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【本誌連動】ν[NEU] スペシャルインタビュー 完全版

mitsu 僕らがいなくなる、ν[NEU]っていうものが完結した時に残るものって思い出とか記憶はあるんですけど、音源だと思うんですね。解散してからこの10年間で、僕らがいない間でもその作品たちと出会ってくれて…、ν[NEU]と出会ってくれた人たちがいることを僕ら体験したので。今回の「N.ever」っていうのも、エヌ・ドット・エバーっていうのは、もう2度とないっていう”Never”って、意味もそうなんですけど、ν[NEU]が永遠に…っていう意味合いの願いも込めてるんですね。なので、「ν[NEU]って誰?」っていう人たちが、もしこれから先5年、50年かはわからないですけど、この1枚を聴いた時に、ν[NEU]のライブが「このままライブできるよね」っていう音源にしたかったんですね。 
 なので、実際15曲そのまま、頭から最後まで、ライブでも披露できるような形の曲たちを入れたつもりで作りました。

mitsu そうですね。やっぱり当時来てくれた子たちが、お子さんや旦那さんと一緒に来てくれたり、他のバンドを見に行ったけど対バンで見たことあったり、名前だけ知っていて、行ったことなかったとかいう人たちと出会うことができました。逆に言うと来れなくなった子も多いんですね。前まではやっぱり動員がとか、今ライブに来てもらわなきゃっていう必死さがすごくあったんですけど、今はどちらかというと、僕らが生きてきた証を、ν[NEU]をやってきた意味をっていう形になりました。作品だったり、なぜやってるのか、なぜ終えるのか、終わった後もどうやったら残るのかっていう意識に重きが向いていると思うので、そういう意味では、なんか前よりも良い、「来てよ、来てよ」じゃなくて、いつだって聴いてほしいっていう形になれたんじゃないかなと思いますね。

ヒィロ なんかこういう活動も含めて、この音源もそうなんですけど、あまり気張ってないというか、ν[NEU]という存在を誰かに残すというか…。音を残すというよりも、その存在、歩いてきた軌跡を残しているっていう形になってますね、今は。

mitsu だから、前までは「受け取ってほしい」とかって感じだったんですけど、今は「置いとくね」って感じです。聴きたい人がいてくれて、触れてくれた人がいたら嬉しいな、ぐらいで。どうしても前は、投げるというか、「受け取ってよ!」って感じがやっぱどうしても総じて多かったと思うんですけど、今は別に、出会う人は出会うべくして出会うだろうし、逆に出会わない人もいると思うんですけど、それが各それぞれのアーティストの形かなと思いますし、これが僕らの正解かな。

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ヒィロ(Ba.)

ЯeI なんか聴いた感じ、『スプラッシュ』がめちゃくちゃいい。

mitsu めちゃくちゃいいよね、ぜひ聴いてほしいですね。

ЯeI 前のν[NEU]からのやつだからね。

mitsu 1番歴史が長い曲だからね。タクミは?

タクミ APOLLONですかね。完成されましたね。

ヒィロ うん、そうだよね。やっぱり。

ヒィロ 僕はそうですね、いっぱいあるんですけど、音として本当に完成したν[NEU]だと思ったのは『RED EMOTION ~希望~』なんですけど、家帰って、改めてできたものを1人で聴いてる時に、なんか涙が出てきてしまったのは、『PULSE』って曲ですね。このν[NEU]って当時の前身バンド、HeaRtってバンドから改名をして、初期ν[NEU]になって、それがまたメンバーチェンジして、全部で3形態ある中で、最後のν[NEU]の時に、僕は事務所代表の未散さんに、「ν[NEU]を全部変えてくれ」みたいな、「キミが全部曲を作るんだ」みたいな、「全てを変えないと変わらない」って言われた時に、1番初めに作った曲が『PULSE』なんですよ。この曲を聴いた時に、なんかすごく思い出してしまって。本当に成功したかったっていうか、本当にこのメンバーで売れたかった。今は売れたいって思わないんですよ、正直。あの頃は本当に売れたくて、「絶対成功したい」っていう…。今はもう大人になってしまってるんで、できない感情をちょっと思い出したんですよ。mitsuくんを電話で口説いた時とか、タクミと会った時とか、華遊くんと会った時とか…。ЯeIさんと2人で、「もう1回立ち上げよう」って思った1つの原点になる曲がやっぱ『PULSE』だったんで…。聴いた時、音もそうですけど、思い出しちゃいましたね、すごく。だからさっき言った通り、僕らって歴史がそこそこあるというか、ストーリーがあるんで。その存在を自分自身で確認した曲が『PULSE』でしたね。

