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2024.07.04

【本誌巻頭特集】SHAZNAスペシャルインタビュー

A・O・I もちろんです。当時は、IZAMくんのソロライブのアンコールに僕とNIYくんが出るという不思議な形でしたけど。そのときから、SHAZNAとしてライブをやったときの実際の音鳴りの環境などを確かめるための準備をしていました。
今もSHAZNAのライブは、僕ら3人とサポートのドラムを入れた形を取れば、マニピュレートも僕自身が手がけているように、とてもミニマムなスタイルでやっています。その形態を最初に試したのが、昨年夏のライブでした。当時は3曲のみとはいえ、「SHAZNAのライブをしっかり構築していけるのか」というところへ僕自身は意識をフォーカスし、音作りなどもやっていました。
言ってしまえば、復活に向けての試運転ですよね。その延長戦上で、ふたたび年末に、IZAMくんのソロライブに2人がゲスト出演をする形を取って、SHAZNAの曲を5曲演奏。そこで試したことも踏まえて、今年の1月8日に行ったワンマンライブへ繋げました。

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A・O・I(Gt.)

A・O・I 昨年夏の時点で1月8日の復活ライブへ向けての流れまでは作っていましたけど、日本橋三井ホールでのライブを決めたのは、その後になります。今のSHAZNAは、先々までの展開を描くのではなく、少し先に一つ見据えた形を置き、まずはそこへ向かって構築していく流れを作っています。だから、9月8日にサンリオピューロランド・フェアリーランドシアターで行うライブも、日本橋三井ホールへ向けての行動をしていく中、LOVERSたちのいろんなリアクションも1つ参考になったかなと。

NIY ファンの子たちの身近な声を参考にと言いますか、本気でSHAZNAを愛してくれている人たちの笑顔が、俺らをいろんな形で支え、後押ししてくれているからこそね。昨年夏にIZAMのソロライブに2人が出たときの話が出ていたけど。俺も、あのときは本当に嬉しかった。限られた人数を前にしてだったけど、この3人が同じステージに立ったことを、みんなが本当に喜んでくれた。冬に出演したときも、「次はSHAZNAとしてワンマンライブをやります」と告げたら、泣いて喜んでくれる人たちもいたんですね。もちろん、みんなニコニコしていた。そういうお客さんの持っているSHAZNAへの期待に、俺はだいぶ助けられながらここまで来たし、今もその期待を胸に走っているからね。

IZAM 1月8日に行ったワンマン公演のときでした。

NIY 昨年夏に生まれた小さな期待の波紋がちょっとずつ大きくなりだし、1月8日に復活公演をやったことをきっかけに、その波紋がどんどん大きくなっていくのを感じていたし、それを目に見える形で俺たちも実感出来ていたのは本当に良かったなと思います。
 これは、俺自身の感想にはなるけど。以前にも復活して活動をしていた時期もあったとはいえ、どれも点の動きであって、いろんな事情があって、それを線にしてこれなかったんですよ。でも今は、点と点をしっかりと線にしながら日本武道館を目指していたインディーズ時代と同じように、一つ一つの動きを着実に繋げている手応えを感じてる。俺は、それが嬉しいんですよ。

IZAM これは1月8日のライブの話になりますけど。SHAZNAは、解散ライブの最後の曲として『恋人』を演奏しました。その後、推してくれているみんなから、「『恋人』を聴くと、解散ライブを思い出すから聴けない」という声も耳にしてきました。だから僕らは、1月8日のライブは『恋人』から始めようと決めて、演奏をしました。

A・O・I 1曲目に『恋人』を演奏したとき、会場にいた半分くらいのLOVERSが泣いていたんじゃないかな。

IZAM あの光景を見たときに、我々とLOVERSとの絆は、ずっと途切れることなく結ばれていたんだなと改めて実感しました。

IZAM そういう地道な動きこそが、今のSHAZNAには大切なんですよ。昔のように何十億という金額を動かしたからと言って、今の時代、それで日本武道館が満員にはならないじゃないですか。それよりも、SHAZNAを愛してくれるLOVERSたち。SHAZNAに親しみを感じている仲間たちと、僕らはもっともっと一つの家族になっていきたい。その家族を少しずつ増やしながら、一緒にずっと歩いていきたい。それが、今の僕らの素直な気持ちですからね。

