──今回選曲された中で、思い入れがある曲や思い出に残っていることなどあったりしますか?
景:それぞれの曲に思い出はいっぱいありますけど、どれか選ぶなら、やっぱり「迷彩」ですかね。Sadieに入って初めてPVを撮った曲でもありますし。当時加入して初めて音合わせした曲も「迷彩」だったので。
剣:どれかを選ぶっていうのは難しいですね。全曲、曲によってレコーディングが違ったりとかしますし、当時のそういった状況が思い浮かんできますね。あえて選ぶとしたら、個人的には「陽炎」ですかね。
美月:それぞれの曲であるんですけど、「under the chaos」ですね。ちょうどヴィジュアル系界隈でヘビーサウンドみたいなものが流行り出していたんですけど、この曲を作っている時はここまでメタル要素を取り入れた楽曲はあまりなかったと思っていて、「うちらが先駆者になろうぜ」ってみんなで言いながら作ってましたね。結構ガツっとシフトしたSadieの曲の中でもターニングポイントやったなって思います。その当時の時代もあったと思いますが、この曲の後、メタルっぽいヴィジュアル系が多く出てきたように感じたので、僕の中では先駆者になれたのかなって。
亜季:ピックアップするってなると難しいけれど、「妄想被虐性癖」かな。なんかライブで…なんて言うんですか。ファンの方がファンの方の上をコロコロ転がってくるやつ。正式名称がわからないんですけど。それを当時やってたんですよ。「なんか、すげぇな」って。令和の今、できないでしょ。
多分、この12曲でリハーサルスタジオが2か所、もしくは3か所、レコーディングスタジオは4か所、5か所ぐらい。当時やっぱり変化しつつ録ってきた作品で、なんか「ここで録ったな」とか「このリハスタで創ったな」とか、もう背景の方を思い出すから。
真緒:そうですね、僕も「迷彩」ですかね。この5人で初めてスタジオに入った時のこともやっぱり思い出しますし、ライブでも基本的に欠かさずやってきた楽曲でもあるので、言葉にせずとも、みんなの心の中に残っている楽曲なんじゃないかなと思いますね。この「迷彩」という曲を時が経って聴いた時に、何をもって簡単というかは難しいですが、その時は簡単なことしかできなかったのかもしれないんですけど、曲としてまとまっていると思うし、構築上のアレンジやSadieっていうものの礎となった楽曲なんだなっていうのを今回あらためて思いましたね。歌詞にしろ、楽器隊のアプローチもすごく僕たちらしさっていうのを表現して創ったんだろうなっていうのをあらためて認識できたというか。
──3月17日に豊洲PIT(東京)、4月7日はなんば Hatch(大阪)と今回のアルバムを引っ提げてのライブがありますが、再びファンの皆さんの前に立てることに対して意気込みや今感じていることはどんなことでしょうか?
真緒:単純に、本当に楽しみなんですよね。読者の皆さんがMAKEを読まれる時はもう始まってはいるんですが、取材を受けている今(2月25日)、この時でももう1か月切っている状態で。
どんどん自分の中でのモチベーションが上がっていく毎日を過ごしているんですが、やっぱり長いこと時間を空けてしまったことに対して、「ごめんね」っていう気持ちもありますし、この何年という間でいろいろな人生観、ファンの方々の生き方も変わっていたりとかするでしょうし。本当だったら、続けていればライブに来られたのにって思う人もいると思うし、これだけ期間が空いたから、もう環境的にいけなくなってしまった人もいると思います。いろいろな境遇があると思うんですけど、そういう部分での「長いこと待たせてごめんね」っていう気持ちもありつつ、今回の再始動にあたって、逆に今だったら来れるようになったっていう人もいるかもしれないし。
今回のライブを通じて、ファンの方々も自分自身の青春時代を取り戻すではないですけど、何かワクワクする気持ちとかが生まれてくれたら嬉しいですね。
僕達メンバー5人が揃って久しぶりに再会した時っていうのが、時が経っても本当に何も変わんなかったんですよね。メンバー5人ともの会話であったり、空気感とか温度感とか。気まずい感じでもなく、「おー、久しぶりやな」みたいな。何か10代、20代の頃の少年の心のまま再開を果たした感じがしたんですよ。こうやって大人にはなりましたが、みんなが当時の気持ちを持ちつつ、今のSadieの再開プロジェクトに取り組んでいるので、ファンの方々も同じような気持ちで臨んでもらえたら、年を重ねたとしても新鮮な気持ちで楽しんでもらえるんじゃないかと思います。
亜季:本来、僕は1本1本のライブ、どのライブにもフラットでいたい。「ツアーファイナルだから頑張ります」って、じゃあ「ツアー初日は?」ってタイプなんですよ。
全部全力であるべきだと思っていて。それは変わらないんだけど、やっぱり時間が空いた分、準備をする時間もたくさんあるというか、昨日もライブで、今日も…とかのツアーももちろんあって。そういう意識でずっと続けてきたかって言われると、そこまではちょっと大袈裟だけど、8年間準備する時間があったライブなので、ちゃんと準備して豊洲PITに立ちたいなって。
