2024.04.05
【本誌巻頭特集】PENICILLINスペシャルインタビュー
ちゃんとロックバンドとして前にまた進んでる。
活動32周年を迎え、今も止まることなく走り続けるPENICILLIN。
開催直前となった関東サーキット2024 「激撮Ⅲ」へ向けた特別インタビュー。
PENICILLINとして、そして1人のアーティストで在り続けるその思いを語っていただいた。
──3月下旬からは[PENICILLIN 関東サーキット2024 激撮Ⅲ]が始まることになっておりますが、先だってはバンドの生誕32周年を祝う2デイズライヴ[HAPPY BIRTHDAY & VALENTiNES DAY LIVE SPECIAL 2024]も新宿ReNYにて開催されました。そもそも、PENICILLINはライヴ活動そのものをずっとコンスタントに続けて来ていることになりますが、あの32周年記念公演のセットリストを構成していくうえでPENICILLIN側がテーマとされていたことは何だったのでしょうか。
千聖:32周年ってことで、去年の[30th anniversary TOUR「30 -thirty- Universe」]とか、渋公での[30th anniversary tour real final]の時とか、去年後半の[WINTER TOUR「永遠と花束を」]でもやってなくて、あんまり普段やらない曲たちを多少意識していろいろ選んだところはあったね。まぁ、周年なんでわりとアットランダムな感じではあったと思う。
──時代を超えた名曲たちが一同に会するような、豪華な印象のセトリでしたよね。HAKUEIさんはあの2デイズに関して、どのような手応えを感じられたのでしょうか。
HAKUEI:凄い手応えありました。言ってみれば、このあいだの周年ライヴは去年30周年を終えたあとの通常な状態での32周年だったし、よく大きな節目を迎えたあとって盛り上がった反動なのか動きが落ち着きがちになるとか、谷間みたいなものが生まれがちっていう話を他では聞いたことがあるんですよ。でも、別にそうならないようにって何か特別なことをしたわけではないんですけど、ちゃんとロックバンドとして前にまた進んでる感をあの2日間では出せた気がします。ファンのみなさんからも強いエネルギーを感じられましたし、お互いに”通じ合ってるな”みたいなキャッチボールをしっかり出来ました。
──PENICILLINとファンの絆を、あらためて確認できる場だったのかもしれませんね。
O-JIRO:みんなからの大きな声がよく聴こえたのも良かったです。去年あたりから規制も緩和されてきて、ちょっとずつライヴの空気感っていうものが変わってきてることをみんなも感じてると思うんですけど、ああやってみんなと自由にライヴを楽しめるのって嬉しいな!という気持ちを感じながら、とても良い雰囲気の2日間を過ごせたと思います。
千聖:バンドの結成記念日に地に足の着いたライヴをやれた、っていうのは大きいかもしれない。ライヴの後にもらった手紙とかでは「聴きたかった曲をやってくれてありがとう」みたいな意見もけっこうあったし、いつもとはちょっと変化をつけたセットリストをPENICILLINらしくやる、っていうことが出来て良かったなぁと。
──一方で今度の[PENICILLIN 関東サーキット2024 激撮Ⅲ]については、いかなるヴィジョンをもって臨まれることになるのでしょうか。
千聖:関東サーキットに関しては、順序的に言うと「新譜を出したい」という話が先に出て、そういうことなら「サーキットをしようか」となった流れだね。しかも、その新曲っていうのがライヴを主眼にしたタイプの曲なんで、今回はサーキット自体も企画性の強い内容になっていく可能性が高いんですよ。特に、最終日の新宿BLAZEに関してはライヴなんだけどMVのシューティングもその場で同時にやろうと思ってる。
──なるほど。それで[PENICILLIN 関東サーキット2024 激撮Ⅲ]なのですね!
千聖:そうそう。それに、新宿BLAZEって今年の夏に終わってしまうらしいから、今度の4月6日がPENICILLINとしては最後の新宿BLAZE公演になってしまうんでね。せっかくだし、そこも含めて映像に残せればいいなと。
O-JIRO:サーキットのタイトルが[激撮Ⅲ]なのは、つまり”そういうこと”なんです。
──今回で3回目ということですが、もともとPENICILLINが[激撮]シリーズを始めることになった切っ掛けはどのようなものだったのでしょう
O-JIRO:「四次元ダイバー」っていうシングルを出した時に、MVをライヴで撮ったのが最初でした。まぁ、ライヴ風にセットを組んでエキストラとしてお客さんを入れてっていう撮り方も出来ることは出来るんですけど、お客さんたちの様子も含めて本当のライヴでしか撮れない映像っていうのも絶対あるので、それをぜひMVにしたいっていうことでやろうとなったんですよ。あれが何時のことでしたっけ?
HAKUEI:2003年くらいだったと思う。渋谷AXでやったんですよ。
O-JIRO:そのあと、2回目の[激撮]はシングル曲じゃなくて『Supernova』っていうアルバムの中に入ってる曲のMVを撮りたいっていうことになり、あの時は「earth born」と「RED MOON」を撮りました。
千聖:あの時はCDの特典としてDVDとCD EXTRAをつけたんだよね。
──では、今回の[激撮Ⅲ]は実に16年ぶりなのですね。
HAKUEI:当時参加してくれた人はみんな知ってると思いますけど、この[激撮]に関しては会場に来てくれるファンの皆さんにもあらかじめ「みなさんも出演者ですよ」と伝えているので、今回もぜひファンの方々にはそういう気持ちで臨んで欲しいんですよね。激しく撮影する、っていうことから[激撮]っていうタイトルをつけてますし。
──ちなみに、今回[激撮Ⅲ]の場で撮影する楽曲はもう既に完成しているのですか?
HAKUEI:まだメンバーの頭の中にあるだけですね。
O-JIRO:この取材の時点だとこの世には実在してません。0キロバイト状態(笑)
──ただ、先ほど千聖さんからは「新曲っていうのがライヴを主眼にしたタイプの曲なんで」との発言がありましたので、方向性はかなり定まっていることになりそうですよね。
HAKUEI:とんでもなくカッコいい曲になることだけは確かですよ。ビックリするくらい、ライヴで聴いた時には震える曲になるでしょうね(笑)
千聖:ライヴっぽいカラーの強い曲にしたい、みたいな言い方をしちゃうと雑に聞こえちゃうかもしれないけどね。でも、とにかく[激撮]したい曲だからライヴ映えする曲になるのは間違いないんじゃないかな。
O-JIRO:MVにした時にカット割りが速くなってもいいような曲調だったり、テンポだったり、っていうアッパーなタイプの曲を作ろうかなとは個人的に思ってます。
──ということは、O-JIROさんの場合だと曲作りの段階から「自分はこんなフォームで叩くことになるのだろうな」と思い描かれるようなこともあったりして??
O-JIRO:その時々でも違うんですよ。今回みたいにテンションの高い曲にしたいっていう時は、自宅で作ってる時も自然とテンションが上がってしまうんですよね。だから、机とかパソコンに向かって冷静に作るとかじゃなくて、ギターをかき鳴らしながら作るみたいな方法になることが多いです。
千聖:作曲の手法という点で言うと、前の「永遠と花束を」の時はHAKUEIが持ってきた原曲を俺とJIROさんでじっくり煮込んだんで、ああいう作り方もなかなか面白かったんだよね。もちろん、デモを土台にしてバッと勢いでやっていくのもハマればカッコいいし、それぞれの作ってくる原曲がどういう性質のものなのかによって臨機応変にやっていくことになると思いますよ。その時々でどう転んでもいいというか、どうなるかわかんないっていうところも楽しみだったりするかも。