A・O・I 90年代にデビューしたバンドで、今もメンバーが変わることなく活動出来ているバンドの数はけっして多くはない。でも、僕らはこうやって3人で今も活動が出来ているし、みんなも3人のSHAZNAに期待を持ってくれているのを肌で感じてもいますからね。

NIY 「この曲入ってないんだ」「えっ、この曲が入るの!?」という意外性を持った曲に嬉しい驚きを覚えることもありましたけど。まさに「同窓会からはじめよう」の言葉通り、それを求める人たちが多かったのが見えてくるセットリストだったなと俺は感じました。

IZAM 僕の中では、「あっ、そうだよね」という感覚でした。話はちょっと逸れますけど。いろんな人たちの力を借りてとはいえ、僕らは極力3人であの日の公演を作り、訪れた人たちに3人の思いを直接感じてほしいなと思って、いろんな準備をしてきました。来てくださった方なら知っていると思うけど、会場のロビーにたくさんのポスターが貼ってありましたよね。あれ、全部僕が貼りました(笑)。それこそ、見てくださる人たちの目線の高さなども想像をしたうえで貼るなど、少しでもみんなに手作り感を伝えたかったんですよね。当日のセットリストも、僕がベースとなる流れを決めました。そのうえで、2人の思いも汲み取ったうえで、あの日の構成が出来ています。

IZAM 僕はいつもお客さん目線というか、「自分が推してくれているみんなだったら、この曲の次にこの曲がくるとグッとくるな」という意識を持って作り上げています。むしろ、お客さんの目線で考えることこそが一番重要だと思っています。

IZAM 1月8日のライブのときも、『一角獣 –モノケロス-』は演奏しているんですね。あの曲は、古くからSHAZNAのことを応援してくれている推してくれているみんな、新たにSHAZNAに興味を持って支持してくれた推してくれているみんな、両方の推してくれているみんなが受け入れてくれた楽曲なんですよ。この曲は、SHAZNAのデビュー日に当たる8月27日に発売するアルバム『参華三釼』にも収録します。まさに、これからのSHAZNAのキーとなる楽曲だと思ったのでセットリストに組み込みました。
 SHAZNAの歌詞って、僕目線で書いていますけど。『一角獣 –モノケロス-』は女性目線で書きました。しかも、ちょっと大人の視点を持ったラブソングとして。それもあって、新しいSHAZNAの色として、早くみんなに届けたかったんです。

A・O・I 今回のセットリストは、IZAMくんが考えてくれた流れの中、僕が曲間や繋ぎなどの面でアイデアを出したうえで微調整をしています。個人的な感想になりますが、ファン投票を元にしたセットリストというのは、今のSHAZNAファンたちの傾向を映し出す鏡だと思っていて。今後のSHAZNAを進めていくうえで、すごく参考になる材料が出来たし、みんなの好みを感じることも出来たなと思っています。日本橋三井ホールでのライブも終え、今、実感しているのが、「変に何かを意識せずとも、今の自分たちが「いい」と思っている音楽をストレートに届ければいいんだな」ということ。最新曲『一角獣 –モノケロス-』の反響が、まさにそう。今の自分たちが感じる音楽性を素直に出せば、みんなもそこへ「SHAZNAらしさ」を感じてくれる。それを詰め込んだのがアルバム『参華三釼』だし、「もっともっと柔軟に表現してもいんだな」という気持ちにも、今はなれています。

IZAM 4月21日の「同窓会」公演は、日本橋三井ホールという、言ってしまえばオーソドックスなホールを舞台に行ったけど。やっぱし、SHAZNAでないと出来ないことを僕らは求めたいし、追求していくべきなんですよ。そこから出てきた発想が、「テーマパークでライブを演るロックバンドってなかなかいないよね」ということ。その背景には、こんな理由もありました。
SHAZNAを応援して、推してくれているみんなが鞄に付けているキーホルダーやぬいぐるみなどのグッズはもちろん。ハンカチなどの日用品を見ても、サンリオの商品を手にしている人たちが多いんですよ。 以前にライブ配信をしていたときも、「みんな、そんなにサンリオ好きなの?」と会話の流れで何気なく話を振ったら、「大好き」の声が次々届きだすんですね。中でも人気なのが、クロミちゃんとマイメロ。それをこっそりリサーチしたうえで、サンリオピューロランドの知り合いの長に連絡を入れ、「フェアリーランドシーアターでライブをしたいので貸してください」とお願いをし、今回の会場を抑えました。2部制にしたのも、1部だけではどうしても限られた人しか見れないことからですけど。それでも、2部ともにチケットはSold Outになりました。ほんと、嬉しい限りですよね。

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NIY(Ba.)