待たせてしまったファンの方には申し訳ない気持ちはあるし、そういうことを発信してきたけれど、「ごめんなさい」から始まるライブは違うなと思ってて。そこは本当に申し訳なく思っているけれど、ライブはライブで一緒に楽しめたらいいなとは思う。最近僕のことを知って、「初めてSadieのライブに行きます」って言ってくれる方もいるので。そういう人たちにもかっこいい姿を見せることができたらなって思ってる。
剣:全力で楽しみたいっていうのが、変わらずありますね。この日だからこそっていうのではなく、ライブというものがある以上は僕個人としては、毎回そう思ってやっているので。ファンの方にはそれぞれの楽しみ方があると思うので、みんなそれぞれ楽しんでほしいなとは思いますが、ステージに立つ僕としては、攻めのライブができたらいいなと。
もちろん、MCとかで久々の光景を見て、感動したり何か感じるものがあったりすると思いますが、なるべく「久しぶり」というよりも、「やるぞ!」っていうような、そんな感覚でやれたらいいなと思いますね。あとは、真緒くんであったり、亜季くんも言っていましたけど、久しぶりに来るファンももちろんそうでしょうし、新しくついてきてくれるファンの方もたくさんいるので、新しいSadieを見せたいなと。当時をあまり知らなかった人たちにも「Sadieってこんなにかっこいいバンドなんだ!」ってライブを通して、思ってもらいたいですね。
景:みんなと同じようなことになっちゃいますけど、本当にファンの皆さんには「待たせてごめん」という気持ちと、「今まで待っていてくれてありがとう」という感謝の気持ちでいっぱいです。みんな初期の頃の気持ちに近いものがあるので、すごいワクワクしていますし、Sadieっていうものを見せつけたいなって。いいライブになる、僕はもうワクワクしかないですね。
美月:本当に、めちゃくちゃ楽しみっていうのはありますね。1番楽しんでやろうっていう気持ちが大きくて。あとはバンドの中での自分の立ち位置を8年ぶりに全うできたらなと思います。
久々にツインギターなのですごい楽しみですし、今は上手の方ですが、Sadieでは下手ギターなので、そういうのも含め、いろいろ楽しめたらなと思ってます。
──今回の2DAYSライブは今後のSadieにとってどのような意味を持つライブになると思いますか?
真緒:再開の狼煙になると思います。僕たちは大阪で育ったバンドでもあるのでどうしても大阪と東京、両方でこの再スタートを掲げたいというのがありました。
生まれ育った大阪に対してもそうですし、活動の拠点を東京に移してライブしてきたので、まずはこの2つのライブを狼煙に、Sadieの活動の宣戦布告と言いましょうか、そんな形になればと思っています。
──この先、活動休止前と後ではヴィジュアル系シーンも変わっていると思いますが、Sadieとして果たしたい役割や、やっていきたいことなどはありますか?
真緒:ヴィジュアル系シーンの中で活動休止を含めて17年やってきて、多様的なアーティストが増えてきているんですが、僕たちは分かりやすくヴィジュアル系ど真ん中のかっこいいロックバンド【Sadie】であり続けたいと思います。
剣:「シーンを変えてやるぞ」とか、そういうのはないですけど、Sadieが今のシーンの中にでてきてどうなるのか自分自身では楽しみですね。
──みなさんにとって【Sadie】とはどんなバンドですか?
真緒:5人、5色の1つの塊ですかね。
僕らそれぞれのポジショニングがあって、自分の役割を遂行してはいるんですが、音源というフィルターを通した時は1つの塊として映ると思いますので。
亜季:当たり前にあっちゃいけないんだけど、バンドだから。でも当たり前にあって欲しいと思うし、それくらいやっぱり大きな存在だなっていうのを、昨年発表してから特に感じる日々です。
景:こうして、またみんなと会ってみんなと話して…、やっぱり自分の人生の中の大切な宝物という感じですね。
以前も宝物だと思っていましたが、1度離れて、再会して、より深くそれを感じました。
剣:休止中も自分の音楽人としての歩みを止めなかったのは、元々Sadieを頑張ってやってきたという土台があってこそだと思うので、自分の人生の中ではやっぱり1番大きなものですよね。
Sadieがあったからこそ、自分の身の回りの事象が成り立っていますし。
「Sadie無くして、自分は語れないな」って思います。Sadie再始動が、今後の人生の中の大きな糧になるような、そんな活動ができたらと思っています。
美月:自分の中では本当に「核」となるものだなと思いますね。Sadieがあって、いろいろなものに枝分かれして繋がっていったので。
Sadie無くしては僕の人生は語れないですし、僕の人間関係も全てそこからの繋がりなので。
Writer:廣瀬 大輔 / Photographer:小松 陽祐
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