

ブックレットを細かく見ないとわかりにくい点としては、「Carry on」って曲はO-JIROがドラムだけじゃなくてベースもプレイしてる、っていうのは注目すべき点かもね。それから、これまでのアルバムには未収録だった曲っていう意味では、『シグナリズム』(11thシングル)のType-Bに入ってた「マリーゴールド」もピックアップしたい。これもライヴでやると盛り上がる曲なんで、あらためてベストアルバムの中の1曲としてみんな聴きたかったんだろうなっていう気持ちがリクエストの状況からよく伝わってきたよね。あと、最近はライヴであんまりやってないんですけど「狂瀾」っていう曲もみんな凄い聴きたかったんだな、っていうことを強く感じたなぁ。

今回ヴァージョンを変えたのは、これを作ったあと「もっとこうした方が良かったな」っていうのがずっとあったんだよね。この曲って、自分の中でターニングポイントの狼煙があがった曲だったから、今思うとかなり勢いで作っちゃったなってね。

前の事務所から離れて自分たちでやるようになったのが『Butterfly Effect』からで、その先行シングルが「狂瀾」だったのね。「狂瀾」や「シンセカイ」作って、ここから次はアルバムを作るぞ!ってなったタイミングであの震災が起きた。そうやって思い返すと、ほんとこの20年っていろんなことがあったんだなぁって思う。節電しなきゃいけないから、スタジオやライブもやっちゃダメみたいなこともあったような。

そうそう。スタジオ作業も原発事故の影響もあったりで全部止めざる得なくて。世の中が不安定だったから俺とSHIGEROCKSとJIRO6の3人で「誰かに何かがあっても大丈夫なように」って、同じデータをCD-Rに全部焼いてから「また会う日まで」って一旦それぞれに別れたりしたな。なんか、セリフがちょっとSF映画とかパニック映画みたいだけど(笑)

ほんと、あの前後に作ってた曲にはまた特別な思い入れがあるんでね。ベスト盤に収録されてる曲順通りだと、8曲目の「CRY FOR TRUTH」から9曲目の「Butterfly Effect」にかけての流れとかも、Crack6の雰囲気が変わっていくターニングポイントになった頃のことが音に反映されてるんじゃないかな。

「COOL MOON -20th Anniversary acoustic ver.-」はね、今回全て録り直してるんだ。この曲は元々4thマキシシングル『BANG!』のカップリングだったんだけど、今ライヴでやってるヴァージョンとこの音源は全く違うといっていい曲でね。で、ライヴでやってるやつが評判良くて、今回のリクエストでも人気があって上位だった。だから、今回はあらためてライヴでのスタイルに近い形で音源化したんだ。これはアコースティックっぽい感じになって本当いい感じ。

大げさな話になっちゃうけど、Crack6は音楽を通してみんなの抱えてるストレスとか悲しみとか、そういうネガティブなものから解き放してあげたいっていう気持ちが根底にあるんでね。だだ曲のタイトルとしてだけじゃなく、アルバムのタイトルとしても『EVER BLESSING』ってここにつけたのはそういうことだし、これは20年続けてきたCrack6に対しての祝福というよりは、ファンの人たちに対して永遠の祝福あれ!という意味なんだ。これは別にキリスト教どうこうっていうことでもなくて、ここにはシンプルにみんなにとってこのベスト盤が祝福となっていってくれたら良いな、っていう気持ちを込めてあるんだよね。

ツアー前にやる12月23日の[冬会2023]の方は、ベスト盤に入らなかったランキング外の良い曲もいっぱいあるんで、それも含めていろいろやっていきたいと思ってる。で、年明けの1月から始まる[EVER BLESSING TOUR]の方は、ベストの曲をガッツリやりつつ、ライヴで盛り上がる曲がこれまた他にもたくさんあるんで、とにかく盛りだくさんでいこうと思ってるよ。この間Xには、ツアーは「盆暮れ正月が同時にやって来るようなライヴ」っていう書き方をしたんだけど、[冬会2023]が忘年会だとしたら、ツアーの方は大新年会っていう感じかな(笑)


Interviewer:杉江 由紀 Potographer:宮脇 進

【RELEASE SCHEDULE】
2024年1月10日(水) 発売決定!
Crack6 20th Anniversary Best Album
-EVER BLESSING-
全16曲入り
豪華ブックレット(24ページ)付き
SRPM-2008 / 3,900円(税抜価格3,545円)

【LIVE SCHEDULE】
「2024 BEST ALBUM TOUR」
1月13日(土) 埼玉 西川口Hearts
1月14日(日) 千葉 柏Thumb Up
1月20日(土) 愛知 名古屋ell.SIZE
1月21日(日) 大阪 OSAKA RUIDO
1月27日(土) 東京 新宿ReNY
オールスタンディング 8,500円(税込/D別)
開場17:00 開演17:30

【INFORMATION】
サイレンエンタープライズ / 03-3447-8822

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