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【本誌連動】UNiTEスペシャルインタビュー 完全版

椎名未緒(Gt.)
椎名未緒(Gt.)

椎名未緒:歌がいいですよね。録り直さなきゃいけない状況だったっていうのが、結果的によかったのかなって。そもそもドラムが莎奈じゃない時期の曲もありましたし。全曲ではないですが、ベストだったら録り直さなきゃねっていうのもあり、アレンジを変えたりもしましたね。

LiN:キーが変わった曲もあったんですが、改めて音源聴くと、その当時自分が何を弾いているのか忘れてるんですよね。昔の音源聴くと、「なんかギターの音してないな」とかあって、「どういう気持ちで俺、その時ギター弾いていたの?」みたいな、昔の自分と対話みたいなことができて嬉しかったですね(笑)。
あと大人になると、自分の成長を感じることってそんなにないじゃないですか。でも昔の音源を聴いた後に録り直したものを聴いてみて、ギターサウンドが良くなっているし、スキルも上がっているのを実感できて、ちょっと嬉しかったです。

椎名未緒:過去の作品の中には心残りみたいなものがある作品もあって、いつかは録り直したいなって思っていたんです。でもなかなか出すタイミングがなくて、うやむやになっていたんですけど、希くんが入って、出すことに必然性が生まれて…、重い腰が上がったって言うか…。今だろうっていうのを感じたんです。
ここまでベストアルバムを出してこなくてよかったなっていうのは結構思っていて、この際だし後悔なく作り込もうっていう思いを持って作りました。例えば1曲目の「Eniver」では、ドラムと歌だけ録り直して、ミックスする予定だったんですけど、聴いてみたら「これちょっとヤバいな」ってなって。「俺だけでも弾き直します」ってLiNさんに言ったら、LiNさんも…ってなりましたね(笑)。

:無事終わってよかった。

:僕がどうっていうよりは、聴く人がいいなって思ってくれたらいいです。昔は昔として、今の僕たちを楽しんでもらえたらいいなと。

:「ice」ですかね。1回録り終わった後にLiNさんから「もう1回録ろうぜ」って言われて、超変わりましたね。

LiN:狂気が足らなかったんです。ライブだと結構狂気があるんですけど、録った時は足らなくて。優等生目に「ice」を歌ってくれたんだけど、ちょっと違うなっと。未緒さんがレコーディングしてくれて、「本当に2人には申し訳ないんだが、もう1回録っていいですか?」って。3テイクぐらい録りました。

:ほんとに?結構録りましたよ(笑)。

LiN:さながらライブっていう感じで。

莎奈:13曲…、でも実質「ice」は2回録ってるから14曲。1日1曲でも2週間…。

一同:頑張ったな(笑)。

:でも苦じゃなかったですよ、大変でしたけど。本当に楽しかったです。

莎奈:僕が加入したのは2014年なんですけど、僕が加入する前の曲はライブではやっていましたが、再録の機会もなかったので、今回はいい機会になりました。音源として残っているのは自分のドラムじゃない曲なので、レコーディングするにあたってもう1回聴き直して、大切にする部分は残して、自分がこの約10年、ライブを通じてファンの方と一緒に得たものは追加して、再構築しました。ユナイトに加入する前は普通にリスナーとして、ユナイトの曲を聴いていたので、馴染みがある曲ばかりだったんですよ。今回はベストなので、ユナイトにとってすごい大切な曲が入っているんですけど、かつての自分が聴いていた曲を自分が叩いて、今度は自分のものとしてリリースされるので、不思議な気持ちにはなりますね。
そして非常にありがたいことに「マーブル」という私の作った曲も1曲入っていて、これは加入した時に作った曲なんですよね。それこそ10年近く前の曲で、今聴くと当たり前なんですけど、未熟なところが耳につくんですよね。その大半が歌詞のはめ方で、それがずっと気になっていたので、今回歌い直してもらう時にメロディに歌詞をどうはめるかっていうのを結構変えました。今の自分としてはこちらのほうが自然ですね。

ハク(Ba.)
ハク(Ba.)

ハク:今回ドラムとシーケンスだけとか、ドラムとクリックのみの状態で録っていたんです。なので、完成したものを聴き直してシンプルにかっこいいなって思いましたね。あとは自分のことじゃないんですけど、過去の曲とかも改めて聴き直して、のん(希)の声が、自分の中のユナイトのボーカルのデフォルトになりましたね。以前の音源はそれはそれですごくいいと思うんですけど、ちょっと違和感があるというか、改めてユナイトのボーカルはのんなんだって感じました。
演奏面では、ライブならではのアレンジで弾いていた曲もあったので、それも今回の音源に反映したりしましたね。

莎奈:うん、「ice」とかの終わり方変わってますね。音源ができると当然ライブするじゃないですか。そのライブの中でまたどんどん変えていくんですよ。それこそ13年前の曲とか。みんなが気づかないぐらい緩やかに変わっていて、だからこそ音源を改めて聴くと、「こんなアレンジだったっけ?」っていうふうに思うこともあるんですよね。