mitsu いい感じでみんなバラバラですよ。僕は『RED EMOTION ~希望~』。今、ヒィロがあげてたんですけど。当時メジャーデビュー曲で、元々タクミと自分と華遊くんが入った時期は同時期なんですけど、「2年以内にメジャーデビューをする」、しなかったらこのバンドは解散するってヒィロが言ってたんですね。なので僕は入ったんです。「だったら入る」って言って。逆に言うと、(メジャーに)行かなかったら脱退するって決めてたんで。それが叶ったのは『RED EMOTION ~希望~』で、当時はやっぱ夢がかなったので嬉しかったんですけど、メジャーデビューをするっていうことばかりに囚われてた気がして、追いつけなかったですね、いろいろなことに。当時が悪かったとかではないんですけど、正直に言うと歌えてなかったと僕は思ってるんです。これを言うと、ファンの子はその時出会った人もいると思うんで、「それに救われたんですけど」っていうことももちろんわかってます。否定は全くないんですけど、ボーカリストとして自分の納得いく形で歌えた、やっとこの曲が自分の中で歌えたと。なので、レコーディング終わった夜、ヒィロと車で帰ってたんですけど、「10年かかったけど俺やっと歌えるようになったわ」って話したので。
 僕としてはν[NEU]のヒィロとЯeIは逆にこれまでのν[NEU]、そしてタクミと自分で言うと、自分たちが入ってからのν[NEU]のきっかけとして生まれた『RED EMOTION ~希望~』がこのバンドのもう1つの代表作なんじゃないかなと思います。

mitsu 今回、インタビュアーの方が、ライブレポートだったり、僕らのインディーズ時代から取材してくれてた方にお願いをして、メジャーの中で何があったっていうのはもちろんみんな知ってるとは思うんですけど、その時の心情とか、僕らがメジャーの中で「こんなことを実は思ってました」だったりとか、そういう僕ら側の心境は多めに入れたのかなと。
 これを見たら、仮に僕らがいなくても、初めて出会った人が見た時に、「ν[NEU]ってこういうバンドだったのかな」みたいな感覚が見えるようなものにしたいなと思ったので。
 まだ実際、僕らも実物を手にしてはないので(取材日は5月25日)、僕ら自身もね、どんな感じかなって。でもなんかメジャーの時の「あれ超大変だった」みたいな話ばかりしてるよね(笑)。

ヒィロ 当時だったら言えないこととか、結成前から終わるまで、終わりから再開まで、再開してからと、あとその終わった後のこともちょっと話したね。この後、1月4日で終わった後何しますか、みたいなこと、ちょっと未来について触れたり。それを僕らがまた10年後に見た時にどう思うのかなってちょっと楽しみです。

mitsu ミュージシャンの時間よりも、ミュージシャンじゃない時間の方が長いメンバーも多いですし、もう解散してからもう10年経ってるので。なのでどっちかというと、ミュージシャンのインタビューっていうよりは、なんか1人の人たちの話を…。さっきのメジャーの期間でこう思ったとか、また集まって何を思ったとか、僕らの歴史が、詰まっているんじゃないかなって、想像はしていますけど。

mitsu ЯeIさんはどうだった。

ЯeI どうだった?別に俺、そういう話をしないからなー。

mitsu あ、そうなんだ。タクミは?

タクミ でも、全通するって人、結構多かったかもしれない。

mitsu・ヒィロ 確かにね。

ヒィロ それこそ僕、エステティシャンやってて、ν[NEU]が解散して1年後からやってるんですよ。ずっと通われてるν[NEU]のファンの子とかもいるわけですよ。言われるのは、 「よかったね」って言われます。すごくざっくりだけど。寂しいとかじゃなくて、見てきてるから。多分それって、ЯeIさんのお店の方もだし、mitsuくんのファンの子とかも、見てる子たちが多分「よかったね、本当」って。そう思われてるのを最近、直接聞くようになりましたね。どっちかと言うと、「見守ってくれてありがとう」って感じですよね、逆に。