NIY 今回のアルバムに収録した楽曲、俺は全部大好きです。たぶん”SHAZNA史上”と言っていいくらい、楽曲の良さはずば抜けているなと自分でも感じていますからね。アルバムには、SHAZNAらしさを持った曲もあれば、意外性を持った曲もある。王道もあれば、新しさもある。どの曲でも、A・O・I節がとても炸裂している。そこへIZAMの歌詞が乗ると、やっぱ聴いてて安心出来るんですよ。そういうアルバムになっています。

A・O・I 確かにSHAZNAらしさを持った作品ですけど。これまでのSHAZNAとはちょっと違う色も持ってきています。もちろん、8ビートの効いた疾走感のあるライブ曲や、90年代のSHAZNAらしい表情もありますけど。それ以上に、16ビートを意識したグルーヴ感のある楽曲が多い。それが、今の自分たちが求めたいSHAZNAの色なんだと思います。歌詞も、IZAMくんがソロ活動で表現してきたような、バンドの枠にとらわれない自由度を持って書いているから、そこにも注目してください。バラエティに富んでいつつも全体的に、非常にまとまりのあるアルバムになっていますから。

IZAM A・O・Iさんも言ってたように、昔のSHAZNAを引きずる感覚は正直なかったです。昔からそうですけど、僕が歌詞を書いて、A・O・Iさんが曲を作って、僕が歌い、A・O・IさんとNIYくんが演奏をすれば、それがどんな曲調の楽曲だろうとSHAZNAになるんですよ。このメンバーで30年以上やってきているからこそ、その自信は強く持っています。それにSHAZNAって、インディーズ時代から「自分たちのやりたいことを、自分たちのやりたいままにやればいいじゃない」というスタンスで活動をしてきたバンド。その姿勢は、今も変わってないです。だから、お客さんたちに媚びる気持ちも正直ないんですよ。たとえば、アルバム『参華三釼』に収録した曲で、「これは、自分の好みではない」「これはSHAZNAらしくない」と言われたとしても、「あっ、そうですか」くらいの感覚。僕らにとって大事なのは、そこじゃないので。
 アルバム『参華三釼』は、「自分たちのやりたいことへ思いきり振り切った作品」です。一つ言っておくと、SHAZNAのライブの場合、最後に盛り上がる曲として『LOVERS』を演奏する機会を多く設けてきましたけど。そろそろ『LOVERS』に匹敵する楽曲がほしいなという理由から、そういう曲も入れてます。たまに演奏するから、今まで以上に盛り上がる。そういう位置に『LOVERS』を持っていくのもありかな?!と思って、そういう曲も収録しました。とにかく、今までで一番まとまりのあるSHAZNAらしい…この3人らしいアルバムになったと思います。

IZAM SHAZNAは、3人の華を持った人たちの集合体なんですね。3つの華が、それぞれに音楽という剣を持って戦いに挑んでいるわけですよ。そこには、3本の剣を束ねると大きな一つの剣になるという意味も重ねあわせています。華を持った3人の勇者が、3本の剣を持って戦いを挑んでゆく気持ちを、このタイトルに現しました。

IZAM 今は、アルバム『参華三釼』の発売と、サンリオピューロランド・フェアリーランドシアターへ向けての動きをしっかり作りあげている段階です。ただ、その先の行動や展開も見据えていますから、それが近いうちなのか、先になるのか、何かしら新しい発表はします。一つ言えるのは、1本の公演を終えるごとに、次の新しい公演を発表していく形を取っていくこと。9月8日は、そこも楽しみにしていてください。SHAZNA自体は、引き続き自分たちのペースで止まることなく歩み続けます。ぜひ僕らの家族になって、一緒に歩んでください。


Writer : 長澤智典

【LIVE SCHEDULE】
サンリオピューロランド フェアリーランドシアター
2024.9.8(日) 
【1部 ~A feast of popular songs~】OPEN 13:00 / START 13:30
【2部 ~A feast of maniac songs~】OPEN 17:00 / START 17:30

RELEASE
SHAZNA結成30周年記念アルバム『参華三釼』 2024.08.27 RELEASE

<関連リンク>
■SHAZNA Official X
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