ハク:音源を聴くとなんか、めちゃくちゃゆっくりに聞こえるんですよ。悪い意味じゃなくて、余裕があるというか。僕ら、余裕のある大人たちになれたのかなっていう印象も受けましたね。

椎名未緒:僕たちの中の定番、ベストと思える作品を選びました。その中でも「Rely.」は会場限定でしたし、現物(CD)を持っている人はほぼいないレアな選曲になっています。

LiN:思い入れで言うと、「イオ」っていう曲があるんですけど、それ私が作ってて。最初の頃は未緒さんの歌詞チェックがあって、それに結構怯えて生きてたんです。

莎奈:怖い人みたいになってる(笑)。

一同:(笑)。

LiN:「イオ」の歌詞チェックがちょっと緩くなってたんですよ。

椎名未緒:俺、NO出したことありましたっけ?

LiN:いや、ないんですけど。未緒さんの審査に受からないと出せないって思っていて。選曲会で表題になった時に「もしかしたら出せないかもな」って思いながら歌詞を作って出したんですけど、その日は審査が甘かったんです。

莎奈:いや、違いますよ。確か間に合わなかったんじゃ…。もう出さないと無理ぐらいになって。

LiN:スルーしたのかもな。審査を入れずにボーカル録りに入れたんだ。そうそう!これ結構思い出なんですよ。

莎奈:表題なんで、「さすがに1回見せてもらってもいいですか」っていうので、「わかりました」ってなったもののどんどんレコーディング日が近づいてきて無理だったみたいな…そういう話だったかと。

LiN:君、詳しいね(笑)。

莎奈:その場にいたから。

LiN:居たみたいに言うじゃん(笑)。すごくない?怖いんだけど(笑)。
でもライブでもすごく盛り上がって、なんか割とライトな人たちも何故かちょっと知っているみたいな曲に成長したので、思い入れがありますね。

:ユナイト加入が決まった時にめちゃくちゃ聴いたんですよ。曲数半端なくあるので、どれがどの曲かもわからなかったんですけど、最初に記憶に残ったのが「-ハロミュジック-」だったんですよ。なんか抜けてて。
僕のファーストインプレッションが「-ハロミュジック-」だったってなんか微妙な感じです(笑)。

椎名未緒:別に微妙じゃないよ(笑)

LiN:まぁ、作った人が賛否ありますから(笑)。

:でも、今回の「-ハロミュジック-」はキーも上がって、コーラスワークみたいなものも僕の好き勝手やらせてもらったので、今回のベストアルバムの中だと、なんか一番僕っぽいボーカルなのかなって思いますね。ミックスの立ち合いの時も結構色々言わせてもらったので、そういう意味では思い出がありますね。

莎奈:僕は、データが来た時一通り聴いて1番感動したのが「アイ -hope-」ですね。いい意味で、なんか違う曲みたいになっていて。シンプルにメンバーすごいなって思いました。キーが上がってるっていうのもあって、各楽器のアレンジも全然違いましたし。

LiN:ギターソロ、ハモってましたね! 私最近知ったの。

莎奈:最近!?(笑)。

一同:(笑)。

LiN:私、よく未緒さんの勝手にハモるから、お返し来たぞと思って(笑)。ふるさとギターの返礼品いただいて(笑)、ちょっと感動しちゃった。

一同:(笑)

莎奈:「アイ -hope-」はみんなアレンジ違ってて面白かったですね。最後のサビの畳み掛けとかベースがすごいフレージングしてて、めちゃくちゃ感動したんですけど、それをハクさんに言ったら「俺、全然覚えてなくて、どうしようって思ってるんだよね」って(笑)。

一同:(爆笑)。

莎奈(Dr.)
莎奈(Dr.)

莎奈:いやいや、まじかよって思いましたね(笑)。でもそのぐらい印象に残るフレーズが各パートにあって、歌ももちろんすごくて。
この曲がまさにそうなんですけど、ライブやってる中で結構勝手にフレーズを変えたりするんですけど、メンバーみんな勝手についてきてくれるみたいな。やりすぎてあんまり原曲の形がどうだったかは覚えていなかったので、レコーディング時に原曲を聴いて「ここ、こんなんだっけ」みたいなのが1番あった曲なんですよね。
ライブの大事な場面でやってきた曲なので、思い出みたいなものを入れたくて、ライブで得たアレンジを沢山取り入れて、すごいバージョン2になったなって感動しました。

ハク:ドラムとクリックだけで「starting over」を録り直したんですけど、改めて完成したものを聴いて、さっき莎奈さんも言ってたんですけど、ライブをするごとにどんどん形が変わっていって、今だとバージョン幾つなんだろうっていうぐらいなんです。1年目の大事な時期にリリースして、大事な場面で演奏する大切にしてきた曲が、ちゃんと今のユナイトの良さがギュッと詰まった形でベストアルバムに収めることができて嬉しかったですね。ちゃんと進化したというか、今のユナイトでやる「starting over」、めちゃくちゃかっこいいなって思います。