mitsu みんなが送り出してくれるみたいな気持ちになっちゃうんで。自分の9年、今年の7月で9周年なんですけど、ソロやってて。なんか9年やってると、僕の場合は同じ音楽なので、ν[NEU]じゃないファンの子との方が出会いが多いんですよ、正直言うと。なので、ソロで出会ってる子の方が今では多かったりするんですけど、やっぱν[NEU]になると当時のファンの子だったり、今のその子たちも来てくれるってなると、なんかソロを追っかけてくれてた人たちにも新しい景色が見せられるって思うと、続けてきて、繋がってよかったなって。 
 なんかこう、やっとみんながやってきたこと、それは僕だけじゃなくて、各メンバーも別の仕事、職業で培ってきたものが今こうやってあるので。それこそ、ロングインタビューもЯeIさんのお店で録ってるし、ヒィロが外の方々の動きとかを全部一緒にやってくれてますし、タクミはなんか全くヴィジュアル系とかじゃないファンをν[NEU]に呼んでくれたりとか…。なのでν[NEU]じゃなかった時間の僕らが今、またいろんなもの持ってきて、(バンドが)できてるっていう意味では、すごく今やっててよかったなって。

ヒィロ ЯeI さんは自分が1番楽しむって言ってるよね(笑)。

ЯeI 楽しもうと思ってる、もう最後だからね、寂しいよ。
 まぁしんどいっちゃ、しんどいんだけどね(笑)。

一同 (爆笑)。

タクミ 楽しもうと思います。多分どこかの会場、1か所ぐらいは、捌ける時、ゆっくり捌けるぐらいの気持ちの余韻が欲しいね。

ヒィロ いつも高速だもん、高速。

mitsu この間なんか福岡と仙台で、俺が歌わせようと思って近づいたら、もう捌けてっちゃったもんね、2曲目ぐらいで(笑)。早いなと思って(笑)。

タクミ ちょっと気持ち的にそのぐらい…なんかこう、浸りたいライブをしたいですね。

mitsu 言うと余計しなさそうで。

タクミ そしたらしょうがない(笑)。みんな羨ましいんですよ、残りたい組が。

mitsu そんな残りたい組っている?

ЯeI いないです。

ヒィロ 僕はそうですね、10年前の解散ツアーの時は、解散を発表したのがラスト2ヶ月前だったんですよ。僕たちはその2014年7月から32か所のワンマンツアーを回ってるんですけど、(解散を)発表したのが10月下旬で、残りが全部ソールドアウトとして、ファンクラブ限定公演と渋谷公会堂だけだったんですよ。なので、やっぱ後悔の1つとして、もう解散が決まってた、あるいは解散が決まりそうなバンドだったんだけど、嘘ついてツアー回ってたんですよね。「また帰ってくる」「また戻ってくる」とか。実際「もう戻れないんだ、ごめん」って思いながら、それでもそう言わないといけない、リーダーとして、とかあった時に、その当時は情緒不安定になってて、なんか演奏しながら泣いちゃったりして…。「なんで俺、嘘ついてんだよ」みたいな。寂しいじゃなくて、悲しい思い出がいっぱいあったんですよね。だからそれを払拭したいな。今回はちゃんと、もう終わりを告げた状態でもあるので、ちゃんと”ありがとう”っていうのを嘘つかないで、回りたいなって思います。悲しみたくないですね、次は。

mitsu そうですね、多分前回もそうですけど、最後のライブってどこか1か所が誰かにとっての最後になったりとか、もうやっぱり2度と会えないっていう、その日しか会えない子って絶対いると思うんです。ただ、ワンマンに関しては、聴きたい、行きたいと思って来てくれてる子、対バンで偶然見たとかではなく、観に行きたいって思ってくれた子たちが来てくれると思うんで、その時の自分の歌だったり、景色だったり、それぞれの時間が最後だと思うことをちゃんと大事にしたいなと。僕はそれを楽しみたいなとか、緊張だとか寂しいなとかいろんな感情あるんですけど、全部それ引っくるめて。最後って悲しいじゃないですか。基本的には人との別れだったり、切なさが多いんですけど、それさえも楽しんで、なんか今後その人たちの人生の何かになるような、そんなものを残せるぐらい、ちゃんと本気で歌おうと思ってます。それを背負っていくのがこう、終わらせていく僕らの役割だと思うんで、なので、大事に楽しんでいきたいと思います。

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ЯeI(Dr.)