椎名未緒:アルバム全体を通して、印象的なのは「starting over」だったんですが、個人的にずっと気になっていたのが「アイ -hope-」っていう曲で、ユナイトが結構苦しいタイミングで制作したアルバムの中の表題曲で、妥協しないといけないセクションがかなりあったんです。「もっとこうしたかった」っていうイメージ像が当時からあったんですが、その時はできなくて…。10年ぐらいモヤモヤしていた曲だったので、今回ベストアルバムを制作することで、作り込む必然性が生まれたので、今だったらちゃんとできるぞ、みたいな。ギターの音も自分の中でイメージはあったけれど、当時は知識とかその技量がなくてできなかったというようなこともありました。そういうのも含めて当時聞かせたかった音が10年ぐらい経ってやっと完成したっていうのはとても嬉しいですね。

莎奈:なんか、みんなうまくなったなって。演奏もそうですし、曲作りとかも進化してるなってかなり思いました。

LiN:シンプルに、ユナイトのLiNでよかったなって感謝してます。感謝するシーンがすごく多くて、僕はユナイトというバンドに生かされているんだなって思うんです。そんな僕らのバンドの周りにさらに人が集まってくれて…すごいなって思ってます。

:僕は加入して1年になるんですが、ユナイトの13年という歴史にすごい助けられているところがあって、みんなの経験があってこそ、今、僕がライブできているなって思うし、困った時にすぐ聞けるメンバーがいるっていうのはすごくありがたいし、曲を通して13年という歴史が僕の中にも生きているなっていう実感はありますね。
僕は1年目ですけど、みんな先輩ぶらず、仲間と思ってくれているのも伝わってきますし、本当にありがたいです。これからもよろしくですって感じですね。

ハク:メンバーチェンジがあったりとか、いろいろなことがある中で、やっぱり周りに恵まれたなって、自分は生かされているんだなって思うことが多々ありましたね。その分、自分もこれから返せていけたらいいなって思いますね。

椎名未緒:ユナイトって存在は元々何もないところから始まっていて、「僕らがユナイトですよ」って世の中に発信するまでは、誰も知らなくて。僕らがユナイトとして活動し始めた瞬間から好きっていう人が世の中に現れたり、増えたりしているってことが不思議なことで。それが13年続いて、いまだについてきてくれる人もいたりとか。ファンって1つの大きな存在と思いがちだけど、それって集合体じゃないですか。その中に一人ひとりがいて。例えば500人っていうと学校1つ分だったりするわけで。そういう人たちの人生に干渉している以上、簡単に投げ出しちゃいけないものなんだろうなって思いますし、皆さんの期待にちゃんと応えられるバンドの状態で”終わらない”を続けたいって思っています。終わっていないだけで、実質終わってるみたいな活動をしたいわけではないので、「これからもユナイトについていくと楽しいことが起こるな」「いい音楽が聴けるな」みたいにちゃんとしたことが提供できるバンドとして、14年目を頑張っていきたいと考えてます。
今回のベストアルバムは「#1」なんですけど、「#5」まではもうジャケットも作りました。

一同:(笑)。

椎名未緒:1年に1枚出すとしても5年はそうですね、期待できる。
これからも僕たちに期待をしてもらいたいですね。

LiN:私自身は、あえてライブの構想を知らないようにしているんだけど、だからこそ楽しみで、来てくれるみんなと同じ気持ちで臨めたらと思ってます。

:ユナイトでの1年間の集大成みたいな日だと思うので、いい日にしたいですね。なので、みんなでいい日にしましょう!

莎奈:最近、自分のことを企画成立屋だと思ってるんですけど、周年が円滑に進むように裏回しできるようにしたいなって思ってます(笑)。なので、自分が100点とか120点のパフォーマンスが出せるように頑張るというよりは、みんなが100点、120点出せるように支えられたらと考えています。

ハク:大切な日ではあるんですけれど、気負わず、とにかく楽しい日にしたいなっていうのと、去年の周年ライブではのんは8曲ぐらい歌っていて、今年はフルサイズで初めての周年ライブになるので、それが楽しみですかね。皆さんと楽しい1日を作れるように自分も何かできたらいいなと思ってます。

椎名未緒:もちろん楽しみにしててねっていう気持ちなんですが、ユナイトというバンドとしての成熟度にめちゃくちゃ自信があって、そういった自信のあるワンマンライブってもしかしたら初めてかもしれない。だからこそ、みんなには期待してて欲しいなと思います。今は「ユナイト、かっこいいでしょ」って胸張って言えるので、成熟したユナイトをぜひ見て欲しいですね。


Writer:廣瀬 大輔

<1st Best Album『HOPES #1』>
【収録曲】
01. Eniver
02. starting over
03. イオ
04. small world order
05. アイ -hope-
06. ice
07. マーブル
08. ジュピタ
09. Rely.
10. -ハロミュジック-
11. ビリブオアノ
12. シトラス
13. ふわり

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