mitsu なんかどっちかっていうと後悔しないでほしいっていうのが本当に。僕らもそのつもりだし。だから楽しまなくてもいいんですよ。寂しくても、悲しくてもいいんですよ。いい意味で、終わりを告げて回れているので、本当に悔いなく、それぞれの楽しみ方だったり味わい方をしてほしいな。
 なんで。逆に「全箇所来て」なんて言わないし、1カ所でも2カ所でも、行きたかったら全部来てほしいし。

ヒィロ なんかすごい極論ですけどν[NEU]が、実際去年から復活してから来年1月4日まででも、多分来れない人が半分以上だと思うんですよ。やっぱり僕もそれこそ40過ぎて、家族もできて、やむを得ない事情ってどんどん増えてくと思うんですよね。優先順位というか、責任というか。その増えていく中で、ライブに足を運ぶってやっぱり労力がかかるというか、やるのもそうだし、観るのもそうなので。「みんな来てくれ」って昔だったら言ってたんですけど、必ずしもそう思わないというか。「来てくれ」じゃなくて、「離れててもいいから、ν[NEU]っていう僕たちが活動している軌跡を見てほしい」というか。直接じゃなくても、その空気を一緒に感じてほしいなって最近思いますね。

タクミ 個人的にはやっぱり、復活してからЯeIさんが無茶振りに答えてくれなくなっちゃったんです(笑)。
 どこかの会場で、ちょっと1回ぐらいは…(笑)。もうマイク近づけても喋んなくなっちゃったんです。

ЯeI だってやりたくないことやりたくないから(笑)。

mitsu おー、なんか1番ミュージシャンぽいね(笑)。

ヒィロ 頑張ってるよ。

mitsu じゃあやらせたくなるでしょ。

タクミ そうそうそう、そういうこと。

mitsu でもね、ЯeIさん優しいから、ファンの子がもうほら…ねぇЯeIさん!

ЯeI やめてそういうプレッシャー(笑)。

ヒィロ やるよ、やるよ、やるよー(笑)

mitsu その姿もね、どっちかどうかわかんないけど、楽しみですよ!

ヒィロ タクミの挑戦ね。

mitsu でも本当に想像ついてないです。本当、ここ半年も予想通りにいったこと1個もないんで。 なので最後も予想通り行かないんだろうな、それが楽しみですね。なんか決めたもの全部そのままいくと面白くないんで(笑)。

ЯeI 俺はシンプルに会いに来てほしい。

タクミ 私は平和に、ハッピーに終わりたい。

ヒィロ 平和にね、はい、平和。前が平和じゃなかったみたいな言い方(笑)。

一同 (爆笑)

ヒィロ 平和でなかったから(笑)。

タクミ いや、メンバーだけじゃないですよ。

ヒィロ そうですね、ν[NEU]というバンドを見届けてほしいですね。僕たちがバンドとして提供できる全てを費やすつもりで今活動してるんで。なので、受け取ってほしいですね。

mitsu 作品に触れる時って、なんか触れてる時の楽しさはあるんですけど、絶対いつか終わるものじゃないですか。それって終わっちゃったっていうよりは、作品によって自分の視野とかものの考え方とか生き方って少しずつ変わっていくじゃないですか。このν[NEU]も多分その1つになれるんじゃないかなって思ってる。僕らを愛してくれて、来てくれてる人たちの人生の中に、僕らが培ってきたものがみんなに中に残せると思うと、すごくいい機会をもらえたなって思ってます。終わってみなきゃわかんないこともありますし、それが自分も楽しみですし、その時のみんなの気持ちとかも含めて一緒にゴールできたらいいなって思ってます。


Writer:廣瀬 大輔

【LIVE SCHEDULE】
ν[NEU] LAST ONEMAN tour 『N.ever
7月21日(日)神戸VARIT.
8月4日(日)広島SECOND CRUTCH
8月17日(土)新横浜NEW SIDE BEACH!!!
9月14日(土)札幌cube garden
9月15日(日)札幌cube garden
9月28日(土)名古屋ELL
10月12日(土)金沢AZ
10月19日(土)仙台MACANA
11月3日(日)福岡Be-1
11月10日(日)大阪MUSE
12月1日(日)渋谷REX

since2009〜2025 ν[NEU] FINAL LIVE『エンドロール 〜誰よりも大切な君へ〜』
2025.1.4(土)渋谷公会堂

【RELEASE】
ラストメジャーデビューアルバム『N.ever』
2024.7.3 RELEASE!!

<関連リンク>
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